特集 Reddingの歩き方

2000年11月


Redding(レディング)は北カリフォルニアの小さな町。United Express が飛んでいる。ここで紹介したからといって、どれだけ参考になるのか大いに疑問があるマイナーなところだが、例によって、この町でのズッコケ話を披露する。20km近く歩くハメになってしまった。

空港の周辺を歩く

空港の建物 空港の外側は一面原っぱ

Redding空港はプロペラ機だけが到着する空港で、小さな建物があるだけ。
空港の前は、広い原っぱである。周りには建物も少ない。バスも来ない。空港前の道路には歩道があるような気もしたが、実は、道路の両脇の草を刈ってあるだけのようだ。

それでも、バスが来ないなら歩くしかないと、空港からハイキングを始めた。

空港前の道路にある歩道。というよりは、ただの草むら

どんどん歩けば、バス停が見つかるかもしれない。宿があるかもしれないと思って、歩いていたが、見つかったのは鳥や、松ぼっくりや、いろいろな木々など、植物や動物ばかりである。

意外な場所で意外な鳥。
歩いていて出くわした
ダチョウのような鳥。
途中で、巨大松ぼっくりが、
沢山落ちていた。

インターネットでモーテルのアドレスを打ち込み、場所を地図に打ち出して行ったものの、歩いても歩いても、そのモーテルは見つからなかった。さらに3kmほど歩いたが、やはりモーテルは見つからず、結局4時間近く10km以上の道のりを歩いて、日も暮れた頃、空港へと戻ってきた。

結局、空港使用料 = タクシー代26ドルを払う

空港へ戻ったが、バスも無し、モーテルも無し。仕方がないのでタクシーで、ダウンタウンまで行き、インターネットのクーポン雑誌のサイトで見つけた最も安いモーテルにたどり着いた。そして、関空よりも高い空港使用料=タクシー代を払うハメになってしまった。

また、モーテル代よりタクシー代の方が高いという情けない結果でもあった。

ダウンタウンのモーテル街



ダウンタウンを歩く

紅葉を楽しむ

次の日は、夜行でマイアミまで行くので、出発まで十分時間があり、前日同様 Redding を歩いた。実は Redding は2回目で、前回はレンタカーでサンフランシスコから、オレゴン州のクレーター・レークに行く途中に立ち寄った。立ち寄ったといっても Redding の町は通過しただけ。その北にある Shasta Lake という大きな湖の近くで宿泊した。今回も、バスで湖の近くまで行くことは可能であったが、初めてである街中を歩くことにした。

町のすぐ横に、サクラメント川が流れている。そして、川沿いは公園になっていて、その中を遊歩道がある。

サクラメント川 サクラメント川遊歩道

11月で紅葉が美しかった。

紅葉は、町の至る所で見られるが、サクラメント川横
公園の紅葉が特に見事であった。

Redding は田舎町で、色々な植物が見られる。左の写真の針葉樹は米国各地で見るが、この町では特に多い。針葉樹というよりは、針樹と言った方が良いような細くて高い木だ。

細長い針葉樹が2本

この木何の木? 木には
ならないけど、気になる木。



ダウンタウンのゴースト・モール

川から戻り、町の中心部にショッピングモールを見つけた。これ幸い、フードコートで食事をしようと、中に入ってみたところ、地獄絵を見てしまった。何と客がいない。フードコートもない。ゴーストモールと化していたのである。 店はスーパー以外はほとんどなく、ジムや病院、オフィスが少しあるだけで、ほとんど、もぬけの殻であった。

郊外に、Circuit City や、別のモールが並んだ場所ができており、どうもそちらに客を奪われた様子だ。

ダウンタウンにあるモール

少し余談だが、米国で、このようなゴースト・モールは他でも見かける。サンフランシスコの近く、シリコンバレーにバルコと呼ばれるショッピングモールがある。アップル・コンピュータの本社から2kmほどしか離れていない便利なところにある。私はここを、一昔前から百回以上利用していた。ここは以前は賑わっていた。テナントもぎっしり入っていた。

ところが、その後、そこから10kmも離れていないウインチェスターに巨大なショッピングモールができた。ウインチェスターはピストルで有名な名前だが、この町にはウインチェスター・ミステリー・ハウスと呼ばれるウインチェスター家が元住んでいた家がある。そのウインチェスターにできたモールは、品揃えが豊富で、当然賑わっていて、私も良く行くのだが、日本の元バトミントン選手であったタレントを見かけたこともある。

そして、バルコの方はというと、最初は問題なかった。長く親しまれていたモールなので、それなりに続いていた。しかし、徐々におかしくなっていった。まずは、デパートの1つが撤退。そして、空き家が増えていった。そして2年前行った時には、ほとんどゴーストモールと化していた。ここで、革ジャンバーを売っていたはずだ。ここでは、センスが良いカリブ海風のTシャツが売っていたはずだ等など、すべては過去の話になっていた。店が撤退し出すと、客足が遠のくのと相乗効果で、雪崩現象を起こし、アッという間にゴースト・モールができる。

さて、そうは言っても、私は今でもバルコのファン。愛着を感じるのである。そして、先日ある有名旅行ガイドブックのシリコンバレー版で、このバルコを見つけた。しかし、ウインチェスターの方は一切書かれていないのである。一昔前に終わってしまったモールだけを取り上げる紙面からは、編集者のこのモールへの思い入れが感じられる(!?)



世界初を確信
空港までの足にバスを使う
そして、空港まで歩く

行きでタクシーに乗る羽目になったので、帰りは4時間の歩きかと思っていたら、幸運にもバスを見掛けた。ダウンタウンのバスセンターまで行き、システムマップをもらい検討してみると、空港のそこそこ近くまでバスが行っていることを発見し、一気に気分が楽になった。おかげで、町を十分堪能し、その後バスに乗って空港へ向かうことができた。

ダウンタウンのバスセンター
残念ながら、空港にはバスは
行っていない。

空港から寄りのバス停

それでも3km以上歩く。


システムマップを見れば、どこで降りれば良いか容易にわかる。前日の歩きに比べれば、たいした距離ではないので、バスを降りて、気楽に歩き始めた。

そして付き当たったのがこの橋。日本ならこの手の橋には、高速道路以外は
かならず、歩道が付いているものだが、その手のものが何も無い。

なんとか、橋は通過したものの、この橋を歩いて渡った人がこれまで、何人いたのか、それとも、私が初めてなのかと疑いたくなるようなところだった。

さらに、橋の近くには、放し飼いの犬がいて、こちらに向かってくる。ひるまずこちらから かかって行くくらいの意気込みで対応しなければならない。山から降りてきた猿の対処の仕方と同じで、弱気はいけない。

いずれにせよ、この2つの事実からでも、これまで市バスを利用して空港に向かった人はいなかったにちがいないと確信した。間違いなく世界初だ。

普通なら歩いて渡るとは考え難い橋


最後にアップグレード証書の枚数でもめる

以下、話が少し長くなってしまうが、

田舎の空港では、アップグレード証書のような瑣末なことは、気にかけていないことが多い。それで、枚数が少し違って請求されたりするかもしれないが、そんな時は、目くじらを立てないで、上手く角が立たないように言いたいものだ。


Redding からサンフランシスコ、シカゴを経由してマイアミに行く予定であった。
今回は事前にアップグレードしていたので、空港でチェックイン時に、必要枚数の500マイルごとの証書を出したところ、チェックインの職員から1枚足りないと言われ、一悶着あった。従来なら言われるままにするところだが、航空会社のルールは、私には分からないことだらけ。少しでも詳しくなりたいので、わざと食い下がった。

事の次第は以下のとおりである。

サンフランシスコ・シカゴ間  1846マイル
シカゴ・マイアミ間       1197マイル

証書は500マイル単位で、マイルを切り上げて計算するので、シカゴ行きが証書4枚、マイアミ行きが証書3枚、従って7枚の証書が必要なはずであった。
実際、最初に日本でアップグレードを御願いしたUAの職員からも7枚必要と言われた。
ところが、Redding の空港では4000マイル分で8枚必要と言われた。
職員が二人。一人の女性は経験が少ないためか全くわからない様子。そこでもう一人のベテラン男性に聞いていた。すると彼は即座に8枚だと言い出した。彼の言い分では、1000マイルを越えて2000マイルまでは、2000マイル分の証書が必要だとのことだ。どうやら5年、10年前にあった1000マイル分の証書と勘違いしているのか? しかし8枚だと言っているので、さらにややこしい。

計算方法を説明し、アップグレードを頼んだ時にUAの職員からも7枚必要と言われたことを付け加えても納得してくれない。彼らはUAの詳しい担当者へ電話を始めた。その担当者によると、今度は6枚だということになった。
7枚の方が正しいはずだと言っても、電話で6枚と言われたから6枚だと、今度はそう主張して譲らない。結局、証書を6枚渡して決着した。

シカゴからフロリダに飛ぶ場合、大抵証書の枚数をまけてくれる。オーランドやタンパに飛ぶ場合は1000マイルを5マイルや12マイル越えるだけなので、特にまけてもらい易い。電話の答えが6枚であったのはそのためか?
それとも、客がクレームまがい食い下がってきたためか?
1Kメンバーだけの割引? 理由が良く分からない。

さて、このやり取りは決着したと書いたが、ほんとの所は、6枚の理由以外にも決着していない点がある。
カウンターの担当女性は、最後に"I'm sorry"と謝っていたが、歌にもよくあるように、彼女の目の中には"I'm sorry"は無かった。客からブツブツ言われて面白いはずはない。おそらく、彼女の今日の晩飯を、まずくしてしまったに違いない。
そして、ベテラン男性は、少しも変わっていない。500マイルに満たない場合は1枚。1000マイルまで2枚。1500マイルまで3枚というように計算してもらえば良いのに、1000マイルを越えるといきなり2000マイル分で4枚だと主張したままだ。

8枚だと言われ、私が"No"とぶっきらぼうに答えたのが、まず悪かった。職員に計算方法を説明するのも、相手のプライドを傷つける行為に違いない。
日本語なら角が立たないように、なんとか話せそうだが、英語では何とかこちらの主張を伝えるのが精一杯。日本人嫌いを2人も造ってしまったに違いない。しかし、相手が間違っているのだし、こちらは、ぼられたような気分になり、ついつい、主張し、説明してしまったのであった。

都市・空港ガイド(レディング)



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