「女人街、男人街はデフレ・スパイラルか?」

そもそもデフレ自体は、値段が下がれば、さらなる値下がり期待で、買い控えか購入先延ばしが起こり、その結果需要が減少し、ますます値段は下がる。デフレはスパイラル的に起こるのが当たり前。デフレとデフレ・スパイラルとは 一体 何が違うのかと、そんな風に私は考えていた。

ところが、政府の経済報告によると、デフレ・スパイラルとは、

@物価下落で企業の売上減少 → A企業収益減少 → B企業行動が慎重化し、設備・雇用を調整 → C設備投資や個人消費などの需要減少

このような長い連鎖で、物価の下落と経済の縮小がスパイラル的に進行することをいうそうだ。

それでも、女人街、男人街がデフレ・スパイラルかどうかを云々(否定)するには、

・ここで売っているものの値段は下がった。
・売上は増えた。
・「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」 
 利益は減っていないか増えた。

この3つのことが明らかになれば十分であろう。それには、どこかの機関が発行する統計データを見るのが一番早いが、そんなものは見当たらないので、ここでは楽しく考察するのみである。

ものの値段が上がったか、下がったかという点については、時計の例に見られるように、下がったと判断して間違いあるまい。

売上が増えたか、減ったかという点については、これも時計を例に取ると、値段が下がっても、3個50HKドル、6個100HKドルというように、まとめ買いする人がどれだけいるかが大きく影響しそうだ。ものの値段が個人で買える手頃な値段まで下がると、需要が急速に伸びるのは、良くあることだ。しかし、ここで売られている時計は、はるかに そのレベルを下回っている。私の場合、先に示した写真の3個の時計を買ったのだが、それは フィリピンに帰ってお土産にするためである。お土産に 沢山買うのにも ちょうど手頃な値段になった。ただ、日本へ お土産として持って帰っても、「何だこんな安物」と、逆に嫌われるだけだろう。ところがフィリピンでは、近所の子供たちも、時計など持っていない場合が多いので、ちょうど都合が良いのである。

結局、需要は東南アジアや中国の山の奥の方に沢山ありそうだ。そのあたりで大量に売れれば、安物時計全体の需要も増え、量産効果で、ここ女人街、男人街でも、値段は下がるだろう。ただ、この場所での売上に関してだけいうと、私のように、ここで買って、そのような田舎まで、お土産として持っていく人が多くないと苦しそうだ。幸い香港に大量にいるフィリピン人を始めとする出稼ぎ労働者たちは、そのような お土産の買い手であろう。出稼ぎの人たちが帰国する時に 持って帰る荷物の中には、大抵この手の時計も入っているに違いない。

残念ながら、これだけでは、売上が増えたかどうかを予想することは難しい。そこで観点を変えて、店が増えたか減ったか、客が増えたか減ったか、客の財布の紐の具合はどうか、この3点を考える。店の数は以前から変わってなさそうである。また、相変わらす混み合っていて通るのが大変。客が減ったとも思えない。財布の紐については、これは部外者が云々するのは難しい。そこで、私自身のことで判断すると、上の写真のように、今回も いろいろお試しで買っていて、財布の紐を硬く締めているという実感はない。

結局、独断と偏見で、売上は横ばいか微増。 勝手にそう予想する。 店の数と客の数、そして町の活気から判断してもそんに外れてはいないだろう。

売上が減らないならデフレ・スパイラルもない。 デフレだが、私のような安もの買いが沢山やってきて、まとめ買いしていくので、物は売れ、景気は悪くない。良性のデフレだと、そう判断した。

そもそも2箇所の路地でインフレかデフレかデフレ・スパイラルかと議論しても意味が無いという、ごく当たり前の意見をお持ちの方も多いだろうが、ここでは、そのような硬い話は抜きにして頂きたい。


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