市バスは楽し 

2000年10月


現在は主にアジア行きの無料航空券を手に入れるため、米国等へ飛んでマイルを貯めている。従って、その費用が直接アジア行きのチケットを買うより高くつくと、本末転倒になってしまう。
そこで、ホテルも乗り物もどしどしダウン・グレード。以前はUAの半額券を使って、SホテルやWホテル等に良く泊まったものだが、今や泊まるところと言えば、最低でも安ホステル、最高でも安ホステル。いや、最高でも安モーテル。乗り物もタクシーは止めて、ほとんど電車か市バス。特に市バスには随分詳しくなった。これほどたくさんの町で市バスに乗れば、乗った市バスの種類でギネスブック登場して、金メダルを狙えるかと思うほどだ。
冗談はこれくらいにして、今回は市バスにまつわる話題を紹介する。

市バス・ジャック?

ミネアポリスのトランジット・ホステルから空港に戻る市バス内での出来事。
市バスは、いつもの経路を進んでいた。しかし、ある男が女性運転手のすぐ後ろに近づき、何やら指図しだしたかと思うと、バスは突然あらぬ方向へと進み出した。男性が「右だ、左だ、そこだ、違う」などと言っているのに合わせ、バスはぐるぐる廻って、何とスーパーマーケットの駐車場まで通過する始末。これはバスジャックに違いないと思い、とっさにカメラを取り出し1枚。

しかし、指示が悪いのか、運転が悪いのか、結局バスは男の指示どおりのところには行けず、通常の経路に戻った。そして男は病院で降りた。
中央、肩が黒で全体が白のジャンバーの男性が、運転手に指図しだした。

後から各地の市バスのホームページを見てみると、大抵の市バスには、身体障害者のために通常の経路以外でも行ってくれるサービスがあることがわかった。この男性も、どうやらこのサービスを利用したようだ。しかし、バスに乗っている間は、男性が結構声高に指示するので、バスジャックに違いないと思ってしまった。

米国の市バスはこの他にも、バリア・フリーが進んでいる。車椅子を載せられるように、エレベーターが付いているのは当り前。また、前の方の席が折りたためるようになっていて、車椅子を固定できる。乗客も車椅子の乗客のためバスが遅れても、皆平気。誰も不平不満を言う人はいない。空港へ向かうバスも遅れる可能性があるので、注意しないといけない。

因みに、町で見る車椅子は大抵電動。一人で出かけて、バスに乗り、さらに遠くへ行く。そして、運賃は安い。また、空港でも、飛行機が到着すると車椅子でゲートまで迎えに来る職員を良く見かける。バリアフリーという概念が外から入って来て、そのまま英語が使われることからも分かるように、米国は日本に比べかなり進んでいると言わざるを得ない。

ただ乗りのセント・パトリックス・デー(St.Patrick's Day)

これもミネアポリスでの出来事。3月17日、この日はセント・パトリックス・デーであった。空港から町に向かうところで、いつものように市バスに乗った。目的地に着きバスを降りようとすると、運転手は料金箱を押さえ、降りろ降りろを合図する。違法ストでもやっているのか、料金は無料であった。乗り継ぎなどもあり、全部で3回バスに乗ったが、すべて無料。良く分からないので、宿泊先で聞いてみると、「今日はセント・パトリックス・デー。アイルランド人の祭日で、酒を飲まないといけない。酒飲みのために、バスは無料になるのだ。アイルランド人でなくても大丈夫。あんたも酒を飲みに行ったら。」と言われた。

どの町でも無料なのかは不明だが、さすが米国と思わせる経験であった。

市バスを乗り継ぐ豪の者

モンテレーのバス・トランジットセンターから市バスに乗ろうとした時のこと。
小さ目のバックパック1つの旅行者が、市バスの運転手に何やら聞いていた。どうやら、北へ北へ、モンテレーからサンノゼを経由して、さらにサンフランシスコまで、150kmはありそうな道のりを、市バスで行きたいらしい。しきりに乗り換えについて聞いていた。
米国では市バスの料金は、50セントから高くても1ドル50セント程度。これで1〜2時間走ることが多い。少し時間はかかるが、かなり割安に旅ができる。また、最近はインターネットで大抵の市バスの路線とスケジュールを予め調べられ、便利になった。
これまでは、米国でバスの旅と言えばグレイハウンド。しかし、インターネット時代は、グレイハウンドもびっくりの市バス乗り継ぎ旅行の分野が開拓されるかもしれない。


参考) さすが、インターネットは優れもの。セント・パトリックス・デーの情報も簡単に集められ、たちまち詳しくなれる。

http://www.historychannel.com/exhibits/stpatricksday/
http://www.st-patricks-day.com/
http://wilstar.com/holidays/patrick.htm



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