特集 中国南方航空で行く雲南

第四部 金持ち中国人が台頭し、サニ族から相手に
されなくなった貧乏日本人旅行者@石林

2006年11月作成
2008年 2月更新


記念撮影のポイント

ここが石林で一番有名な場所だろう。

これまで、石林での定説と言えば、「旅行者が日本人であることがばれると、どっとサニ族の土産売りがやって来て、高い値段で、しつこくお土産を売りつけようとする。」というものであった。しかしながら、今時の石林は、金持ちの中国人旅行者が大量に闊歩していて、それに比べれば、日本人はほんのわずかだ。ほとんど見かけないと言ってもよい。日本人を相手にしていても、ビジネスにならないので、しつこく付きまとったりしないと言うことだ。

ここで日本人と書いているのは、私のことで、貧乏そうな私だけが、相手にされなかったのではないかという反論があるかもしれない。確かに、そういうこともあるかもしれない。見かけは大切である。
以前、初めて中国に来た時、桂林で、お土産に山水画を買おうとしたら、「お前は学生のように見えるから100元にしてやる。」と言われた。いろいろ話をしていると、「金持ちそうな日本人が来たら、同じ物を300元で売っている。」とのことであった。当時は、1元が50円の時代で、身なりだけで、1万円の違いになる。そんなことなら、いくらでも貧乏そうに振舞うのは当然だ。もちろんTPOは大切で、税関を通る時には、きっちりとした身なりでないと駄目なことは当然だ。

私がサニ族からどう見られたかは別にして、お金持ちの中国人が沢山いて、相対的に、日本人が影響を受けていることは確かであろう。 石林の入場料は、なんと140元、2000円余りにまで釣りあがった。もはや、日本の相場以上に高いと言えよう。1本2.5元の燕京ビールの大瓶が50本以上買える値段である。それを平気で支払う中国人が大量にいる。ケ小平の鶴の一声の南方講話の結果とも言える 経済発展が、遂にここまで来てしまったかと、しみじみ思う。

石林のお掃除おばさん

石林の敷地内は非常に綺麗だ。ゴミ箱が沢山置かれている上に、お掃除おばさんたちが、常に掃除をしているからである。 140元の入場料は高いと思ったが、このように沢山の従業員が働いて、手入れをしているので、無料で裏口入場しようなどというのは良くないと思った。しかし、140元は余りに高すぎるので、適正価格にしてもらいたいものだ。

お掃除おばさんたちは、20年、30年前はまた若くて、ガイドしていたのではないか。ガイドの次はお掃除おばさんというキャリアパスが、ここでは できているではないかと、そんなことを考えてしまった。
それなら、現地で聞いてくれば良かったのだが、お掃除おばさんがいることも現地に行くまでは知らなかったので、準備不足であった。

お掃除おばさん

世界遺産却下  (2006年11月作成時)

私のような一旅行者がどうこういうようなことでもないが、感じたことを書いておきたい。麗江は バックパッカー向けの超秘境の町に過ぎなかったのに、中国で初めて世界遺産に指定された。それに対して、石林は、ずっと以前から、天下第一の奇岩か奇観だとか言っていて、広く知られていたところだ。こちらがなぜ先に世界遺産に指定されないのかという疑問を持つ。 基準を満たさずというのが公式の理由だそうだが、現地に行ってみてなるほどと思った。

現地に行く前に持っていたイメージはこうだ。太古からの奇岩が沢山並んで、岩の迷路のようになっていて、その隙間の砂か土または草の踏み分け道を、遠くから来た観光客が 不安げにさまよっている。そんなに 人の手は入っていないのだろうと思っていたのである。 そして、現地に来て見ると、確かに迷路のようにはなっているが、通路はコンクリートなどで固められ、階段があり、周囲には電気自動車が走っている。池はビーチリゾートのプールのようだし、広場ではコンサートも開かれる。完全に整備されているのである。手付かずの自然の反対で、完璧なまでのお手付きの自然である。一大 奇岩テーマパークと呼べる場所になっていた。自然も利用した立体迷路だ。これでは、世界遺産の登録は難しそうだ。

これに対し麗江の方はどうかというと、1996年に大震災が起こった。そして1997年に世界遺産に登録された。損傷や破壊から遺産を守るという目的に合致し、世界遺産に登録されるのが まさに相応しかったと言える。 
1998年にパッケージ・ツアーで、麗江を訪れた人の写真をインターネット上で見つけたが、まだまた ひなびた街並みが残っていた。
そして、地震から10年が経過し、観光を地場産業に掲げ、町は復興を果たした。観光客の私の目には、果たし過ぎたというように映る。徹底的に進めて、古式ショッピングモールか、テーマパークになってしまった。一言でいうとケバい。今からだったら、石林と同じように、世界遺産登録は却下されそうに思う。

そうは言っても、麗江も石林も、私は機会があれば また是非行きたいと思う。ちょっとやり過ぎの感があるだけで、どちらもいい所だ。
私は旅行会社で働く身ではないので、セールストークではなくて、正直に書いているだけだ。
「こちらでは梅雨がないと言っているので、8月に旅行した。すると、毎日雨が降ったので、実は梅雨があって、まだ空けていないのではないかと疑いたくなった。」 これと同じような事態は面白くない。

(2008年2月追加分)

2007年6月に石林も無事世界遺産に登録された。他二箇所との共同での登録に苦労の跡が見られる。



その他の写真も紹介しておく。

電動自動車の運転手をするハイテク(?)サニ族

ポイントには沢山の中国人

横道にそれると、探検に向きそうな洞穴もある。

上り下りも多いが、石段が
整備されている。

整備してゴルフ場にするのではと、疑いたくなるような場所

迷い込みそうな場所もある

展望台から見た様子





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