特集 スターアライアンス特典で行く中国古都巡り

第三部 西安

2012年7月作成



西安は、説明するまでもなく元 長安。前漢、隋、唐などの都があった。秦の都 咸陽も、西安の郊外にある。西安というのは、どうせ最近になってつけた名前かと思っていたら、Wikipediaによれば、明代から西安と呼ばれるようになったそうで結構歴史がある。

ピンマーヨン(兵馬俑) 門票150元

世界の八大不思議の一つとも言われていて、西安と言えば 兵馬俑というくらい名前が売れている。秦の始皇帝の威光は絶大と言えそうで、毎日多くの観光客が訪れ、兵馬俑が西安に莫大な収益をもたらしているのは間違いない。しかし、入場料があまりにも高く 今回の安宿代4泊分くらいの金額で、改革者というよりは独裁者のイメージの方が強い始皇帝の墓詣でのようなことをするのはいかがなものか、そう思って、最後まで ここに行くのは乗り気ではなかったが、折角なので行ってみた。

一号坑
壁の部分の上が波打っているが、もともとは 上に丸太が並べてあったそうだ。一周約500m

修復後、出番を待つ兵馬俑

発掘した状態を留める兵馬俑
洪水などで倒れていて整列していない。

兵馬俑の足の台座
大きさが標準化されているかと思って 比べてみたが、兵馬俑の顔がそれぞれ違うように、台座の大きさ、厚みもいろいろだった。

地面の断面

地層の重なりが見られ、何度も洪水が起こったことがわかる。


ここでも失敗続き、

なかなかたどり着けない兵馬俑

積極的に兵馬俑に行きたいと思っていなかったのが そもそもの課題だが、現地にたどり着くまでにはいくつもの関門があった。まずは、兵馬俑行きのバス乗り場から。バスは西安駅前から出るはずで、駅の回りをウロウロ探してみたが 乗り場が なかなか見つからなかった。諦めて退散しようと思ったら、外国人のグループが歩いて行くのが目に入った。多分、兵馬俑に行くのだろうと、後から同じ方向に歩いて行ったら その通り。兵馬俑行きのバスが沢山停まっていた。駅前というより駅横だった。南から駅に向かって、右の端の方の広場からバスは出ていた。

兵馬俑行きのバス 306番 @西安駅横

チケット売り場とゲートを2往復 歩いて2km

兵馬俑に行く多くの人が乗る306番のバスに乗れば良かったのだが、その横に停まっていた高速経由のバスに乗った。こちらも兵馬俑行きかと思っていたら途中で降りる必要があり、ピンマーヨン、ピンマーヨンと繰り返し言っていないと、乗り過ごすところであった。なんとか近くでバスを下車できたが、その後よく分からず、紆余曲折の末 兵馬俑の入り口にたどり着いた。しかし、そこで悲劇が起こった。入り口なのに、なんとチケットが売っていない。服務員に聞いてみると、あっちだと言って指差すので、もと来た道を引き返した。結局500mほど離れたところにチケット売り場があり、これまで中国で払った最高の150元の入場料を支払って、何とかチケットを入手した。そこから兵馬俑の入り口まで無料バスが出ていたので、それに乗れば良かったのだが、その時は分からなかった。帰りの西安行きのバスが並んでいるようにしか見えなかったからである。またトボトボ歩いて、兵馬俑の入り口に戻った。帰りも含め、結局、この道を2往復、2km余り歩くことになった。

バスが停まったところ

兵馬俑の入り口へ向かう道

二十万人生き埋めの誤解

焚書坑儒は歴史の時間に習うので記憶に残っていた。さらに、その当時 20万人を生き埋めにしたという話があり、それも始皇帝の仕業で、そんな野蛮な人物の墓参りのようなことをしたくないと思っていた。しかし、始皇帝による生き埋めは坑儒の儒者たち500人ほどで、20万人の方は誤解であった。そちらは、項羽が生け捕りにした秦軍20万人以上を生き埋めにしたということである。

さらに、40万人の生き埋めもあり、そちらは紀元前260年、秦と趙が戦った長平の戦いで、趙の捕虜40万人が生き埋めにされたということである。

それでは、ここでの主役 始皇帝の残虐は、坑儒で数百人を生き埋めにしたことだけかと言うと そうではない。兵馬俑や始皇帝陵を造るのに、罪人を70万人動員したと言われている。例えば、不老不死の薬を探しに行くよう命令され、見つからないと罪人にされるというようなことを書いているのも見かけた。兵馬俑が20世紀後半まで地中に埋まって、盗掘されることなく そのまんま残っていたのは、これにたずさわった人が 全員処刑され、情報が漏れなかったからだということで、ここでも残虐が存在したのは間違いないだろう。

三顧の礼で行く、 陝西歴史博物館 免費

兵馬俑の入場料が高いのに比べ、こちらは入場無料なのが良い。
課題は、混みあっていて入場制限しているので、長い列に並ばないと入れないことであろう。
そこで、三顧の礼で対応した。すなわち、一度目は、様子見で すぐに退散。同じ日に時間を変えて戻ってきてもやはり混んでいるので再び退散。これは朝イチで出向くに如くは無しと、次の日の朝、開館の30分前から並んだところ合計で40分ほど並んだだけで済んだ。早起きは三文の得のもう一つのおトクは、順路の反対から進めば、最初の30分くらいは、他にほとんど人がいなくて、落ち着いて展示を鑑賞できた点だ。

この博物館は、沢山の人が並ぶだけに、当然 展示が充実していてお薦めだが、入場のための待ち行列が難点である。これに対して、洛陽博物館は、ここと同様無料で、展示も充実していて、しかもガラガラだったので、さらにお薦めだ。

陝西歴史博物館

陶器でできた建物の模型。
唐の時代に作られた副葬品

唐三彩の駱駝

始皇帝による貨幣の統一の展示

始皇帝による文字の統一の展示

無料入場券をもらうための長蛇の列

城壁サイクリング 門票 40元 + 自転車レンタル 40元

西安の中心部を取り囲むように城壁が残っている。明代にできたもので一周約15km。自転車をレンタルして 軽くサイクリングで一周することができる。これも費用が高過ぎるのが難点で、食堂で3元のビールを飲んでいるのと比べると、実にビール26本分以上に相当する。それでも、サイクリング好きとしては、記念に一周してみたくなった。

町の南側の城門

城壁の上
結構ガタガタしているが、なんとか
自転車で回れる。

途中の景色の一例

清真大寺 門票 25元(冬季割引 15元)

町の中心近くにあるイスラム寺院。しかし、建物は中華風で、モスクというイメージではない。周囲は昔ながらの雰囲気の残る店が沢山あり、観光名所になっている。

清真大寺の本殿

清真大寺の内部

清真大寺周辺の町並み

その他の西安の様子

鐘楼(Bell tower)
町の中央にある

鼓楼
鐘楼の近く

大雁塔

大唐慈恩寺遺跡公園 免費

テーマパーク 西安芙蓉園門票 120元

書院門
筆、硯などを売る店が並ぶ

観光案内所
鐘楼と鼓楼の間にある

通りのようす

バブルの気配を探して

以前 米国の消費が世界経済を牽引していた頃、貯蓄よりも消費にお金を回すという米国人気質が、米国の消費の本質で、ひいては それが世界の経済を引っ張っているというような言い方をされていた。それと比較して中国を見ていると、日本のようなコンパクトな車はほとんど見かけない。乗用車でもやたらと大きな車が多い。歩道に入ってきて、クラクションを鳴らし、いかにもオレ様は偉いのだと言いたげに、歩行者を追いたてて、車を停める。日本なら成金趣味と言われそうだが、高級車がブランド店の前に並んでいる。米国の消費志向と比べ、中国では見栄が経済を引っ張っているのではないかというのが、中国を歩いていて思うことである。

ブランド店の前に並ぶフェラーリ

高級マンション

高級住宅

歩いていたら、高級住宅街の前にさしかかったので、様子を見ていたら、高級マンションの一階には、何軒も不動産屋が入っていた。昨年からバブルの崩壊が言われているのも影響してか、店じまいしている不動産屋もあったが、その他の店で貼り出された物件を見ていると、強気の価格設定が続いているのが分かった。高いものでは、630平米の家で1400万元という2億円に近い物件もあった。全般には日本円で3千万〜5千万円程度の物件が多い。高級マンションを見ていても、人が住んでいる気配はほとんどない。これは、バブルと言うのだろう。

公園にて

上の写真の高級マンション、高級住宅のある近くには、新しくて綺麗に整備された公園がある。公園と高級住宅街との立地は関係しているのだろうが、高級住宅の住人では無さそうな少年たちが公園の池で泳いでいた。公園は綺麗に整備されているが、池の水は濁っていて、遊泳には適さない。それでも人が泳いでいるのは中国的な光景だ。

新しく出来た公園

公園の池で泳ぐ少年


西安で泊まる

そこそこのレベル以上の宿は 予約サイトなどで簡単に見つかる。ここでは今回泊まったところも含め、安ホステルをいくか紹介しておく。

 鐘楼(Bell tower)青年旅舎

西安書院青年旅舎

Bell tower 鐘楼青年旅舎

名前の通り 鐘楼の横にあり、町の中心で便利な場所にある。バスの便も良いし、地下鉄も通っている。今回は、ここに泊まったが、一番の決め手は、その後 飛行機で日本に戻る予定で、空港バスの乗り場が近くにあるからだ。西安の一等地で、残念ながら安飯屋が隣接していないのがネックだった。それでも、少し歩いて、横丁に入って行けば、なんとか見つかった。YH協会の看板の揚ったホステルで、中は十分綺麗である。ドミトリー 40元

西安書院青年旅舎

町中を歩いていたら、宿の前にたどり着いた。建物の中が昔風で雰囲気が良さそうで、西欧人のバックパッカーが沢山出入りしていた。

Jano's backpackers, Xian

自転車で城壁の上を走っていたら見かけた。宿のサイトを見たところ、こちらも雰囲気が良さそうなので取り挙げた。ドミトリー 50元〜

食べる

西安賈三灌湯包子館

西安には包子店が多く、その中でも一番有名と言えそうなお店である。スープ入りで日本では小龍包、中国の他の場所では小龍湯包と言っている場合が多い。観光地なので、値段が高めで、写真のような10個入りで16元であった。開封では10元だったが、それでもボッタクリかと思っていた。こちらはさらに高い。開封の10元と西安の16元で 具の違いがどれだけあるのかは、良くわからなかった。安旅なので値段が気になる。

西安賈三灌湯包子館
@清真大寺の近く

灌湯包

美食城

今回泊まった鐘楼周辺は、一等地であり、表通りは安食堂を建てるような雰囲気ではない。そこで、ウロウロと探した結果、なんとか裏通りで、庶民的なフードコートを見つけた。それがこの美食城である。どこにでもありそうな名前だが、とにかく、安くて十分美味しいので気に入った。ビールは、雲南、広州などの安飯屋でも5元の場合が多いが、ここでは、3元か4元で良心的だ。

美食城

鉄の鍋の上にご飯を載せ、さらにその上に選んだおかずを載せて、焼いて暖めてくれる。

上の美食城とは別のフードコートで食べた
乾パンをサイコロ状に切ったようなものが入ったスープパスタみたいな食べ物と(左)と涼菜(右)

交通

安旅なら路線が充実しているバスに乗るのが基本であろうが、地下鉄も走っていて、そちらは、乗っている間の場所の把握が簡単で、よそ者には便利だ。

空港までバスで行こうとしたら、空港バス乗り場の手前で待機していた客引きにあい、乗り合いタクシーに乗ることになった。ちょうど客が一杯になり、すぐに出発したので30分程度で着いてしまった。バスなら1時間以上かかりそうなところで、タイミングが良かったと言える。

西安駅

バスターミナル
@西安駅の対面

空港バス
複数路線あるが、鐘楼ちかくのMelody hotel前から出るバスが一番便数が多く、西安駅前からもバスがある。

西安の真ん中を南北に地下鉄が
走っている。路線は順次拡張される
そうだ。


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