マイルの移行(トランスファー・マイル)

2008年6月作成




マイレージの初歩的な話とも言えるが、「特典旅行を本人以外の名前で発券する場合に、搭乗する人のマイレージの口座に 一旦マイルを移行してから、発券する必要があるか?」 これに類似する質問を複数の人から受けた。
「そんなことしなくても、直接発券で特典旅行の譲渡ができるのは、昔から当たり前。何を寝ぼけた質問。」と答えたくもなり、これを読んでいる人からも、当たり前のことを書くなとクレームが来そうでもある。それで、初歩的な話という書き出しにしたとも言えるが、そうばかりとも言い切れない。トランスファー・マイルという呼び名で、マイルを他の人の口座に移すことができるようになった結果、そのまま他人名義で特典旅行を発券するのと、マイルを移行してから特典旅行を発券する二つの選択枝ができたからだ。
わざわざマイルの移行などというものがあるのは、それをしてからでないと、他人名義の発券はできないのではないかと思う人が出てきてもおかしくない。航空会社のHPを見て、関連する記述をすべて読めば、そうではないことはわかるが、誤解が生じないように取り立てて書いているわけではない。私の場合、自分で貯めたマイルを、自分以外でも40万マイル以上使ったが、沢山マイルを貯めていても、ほとんど使えない人や、自分のフライトでしかマイルを使っていない人は、決して少なく無さそうである。ここで取り上げた誤解は、実は そんなレア物ではないかもしれないと思い、ここで取り挙げた。

ところが、書きながら、別の不安が頭をよぎった。将来、マイレージのルールが変更になり、最初の質問の答えがYesになるのではないかということだ。そうすれば、航空会社は手数料収入が増えてハッピーだろうというシナリオである。航空会社を刺激するようなことは、くれぐれも書かないようにと、マイレージ上級者から依頼されている。ここで書いていることは、その刺激にあたりそうでもある。しかしながら、それについては、反論を書くことができる。

すなわち、ビジネスクラスで出張して貯めたマイルを、家族旅行に使ってもらい、有望客を囲い込む。それが、マイレージのビジネスモデルとでも言うべき、保守本流的な姿であろう。その場合の 家族の特典旅行の発券に対して、今以上にマイナスになるようなルールを持ち込むのは イマイチであろうということだ。米国では特典旅行の週末滞在ルールなどもあるが、これは、レジャーや家族旅行に使ってくれという意思表示であろう。

マイル移行のルールについては、各航空会社のHPに掲載されているので、リンクを張っておけば十分とも言えるが、ここでは、比較することに意義を求め、表にまとめておく。

トランスファー・マイルの比較

項目

UA

NW

DL

マイル移行レート

$0.015/マイル

$0.01/マイル

$0.01/マイル

手数料

$35

$25

$30

送り側の年間移行マイル
の上限

6万マイル

10万マイル

15万マイル

受け側の年間移行マイルの上限

1.5万マイル

3万マイル

30万マイル

移行の単位

最低5000マイルから1000マイル単位

5000〜3万マイルで1000マイル単位
1000〜3万マイルで1000マイル単位

申し込み後移行が済むまでの時間

5〜7日

24時間以内

最長7日

申し込み方法

オンラインのみ

オンラインのみ

オンラインのみ
一度の手続き(1回分の手数料)で、マイルを移行できる受け側の数

最大3人まで

1人のみ

1人のみ

DLは参考のため おまけで付けた。この表以外でも、NWとDLの相違点が今後どうなるのかという疑問は残るが、その話題は別途、時間があれば取り挙げたい。一部を除いて、NWの方が優れていることが分かる。 ただ、取り立てて言うほど大きな違いではないので、わざわざ表にするほどのことはなかったとも言えるが、マイレージに関する一般的な話として、何でも比較することにより ユーザーに有利に働き、その結果、フライトの利用が増え、航空会社にもメリットがあるという良い循環が起こることを期待する。

シェア・マイル

NWでは、シェアマイルを使ってマイルを移行することもできる。トランスファー・マイルとは別のカテゴリーになっているので、あと回しにしたが、少しの不足分を補うためにマイルを移行する場合を除けば、NWではシェアマイルを利用した方が便利だ。二人の場合、200ドルの登録料を初期投資として払えば、1年間、無料で、回数、マイル数の制限なくマイルの移行ができる。2万マイル移行するのに、トランスファーマイルでは$225ドル必要だが、シェアマイルでは$200で済む。損益分岐点のごとく、幾ら以上ならどちらがおトクと、一次方程式を解いて示すこともできるが、わざわざ計算することもなかろう。
私にとっては、どちらも高価でやらないで終わってしまうが、シェア・マイルは、例えば、ビジネスマンで沢山マイルを貯めた親が病気で倒れ、とても旅行などできないような体になった場合に、子供や配偶者にマイルを移行させるのに便利そうだ。航空会社によってはマイルの相続もあるが、生前贈与してもらえれば、マイルを自由に使えて便利だろう。親が病気で倒れなくても、子供が独立する場合にも、親がマイルを分けてくれることもありそうだ。ガールフレンドが旅行好きとか、他にもいろいろあろう。

今のところUAではシェアマイルは無いようだが、そのうち対応することになるのだろう。


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