米国入国審査の絞られ方

2000年12月作成
2008年1月最終更新


米国の入国審査は通常は問題なく通過できる。しかし、たまに延々と質問されたり、別の所に連れて行かれて、荷物を徹底的に調べられることがある。

基本的に、入国審査が厳しいかどうか、時間をかけるかどうかは入国審査官次第である。従って、どの審査官は簡単に入国させ、どの審査官は厳しく審査するといったリストがあって、さらに入国審査場のどこに、どの審査官がいるということまで分かれば完璧であろう。しかし、現実はそう甘くはない。そのようなリストは見たことがないし、空港によっては、1列に並んで、最後に各審査官に振り分けるので、審査官を選べないこともある。もしも列が別れているなら、しばらく様子を見て、時間のかからない審査官を選ぶことくらいは、混んでいなければ可能であろう。ただし、実際には審査官が厳しいかとうかではなく、最も短い列に並ぶのが普通だ。

私の場合、これまで入国の経験があるのは、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、シカゴ、ニューヨーク(JFK)、ワシントン(IAD)、ミネアポリス、デトロイト、ヒューストン。この中で、入国時に少しでもてこずった経験がある空港は、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、ワシントンの4つ。(9.11以降は、デトロイトでひっかかることが多くなった。

まずは、入国の回数が圧倒的に多いサンフランシスコでの経験を紹介する。
これまでに40回以上ここから入国した。その中で、徹底的に調べられた経験が2回ある。1度目は、スーツにネクタイ姿で、観光と言って、入国しようとした場合である。週末、仕事帰りにそのまま空港に行き、飛行機に乗ったので、着替えていなかったのである。レンタカーであちこち回って、さらに知人に会いに行くだけなので、目的は明らかに観光。しかし、服装から審査官に不信に思われてしまった。
荷物を徹底的に調べられた結果、知人と落ち会う約束の場所を示した紙が出てきた。場所がたまたまオフィスだったので、これは仕事だと決めつけられ、結局、仕事で入国することに変更させられ、約30分後に放免された。

もう一度は、残念ながら何故引きとめられたのか正確には覚えていないが、荷物がほんの少ししかなかったことや、その他諸々で、合わせて一本であったような気がする。また、その時は他にも何人かの中国人が同じように詳しく調べられていた。
荷物が少ないことについては、サンフランシスコが荷物を受け取ってから入国審査を受ける特殊な空港であるとも言える。しかし、他の空港でも、税関を通って最後の担当官にいろいろ聞かれる所もあるので、安心はできない。

また、場所を変えて徹底的に調べられる程ではないが、希に長々と質問される場合がある。例えば、何度も米国入国を繰り返していると、どうして何度も米国に来るのかと聞かれる場合。「米国が好きで、何度も旅行している。」という答えで許して欲しいものだが、なかなか納得してくれないこともある。

米国ではないが、ここで引き合いに出したい有益なノウハウがある。フィリピンの入国審査は、通常は21日ビザ免除で、それまでは無料である。しかし、裏技を使い、通常は21日を越えると有料であるのに、59日間無料で滞在できるように、スタンプを押してもらった元イラン人・現カナダ国籍の旅行者がいた。彼の話によると、入国審査官から何日フィリピンに滞在するのかと聞かれた時に、「フィリピンが素晴らしい国だったら、3週間以上滞在したいが、もしもそうでなければ、さっさと帰る。」そう答えたところ、59日間無料で滞在できるようになったそうだ。

米国の入国審査でも「米国が好きで、何度も来ているのだ。」と答えれば、”Welcome to the United States"と言って、簡単に通して欲しいものである。

次にロサンゼルスの例。これは入国審査と言うのかとうか不明だが、税関を出て、最後に税関の申告用紙を手渡して外に出るときに、徹底的に荷物を調べられたことがある。この時は、ロサンゼルスからさらに、ボストンに乗り継ぎがあった。しかも、ロサンゼルス到着が遅れ、時間が15分しか残っていなかったのである。そこで、猛ダッシュで通過しようとしたのである。ところが、人が急いでいるにもかわからず、担当者は全然平気。走っているので怪しいと思ったのか、徹底的に荷物を調べ出した。検査が終わり、無罪放免され、再び慌ててゲートに行くと、私が搭乗するなり飛行機のドアは締まった。 「急がば、歩け。」これが教訓である。

シアトルの入国審査は、あまり評判が良くないが、通常より少し長め、一人一人に1分くらい質問するくらい。UAのシアトル便のキャンペーンの時に、何度か入国したのだが、それほど問題は無かった。

ワシントンは、UAでのヨーロッパからの帰りである。あるとき私が並んだ列だけ、非常に時間がかかった。そして自分の番になりわかったのだが、その入国審査官は、外国語を熱心に練習したがっているのであった。私の場合も、日本語でいろいろ質問を受けた。しかし、非常にフレンドリー。たくさん質問されたが、絞られたというより、日本語の練習に付き合ったという感じだ。

最後に総括すると、米国審査入国の回数が多いと、何度か入国で絞られることもありそうだが、それほど厳しいわけではない。(9.11以降は、厳しくなったと言わざるを得ないだろう。)そして、同じ質問も結構多いので、想定質問に対し入国審査官うけする答えを予め準備しておくのは意味がありそうだ。

米国に比べ、イギリスを除いたドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国、そして、香港、シンガポール、韓国などのアジア諸国はほとんどフリーパス。簡単に入国できる。米国の入国審査は少し厳し目というのが、全体の位置付けであろう。


最後に放言。

世界の国から世界の国へ。すべての国の組み合わせの入国審査難易度(星取り)表なるものがあれば、是非見たいものだ。数段階で難易度が示されていれば十分だ。ミレニアムサミットの欠席国がどういう位置付けになっているのか、とか是非知りたいものだ。しかし、残念ながら、実際にはそんなものは存在しないであろう。 それとも、世界には一人くらい暇な人がいて、インターネットで公開しているかもしれない???



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