原発事故間引きで満席 UA838便 BKK/NRT

2011年6月作成



久々にUAのバンコク便に乗った。と言っても実際には これまで ほとんどバンコク便に乗ったことがなかった。その理由は、以前米国発券で、日本のストップオーバーして、アジアへ行く航空券を何度も買ったが、マイル修行なら、BKKよりSINの方が遠いので、単純にSINを選んでいたからである。また、SIN行きの航空券を買っていたのは10年以上前のことで、その当時は、パスポートにタイのスタンプが押してあると、米国入国時に別室送りになって、麻薬を持っていないか入念に検査されるという まことしやかな噂が流れていた。その後 タクシン政権時に 徹底的に麻薬を摘発したのが功を奏したのか、最近はそんな噂は聞かないし、実際にも問題ない。

今回は、震災・原発事故の影響でフライトは空いているはずで、さらに、以前は特典旅行への直前の席の開放は3日前からだったものが、最近(?)は、一週間前からになっていて、それを活用することを考えた。さらには、特典旅行の必要マイル切り上げが迫っているので、マイルの取り付けの意味も含め、今後は二度と乗りそうにないXFで予約を入れた。

DLのキャンセルで満席

例によって、オーバーブッキングがあれば、ボランティアになろうと思って、予約システムで混み具合を調べてから空港に向った。それによると、そんなに混んでいないはずだったが、当日 機内アナウンスによると満席とのことであった。理由は簡単で、DL便が間引きでフライトをキャンセルし、UA,DLのジョイントフライトになっていたからである。
以前も、シンガポールからの帰りに、NW便がキャンセルしているのはよく見かけた。UAと合わせて、往復とも1機で十分なら、縮退運転するのが良く分かった。今回も同じことだが、人気のバンコク便では、流石にそれは少ないだろうと予想して空港に行ったのだが 同じことになった。
今回搭乗したのは、6月の上旬で、この日はたまたま DLの機材が故障などで、キャンセルになったのかどうかの確認が十分できているわけではないが、これまでの航空会社のやり方や、震災後のフライトの混み具合について一般に言われていることを考えると、原発事故の結果、最近は同じようなことが起こりやすい。そう言って間違いないだろう。
そんなことを書いては、風評被害を起こすと言われかねないが、そうではなくて、フライトがガラガラ(→チケットが安くなる可能性。その他いろいろ)、もしくはフライトが満席(→空港でラッキー)、どちらも ユーザーが得する可能性が高いので、乗った方が良いという話である。


ここから、普通の話に戻して、空港とフライトの様子を紹介する。

BKK

スワンナプーム空港は、お馴染みの人が非常に多そうだが、上に書いたように、私の場合は数えるほどしか行ったことがない。旅は人それぞれだろうが、同じ理由で、SINには何度も行って、BKKにはほとんど行っていない人がいれば、話を聞いてみたいものだ。 空港について、取り立てて説明する必要は無さそうなので、今回の写真を幾つか紹介しておく。

チェックインカウンター付近

搭乗口付近

TGラウンジ

ラウンジの食べ物

フライトの出発時間について補足しておくが、まずは時差について、日本と時差が一時間のシンガポールやマレーシアよりも タイは東にあるのに、夜型人間が多いためか(?)、日本と時差が二時間ある。そうは言っても、日本と時差1時間の香港、ベトナム、フィリピンなどより西にあるので、時差が二時間で当然とも言える。マレーシアにはボルネオもあるので、国内すべて同じ時間を使用するなら、日本より一時間遅れが妥当とも思える。そうなると、元マレーシアの一員であったシンガポールも同じなのが当然であろう。
とにかく、タイの時間は少し遅めであり、その結果、成田で米国へのフライトと接続するバンコク便は早めに出発する。今回は午前6時過ぎの出発であった。

出発時間が早いので、Fクラス専用のラウンジは開いてなくて、TGのF,C共用ラウンジになった。それでも、TGのHPによれば、午前5時からラウンジの営業を始めると書かれていたものの、それより早い時間から空いていたので良しとした。

機内

最近は特典旅行でしかUAには乗っていないのに、この便では、特典旅行の必要マイルが切り上げになるので、今後 同じ便に乗ることも無かろうと思いながら、たぶん最後の1Aの席を予約した。

機内の様子

座席の左前方。物は置けるが、テーブルは出しにくいし、荷物が入らない。

モニター

機内のエンターテイメント・システムを一通り試してみたが、映画、テレビ、音楽、ゲームなど それぞれ豊富な選択肢がある。航空ファンであれば、AudioのFrom the flight deck(下の写真)がお薦めだが、しばらく聞いてみたものの、それほど交信haなかった。忙しくなるタイミングを狙って聞くべきなのだろう。

From the flight desk

東沙諸島のすぐ横を飛んでいるところ

地図を眺めていると、台湾の手前の変なところで島が登場した。南沙諸島は場所が全然違うし、さてはバグかと思って、後日Google Earthで調べたら、東沙諸島であった。現在は台湾が領有していて、その他の*沙諸島と同じく、中国からの圧力を受けているそうだ。中国大陸に行って、中国の地図を買ったら、普通はびっくり仰天するはずだ。南シナ海は、東はマニラのすぐ近くまで、南は、ボルネオのすぐ近くまで、すべて中国の領海だと主張していて、地図にはそう境界が書かれている。中国では、政府に都合の良い書き込みをするのが仕事の五毛党員が30万人もいると言われ、ベトナムでは、中国を海賊だと非難するデモが起こっている。これらのことから、東沙諸島に大陸からの圧力がかかるのは 当然予想される話であろう。

Google earthで写真を見ていたら、島好きの私は一度 東沙に行ってみたくなったが、高雄からチャーター便があるものの、値段が非常に高く、お呼びでないことが分かった。

食事

早朝の便なので 軽い食事しか出ない。食事に期待するなら、反対方向も乗るべきということになろう。しかし、今回は、片道特典を利用したので、反対方向のUAのフライトには乗っていない。(因みに、今回の日本からの往路は、KIX/TPE ジェットスター、 TPE/MNL MNL/SIN 5J、SIN/BKKは陸路を移動した。) 米国では、UAのパスタは美味しいという評判を聞いたことがあるが、今回は、麺類ばかり食べた。味については、特典旅行者が意見を言えるような立場ではなかろうが、私にとっては十分な味であった。

朝食のフルーツと焼きそば

スナックのパスタ


バグ探し

シートが新しくなった機材に初めて搭乗したら、バグ探しをするのを恒例にしているので、今回もいろいろとアラ探しをしてみた。残念ながら、UAに乗る回数が減って、新シートになって長い時間を経てから 初めて乗ったので、何を今更ということになろう。バグ探しという点から言えば、十分時間が経過して、枯れたシステムになって ほとんどバグも無くなったのか、不具合はなかなか見つからなかった。以前は、座席の操作ボタンをデタラメに押し続けてハングさせたこともあったが、今回はハングしなかった。

結局見つかったのは、音楽だけである。知り合いがフィリピンにやってきて、世界的に有名な歓楽地であるアンヘレスへ行って、娼婦を支援するプランを思いついた。厳密に言うと少し違うのだが、とにかく、私に言わせれば、難しいの一言で終わってしまう。それでも、Roxanneを聞いて何かヒントを得ようと、UAのオーディオシステムで、久々にこの曲を聞こうとしたら、違う曲が流れていた。

題名と違う曲が流れることがある
オーディオシステム

座席の操作ボタン

2A,2Kを押さえる航空マニア2人組み

以前は、UAのXFを何度も利用していたが 最近は遠ざかっていたこともあり、今回 ビジネスマンに混ざって普通の旅行者が乗るのは、気恥ずかしい思いがした。搭乗が始まると早々に席に着いて出発を待っていたところ、出発間際になって、2Aの乗客がやってきて、誰かが2Aの席にカメラを向け、ストロボを焚いて連写した。それ来た、有名人でも乗ってきたのかと思ったのだが、後から、その乗客がフライトアテンダントと話をするのが聞こえてきて、そうではないことが分かった。ただの航空マニアで、こちらと同じマイル修行者だった。2Aの席の写真を撮っていたのは、付け人が2Aに座る有名人の写真を撮っていたのではなくて、その乗客が席の写真を撮っただけだった。 その横の2Kの乗客はその相棒で、二人で各地を回った後、米国に帰るところだった。出発前には、やたらと外の航空機の写真を撮っていた。私がメモを取りながら、エンターテイメント・システムなどのあら探しをしていたら、2Kの乗客が ずっとこちらを見ていて興味を示していた。それで同類であることがよく分かった。

その後、このフライトの予約を入れた時のことを思い出した。もともとシンガポールから帰るチケットを持っていたのだが、そちらは先に延ばし、シンガポールから陸路バンコクを目指し、1週間前の特典旅行の座席開放を狙って、毎日予約状況を確認しながら、バンコクからの席を確保した。予定通り1週間前に予約が入ったが、その時、この2Aと2Kは既に埋まっていた。1Aと1Kは空いていて、通は2Aと2Kを選ぶものと思った。前回、旧フルフラットシートの1Kに座ったが、前の空間が狭く圧迫感があった。シートの好みは人それぞれだろうが、最近のシートでは、2Aと2Kが通の選択かと思った次第である。

この二人は、降りる時にも しばらく機内に居残って、写真を撮り続けていた。


間引きとサーチャージの行方の考察

原油価格が高騰すると気になるのが燃油サーチャージであろう。単なる皮算用だが、これが フライトのキャンセルとともにどうなるものやら 考察してみた。考えても、実際にはなんともならないが、そもそも マイル修行などと言っているのも暇な話で、ここでも そのノリで考えてみた。

なぜこんなことを言い出すかその大元の発想は、間引き縮退によって、UA,DLは両社合わせて、ほぼ半額の燃油代しか払わずに済んだはずである。それなら、燃油サーチャージも半額にしてくれたら良いのではないかということだ。さらに言うと、両社大幅に燃油代が安くなり、半額と等価ということなら、例えば1バレル90ドルが45ドルに下がったのと同等という話になる。それを、原油価格とサーチャージの表に照らし合わせれば、サーチャージを返金してもらってもよいのではないかという意見が出てもおかしくないはずだからだ。

差額の返還

DLのキャンセルでUAに客が沢山流れ込んできた。DLからUAにフライトを 勝手に(同意はした?)振り替えられた客にとって、もしもDLの方が、UAよりも燃油サーチャージが高い場合には、差額を返還してくれるか、ということだ。しかし、発券時に加算するサーチャージを、発券がバラバラでは、いちいち調整していられないだろう。わざわざルールを調べる気にもならないが、航空会社が、一旦受け取ったものを滅多に返金しないのは容易に想像できる。しかし、ここでは 航空会社側の一方的な都合でキャンセルしているので、利用者側の論理も相当通用すると言えそうだ。すなわち、「私は、燃油サーチャージが大嫌いだ。UAとDLを比較して、あんたのところのサーチャージが安かったから、DLに乗ったのに、勝手にUAに変えられてしまった。これでは納得がいかないので、当然サーチャージの差額は返金してもらえるのでしょうね。」こう言えば、筋が通った話なので、航空会社も受け付けてくれそうだ。しかし、実際には、それがあったといても小額の話で、それよりも、例えば ノーマルのYでDLのチケットを買ったのに、振り替えで、UAの余りの席に押し込まれ、3列の真ん中の席にされて、Kクラス程度の扱いをされたという場合の方が、差額の返金を請求したくなるだろう。しかし、乗ってしまえば、エコノミー同士は皆同じ。どうにもならない話であろう。

残念ながら、この場合、良い説明が思いつかないし、下手にクレームをつけて、航空会社のブラックリストに入れられたら大変であろう。しかし、航空会社の職員から「座布団二枚あげてくれ。」と言われるような職員を唸らせる説明ができれば、座布団ではなくて、1万マイルくらいもらえる可能性もあるはずだ。今回は外れたが 普段からネタを考えるのは、悪い取り組みではなかろう。

サーチャージ返金の可能性は?

さらに、払ったサーチャージを全額返金してもらえるか交渉できないかという話がある。航空会社は、フライトをキャンセルして、油代はまる儲けであろう。しかし、振り替えた乗客の人数分の運賃にサーチャージも含めた請求が、UAからDLへ来るわけで、やっぱり乗客には返金はない。普通はそういうことになろう。しかし、満席のフライトを飛ばすのは、航空会社にとっては、笑いが止まらないはず。この場合なら、UAはDLからの客を乗せようと乗せまいが、燃油の使用量は、ほとんど変わらないはず。それなら、DLの客からまで、サーチャージを取るのはやめて返金したらどうかと言いたくはなる。しかし、かなり論理に無理があろう。

これとは違うが、サーチャージ返せと誰でも言いたくなるのは、DLの特典旅行で、高額の燃油サーチャージを支払ったのに、特典旅行でサーチャージを請求されないはずのUA便にされた場合である。流石にサーチャージ返せと言いたくなるはずだ。しかし、DL便を利用した場合には、サーチャージは請求されないので、DLのマイルで、その他の航空会社のフライトを利用して、UA便に振り替えになった場合ということになる。利用するマイルが違うから関係ないと、航空会社から反論されそうだが、利用者としては、当然サーチャージを返せと言いたくなるはずだ。

縮退運行の影響でXCが取れない?

サーチャージの話は終わって、今度はXCが取れない問題である。私が関知しているのは、ほとんどアジア線に限られるが、この傾向は今に始まったことでなくて、ここ10年くらいは続いているように思う。90年代は、XCは週末などでもかなり予約は入った。しかし、最近は、厳しい状況が続いているように思う。そこへ、拍車をかけているのが、DLの客も詰め込む可能性があるということだ。DLのCクラスの客は当然、UAでもCクラスに乗せることになろう。ダウングレードで返金が生じては航空会社は損する。そう考えるとXCに予約を入れるのが厳しいのは容易に想像できる。2社合わせてもガラガラであれば、XCにも席は十分回ってくるはずだが、流石に、なかなか そうはならないのであろう。


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