特集 日本からフィリピンへ その寄り道で行く雲南・ベトナム

第八部 元陽

2009年6月作成   
2018年7月最終更新


(→2009年9月更新分へ)

建水から元陽へ向かう途中の山道
かなりの標高である。


雲南省の元陽と言えば、棚田で有名なところである。そうは言っても、私の方も詳しいわけではなくて、以前昆明の茶花賓館のドミトリーで同じ部屋に泊まっていた人が、元陽は棚田があり自然が美しく、少数民族も沢山住んでいいところだと力説していたので、行く機会を伺っていたのである。

そして何とか現地にたどり着いたのだが、見事に失敗してしまった。バスターミナルに到着し、荷物を持ってウロウロするのもイマイチなので、適当に近くの宿にチェックインした。そこを拠点にして棚田を探そうとしたのだが、棚田の場所は、バス停の近くでなくて、歩いて行けるようなところではなかった。バスを降りてからさらに乗り換える必要があったのだが、そのまま降りたところに泊まってしまった。前回の土楼めぐりの永定と同じ失敗である。宿のオーナーが、車を出すから棚田を見に行こうと、しきりに薦めるが、それは 宿代の何倍も高くつきそうなので止めた。もう来ることがないのなら 車をチャーターしてでも回るところだが、また来ようと思ったし、雨が降り続いて棚田見物に行くような状況ではなかったので、今回は未遂で終わった。次回の訪問が実現すれば、更新して、棚田の景色を紹介するつもりである。元陽という題名で棚田の写真が載っていないのは、他にはありそうになくて、恥ずかしさの極みとも言えるが、人の行かないところをウロウロするのが私の常とも言えるし、予告編と受け取って頂きたい。

バスターミナル
元陽南沙汽車客運

建水、元陽間のバス

町の様子

町は宿だらけで、その一方客はほとんど見かけない。典型的な作り過ぎと言えそうだ。これから元陽の棚田観光が大ブレイクすることを見込んでいるのか?

バスターミナル付近は特に宿が多い

大きなホテル


(2009年9月更新分)

前回の失敗の敗者復活で、今回は何とか元陽棚田の絶景にたどり着いた。写真がすべてを物語っていて 特に説明は必要ないだろう。この絶景を見てしまった後で他の棚田を見ても、余り感動しなくなるのではと危惧され、ここは最後に取っておいた方が良いと思えるほどの絶景である。

元陽棚田

元陽新街鎮

棚田観光の基点だが、ここからの眺めは絶景とは言えない。町の中を歩いて絶景を探しても、道の両側の家並みが強力にブロックして、棚田も山もほとんど見えない。さらに 車に乗って、絶景の見える場所まで移動しないといけない。

泊まった宿は、雅風公寓(雅風アパート)というところで、一泊30元の安宿だが、バルコニーからの眺めは悪くなく、十分快適に過ごせた。泊まった最上階は三部屋あったが、他に客がなく共有バルコニーを占有できてたのも、宿には申し訳ないが、快適だった理由の一つである。

/* (2018年7月コメント追加)
 
30元の安宿のその後の料金の動向を検索してみたが見つからなかった。ただ、中国人バックパッカーが作成したリストに この宿の名前は載っているので、営業はしているようだ。
近くで、もっと新しくて設備も良さそうな50元の宿があるという情報も見つかった。現地の宿代は まだ安そうだ。

さらには、棚田のすぐ近くの宿の情報も見つかり、そちらは、棚田を見るには便利だが、値段が高く、80元でも上の50元の宿よりも設備はかなり劣るそうだ。さらに、この宿をagodaで予約すると120元取られるそうで、フィリピンのシキホール島や他の小さな島の零細宿の場合と同じで、辺境でのagodaの手数料の高さがここでも見られる。

*/

新街鎮の様子

町の中心部

泊まった宿のバルコニーからの眺め

左の写真と同様だが、向きを変えると、こうなり生活臭が漂う。安宿の所以でもある。

勝村

新街鎮からさらに十数キロ行ったところにある山奥の村。それでも結構人が住んでいて、大きな建物もあり、宿も少なくない。ベトナムとの国境の町、河口から勝村行きのバスが出ているくらいである。棚田のViewpointには近いので、ここに泊まって棚田巡りをすることもできる。ただし、観光客はほとんど見かけなかったし、宿泊客が居るような感じではなかった。空いているところを好む私のような人向けと言えそうだ。

少数民族

宿屋も結構多い

棚田のViewpointとその周辺

Viewpointの様子

この周辺に居た3時間くらいで、他の客に2組会っただけだった。この絶景では考えられない空きようだ。

Viewpointから、わき道に入り、しばらく行くと、崖っぷちの道になり、さらに行くと少数民族の集落があった。

稲刈りのシーズンだった。
棚田では、稲刈りの時期でも、田んぼに水が一杯であるのが、新鮮に思えた。
わらが湿らないよう、稲の茎のかなり高いところで刈って、その上にわらを乗せていた。

水浴びする水牛

嬉しそうにわらを食べる水牛

棚田では水が大切で、水を溜めているところが少なくなくて、そこが 水牛の水浴び場所にもなっている。どこに行っても やせた水牛を見かけないのは、水牛は水田を耕すために飼っているので、必然的に わらが一杯あって、食べ物に事欠かないというのが私の見立てである。水牛一頭で耕せる田んぼの面積と、それでできるわらの料の関係を知りたいものだ。水牛は毎日20kgくらいは食べたいだろう。それでも自分の食い扶持のわらくらいは自分で耕して得ているはずだ。

元陽棚田のたどり着き方

前回、情報不足と悪天候で、棚田を見ないで手前の南沙という町で引き返したが、今回もそう簡単ではなかった。前回の勘違いで学習しているので、今回は棚田に近い元陽の新街鎮というところまでは簡単に到着した。しかし、一日目は、周りをウロウロ歩いて棚田の眺めの良いところを探したが、イマイチなところしか見つからなかった。そこで、泊まった宿の人に地図を見せてもらって棚田の場所を確認すると、眺めの良いView Point(観景点)となっているのは、さらに10km以上行かないといけないことが分かった。さらに何箇所かに分かれているので、宿の人は、オート三輪をチャーターして行けと言い出した。以前行った「客家土楼」と同じパターンで、宿と運転手がグルになって ぼったくるのではないかと疑い断った。実際にはそんな悪意はなさそうだったが、いつものように、もっと安く行ける方法を探したかった。

自力で行くには、地図が必要だが、探しても売っていないので、宿で見せてもらった地図をノートに書き写した。結局その地図は、棚田のView Pointに行って、入場料(30元)を払えば もらえるのが後で分かった。

町のまん中の駐車場に ミニバンが沢山停まっていて、いろいろな行き先が書いてあり、地図で確認しておいたViewpointの名前を案内役の人に伝えると、しばらくして その方向に行く車が来たので、それに乗るよう言われた。途中で棚田のViewpointの看板が見えたが、とりあえず そのまま車に乗っていた。勝村というところに着いたので、料金の10元を払って そこで降りた。勝村を見て回った後、歩いて先ほどのView Pointまで戻った。2kmほどあったので、普通なら、再度乗り物に乗るところだが、歩いて途中の様子も楽しもうと思った。Viewpointに着いて、そこで かなり長い間絶景を眺め、さらにその周辺を散策してから、逆方向のミニバンに乗って帰った。

このようにミニバンを利用するのが一番良いというのが私の場合の結論である。

その他には、前述のように、オート三輪をチャーターする方法もある。3人居ればこれも良さそうだ。また、何日もかけて棚田を見物するのであれば、1日目は、これで回って、現地の地理感覚をつかみ、次の日から、別の交通手段で再度行ってみるという方法も考えられる。チャーターした場合には、普通はいろいろ回るので、1箇所で何時間も見ているようなことは難しい。他の乗り物を使えば、降りて 見物が済んでから、通りがかった別の乗り物に乗ればよいので 融通が利く。

タクシーも沢山客待ちしている。日本の感覚なら、15kmも離れているところにタクシーで行くのは、かなり高くつくので、普通は考えてしまうが、例えば 私の場合 マニラで10kmほど離れたところから空港までよくタクシーに乗るが、メーター通りに乗れれば、300円足らずの料金で済む。中国では、初乗りが8元、1km当たり2元程度の加算であろう。タクシーで棚田見物に出かける中国人を見て 金持ちと思ってしまうが、実はそれほど高く無さそうとも見積れる。しかし、ボッタクリがありそうだ。

路線バスもあるので、これに乗れれば、乗り物の中では一番安い。

乗合のミニバン

棚田観光専用の貸切オート三輪

元陽棚田観光業者のビジネス・モデル

上のたどり着き方のまとめにもなるが、日本の感覚では、これだけの観光地なら、目立つ場所に建てられた大きな看板に 棚田観光の地図が書いてあり、観光客が棚田のViewpointにたどり着き易くなっているのが普通であろう。しかし、現地にはそんな便利なものはない。なぜかと言えば、それをやっては、タクシーとオート三輪が儲からないからである。というのが私の見立てで、実際には 場所が不便なため、世界屈指の絶景に ほとんど観光客が来ないので、便利な看板も予算の都合で立たないという事情もありそうだ。しかし、私の見方もかなり当たっていると思う。


マイレージ特典旅行で元陽棚田観光のおトク度

「特典旅行、宿代を含めればツアーで行った方が安かった。」 これは、特典旅行の何大矛盾の一つで、特に香港やシンガポールに特典旅行で行く場合によく聞く話である。これの反対で、とてもおトクな特典旅行として、元陽の棚田観光をお奨めしたい。以前に、昆明を中心とした雲南行きの特典旅行を取り上げたが、それに追加したい。雲南をめぐるツアーは、インターネットで検索しても、安いものは見つからない。ハワイの格安ツアーなどと比べて、かなり高い。
これは、需要の問題もありそうだが、場所が不便で、現地で陸路を何百キロもどう移動するかということが影響していそうだ。現地の人やバックパッカーや私のように、普通にバスで移動すれば、非常に安く旅ができる。しかし、ツアーではそれはできない。ちょっと検索してみたが、北京滞在のツアーなら3万円程度からあるのに、元陽をキーワードで検索すると10万円程度からになっている。調べてみた約10万円のツアーでは、最小催行人数が10人となっていて、少なくともマイクロバスは使えそうなので、そこそこ原価は安くなりそうだが、ツアー代金は、他と比較してかなり高い。

一方、特典旅行の必要マイルは、ハワイの方が沢山必要で、雲南は中国の一部なのでエコノミーなら日本からUAで25000マイル、NWで20000マイルで行ける。

自力でバスに乗り、安宿に泊まって旅をすれば、前回示した旅の予算である1万5千円でも十分棚田に行って来ることができ、ツアーで行くより1桁近く安く済ませられる。しかし、普通は そんなに節約する必要はなくて、例えば現地で1泊3千円ほどのホテルに泊まっておけば、最高のレベルであろう。

昆明から元陽までバスで約7時間。そんなに長く乗っていられないという人は、私が話をする人の中でも少なくない。「そんな人は、家でのんびりして、インターネットにアクセスして 私の書いたレポートを読んでおいてくれ。」とも言いたいが、そういう人にも対応できるのが、別途書いた建水での途中下車である。ここで1泊すれば、バスに乗るのは一度に3時間余りで済む。ついでに、違う町も見て行けるので、おトクであろう。

さらに言うと、UAのマイルを利用するなら、北京や上海あたりで、ストップオーバーが可能である。ついでに、2、3日 北京か上海でも観光して行けば、さらにおトクである。ツアーと違って、何度も美味しいコース設定ができて、ますますおトクである。

おまけで、さらに言えば、私のように、フィリピンに帰る途中で寄り道して、ついでにベトナムまで行ってしまえば、一石何鳥かの さらなるおトクと言える。当然だが、私以外の人なら、目的地がフィリピンである必要は何もない。


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