特集 中国南方航空で行く雲南

第三部 世界遺産 麗江でミイラ・ルー(迷了路)

2006年11月


「世界文化遺産 麗江古城 江沢民」
と書かれた看板

麗江と言えば、少し前までは、秘境のイメージが強かったが、世界遺産に指定され、中国の旅行ブームが爆発し、飛行場もでき、今や一昔前の広州駅前を彷彿させるような賑わいになっている。
広場には、「世界文化遺産 麗江古城」という大きな看板が出ているが、世界遺産、世界文化遺産という4文字か6文字の経済効果が絶大であることは、この賑わいぶりから間違いないことだろう。

観光客が多ければ、土産屋やレストラン、ホテルなどができるのは当然だが、そこは 金儲けの中国人。異常と思えるほどの数である。日本なら民宿ということになるが、古城の中の民家を利用した宿の数は、100箇所をはるかに越えている。米国で多く見られるのと同様、過当競争で値下がりすれば、旅行者にとってはありがたい。

史跡や文化財などを、損傷や破壊から守るために、世界遺産の指定を受けるのが本来の目的のはずだが、そんなことより、世界遺産は儲かる。まずは金儲けだというように見て取れる。 批判するなら 来るな、泊まるな、食べるな、買うなということになるかもしれないが、私は、お土産を買い漁り、綺麗な宿が出来た方が良いと思っているので、金儲け側に組するメンバーの一人と言えそうだ。
そうは言っても、ここでは、例えば映画館、ゲームセンターは営業許可が出ないだろう。古城の中の人通りが多いところに インターネット・カフェがあるのも相応しくなさそうだ。安宿に泊まると、インターネットは無料。タイやフィリピンで観光地にはインターネット・カフェが沢山ある状況とは異なり、ここでは、店は出しにくく、無料が多くて 有料では客はあまり来そうにない。古城のビジネス・モデル全体の枠組みの中では、インターネット・カフェは儲からないということになりそうだ。
店や宿ができて、以前の壁が剥がれた状態よりは綺麗になるが、ビジネスは節度が必要で、あまりやり過ぎると乱開発のレッテルを貼られ、大切な世界遺産の指定を取り消される可能性もあるのではと思えてくる。

広場やメインの通りには多くの人出。

通路の両側にわ土産屋や食べ物屋などが並ぶ。

のんびりするのに良さそうな、隠れ家のような店もあった。

古城の迷路

その昔、戦略的な意味があったのだろうが、道はすぐに折れ曲がり、先の見通せない迷路になっていて楽しい。小道の数は多く、1日や2日ではマスターできそうにない。時間をかけて、全部歩いてみたいものだ。

迷了路(ミイラ・ルー 道に迷った)と言っている中国人には出会わなかったが、ここに行くなら、覚えておいても良い表現だろう。私の持っている中国語会話の入門書には、迷了路了(ミーラ・ルーラ)となっているが、覚えやすいのは、何と言っても、ミイラ・ルーラだろう。ミイラが歩いているわけではないが、とにかく忘れ難い。それで、迷了路了をインターネットで検索したところ、ほとんどなくて、たいていは、迷了路だった。しかし、ミイラ・ルーラでも通じるものと期待したい。

近くの丘から見た古城の様子

LやTを組み合わせた先の見通しの悪い細い道。

黒龍潭公園 60元

古城の北側にある公園。少し前のガイドブックでは入場料は8元と書いてあったが、今は値上がりして、60元となっていた。麺類を3元よりも2元のところで食べようと、延々と歩いて探している状況なので、2、3元なら良いが、5元でも入るかどうか躊躇するところだ。それが、60元だと思考が麻痺し、他のことを考えてしまう。噂では、中国では、入場料を値上げして、入場を制限し、文化遺産を守ろうとしているということであった。そういう話を聞くと、中の状況はどうなっているのか、確かめたくなってしまう。5元なら入るのを諦めるが、60元なら入るということだ。
その結果、予想通りだが、古城は無料なので、沢山の人で賑わっているのと比べ、こちらは、ほんの少ししか人を見かけなかった。

馬鹿高い入場料については、次のようなシナリオも考えられる。

すなわち、世界文化遺産の麗江古城を、古式ショッピングモールか、テーマパーク化して、一大商業地にしたのは、乱開発か やり過ぎだという批判が 一部の外国人の間から出てくるのは容易に想像できる。このままでは、世界文化遺産の指定を取り消すというような外圧があってもおかしくない。それに対するアクション・プランとして、黒龍潭公園に馬鹿高い入場料を設定し、観光客を締め出せば、町が文化遺産の保護に対して、何か取り組みをしていると、外に向かってアピールできる。

そうも考えてみたが、これは、特に後半が正しくない。
入場料が高いのは、ここだけでなく、中国各地での状況だからである。
こんなに高くては二度と中国なんかに来るものかと外国人観光客が言い出し、リピーターを失うリスクを犯してまで、高い入場料を取るのは、何か大きな理由があるはずだ。そう思ってインターネットで検索してみたが、納得のいく説明が見つからない。

入場料の話ばかりになってしまったが、中は綺麗に整備されていて、観光に適したところだ。しかしながら、割高感は否めない。

敷地の中には、東巴(トンパ)文化研究所や東巴(トンパ)文化研究所の解説の展示をしているところがあり、結構楽しめる。

東巴(トンパ)文化研究所

東巴文字と甲骨文字の比較
似ている場合が少なくないのだろう

その他

ホステル(麗江国際青年旅舎)

四合院と呼ばれる中国の伝統的な建築様式の住宅をホステルにしている。ドミトリーが1泊15元で、またまた、先ほどの公園の入場料と比較したくなる。ドミトリーは寝るだけの場所だが、広い中庭の雰囲気が良くて、くつろげる。ビールも売っている。インターネットは無料だ。ただ、周囲は迷路で、どこかで地図(パンフレット)を手に入れないとたどりつき難い。

麗江には雰囲気が良さそうな宿が沢山あるので、また行く機会があれば、他も試してみたいものだ。ドミトリーでなくて普通の部屋の場合、新市街のホテルで50元ぐらいから泊まれるので、古城の中でも、100元も払えば結構雰囲気の良いところに泊まれるはずだ。しかし やはり安さ一番で、再度15元で泊まっているかもしれない。

新市街

旧市街(古城)の横に、新しい町並みが広がっている。食事は、観光地である古城でなくて、普通の町である新市街に行った方が 概して値段が安い。ただし、古城でも、現地の人が粥をすすっている小汚い食堂に行く 私のような人物にとっては、こちらも安い。

麗江第一高級中学

古城の端へ端への歩いて行ったら、麗江第一高級中学の門があった。
高級中学というと「何、それ?」と思ってしまうが、中国では、小学校、初級中学(中学校)、高級中学(高校)、大学、大学院という区分になっているそうである。小、中、大という区分からすれば、日本よりも整然とした名前の付け方と言えそうだ。初級に対しては、上級だろうとも思ってしまうが、そこまでこだわることもないだろう。

敷地は広大で、校舎も沢山あり、これが高校(高級中学)かと疑いたくなる立派さだ。フィリピンで ここより立派なキャンパスを持つ大学は、それほど多くない。中国は教育にお金をかけていることが良く分かる。喜報と書かれ、試験の結果の氏名と得点を、成績順に張り出してあった。学校の外に張り出してあるところに厳しさを感じる。

麗江第一高級中学

喜報


これを読んで、麗江に行きたくなる人が出てくるかどうか疑問だが、私が旅行会社の人間ではなくて、正直に思ったまま書いた結果が以上である。それでも、食事は安いし、ドミトリーなら宿代は無料みたいなもの。雰囲気の良い宿でも お手ごろ価格で泊まれそうだ。人は多いが、ちょっと外れたところまで行けば、静かで、コーヒーでも飲んで くつろげる店も見つかる。迷路の完全制覇を目指して、再度 時間をかけて訪れたいものだと、私自身は思っている。

余談ばかりで、書いている内容についても 迷了路了(ミイラ・ルーラ)と言えるかもしれないが、
麗江は、今ではメジャーな観光地となり、普通の観光ガイドは、インターネット上でいくらでも見つかる。(Googleで142万件) 普通の情報が必要ならば、別途検索願いたい。




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