Plenty of change project

2002年1月作成
2010年5月最終更新


2010年5月追加分へ

物を買ったら、お釣りにキャンデーをくれた。ビーチリゾートに泊まったらお釣りが無いと言い出す。フィリピンの田舎へ行くと、こういった経験をすることが多い。一昔前の中国で「没有、没有(メイヨー、メイヨー。 ないよ、ないよ。)」と言われ続けたように、今でもフィリピンの田舎では、客に便宜を図ろうという意識に乏しい。

かといって、釣銭が有ろうが無かろうが餓えて亡くなる人が現れるわけでもなく、ここでプロジェクトの一つに取り挙げるほど、プライオリティがあるかどうかと言えば、疑問ではある。それでも、私を含め、大抵の外国人旅行者には、気分は良くないことだろう。ハエが居なくなるとの同様、外国人が沢山やって来易い環境をつくるという目的には意味がある。

フィリピンの田舎へ行くと状況は大体同じ。そこで、私の住んでいるシキホール島で実験をしているわけだが、まず、島の銀行に行っても、初回に1ペソ硬貨を100枚替えてくれる程度。続けて行っても、ほとんど在庫がない。それも、自分が口座を持っていて、現金を引き出す時でないと、小銭をもらうのは難しい。そこで、対岸の比較的大きな町ドゥマゲッティの銀行に行き、お金を引き出したついでに、小銭を持てるだけもらって来ている。これまでに、1ペソ硬貨で3000枚程度、5ペソ硬貨を1000枚程度持ってきた。そこそこ効果が出た時点で、知り合いの外国人から賛同者を見つける予定である。シキホール島には沢山の外国人が住んでおり、そのうち100人の賛同者が見つかり、同じようにしてもらえば、この問題はシキホール島ではいっきに解決することだろう。

一人の取り組みだけでも、そこそこの成果を挙げられる方法もある。
ドゥマゲッティの銀行ですべて、小銭だけもらって、何十キロも持って帰り、釣銭の無さそうな店に行っては、紙幣と両替する。これを何度か繰り返せば、結構効果があがるはずだ。
別の方法もある。ガソリンスタンド(コーラのビンにガソリンを入れて売っている小さなスタンド)へ行って小銭を集め、それを町の小銭不足の店に行って替えてもらうのである。ガソリンスタンドでは、通常トライシクルドライバーが客からもらった小銭で、ガソリンを買うので、小銭が貯まりやすい。それを、有効に使おうという作戦である。ただし、この方法では、小銭の総量は増えない。


2003年2月追加

ドゥマゲッティの銀行から順調に小銭を持って来て、2002年の終わりには、その数は累積 1ペソ硬貨で約6000枚、5ペソ硬貨で約3000枚に達した。たった一人だけでもかなりの数を持ってこれたものである。これが、人口数百人のカオハガン島のようなところなら、既に問題は解決している。しかし、人口8万人のシキホール島では まだまだ不足。プロジェクトのチラシをつくり外国人に配って賛同者を募るという取り組みを進めないといけないのだが、親しい外国人が軒並み国に帰ってしまっていて、残念ながら、手が付けられていない。大工と電気屋の監督に時間を取られているのも災いしている。早急になんとかしたい。

また、新たな課題が浮かび上がってきた。 インフレが進み貨幣が回収されるかもしれないことである。例えば、10ペソ札は 銀行では既に回収の段階に入った。あまり、のんびりとプロジェクトを進めていては、回収の憂き目を見る。


2005年12月追加

ホームページの更新が遅れている場合が多いが、他のプロジェクトも含め、たいていは 細々ながらもなんとか続けている。このプロジェクトも、細々と続けている中の一つであるが、それなりに、方向性が見えてきたと思うので更新してみた。

まずは実績だが、これまでに、1ペソ硬貨で約1万2千枚、5ペソ硬貨を約6000枚、10ペソ硬貨を約4000枚、それそれドゥマゲッティの銀行からシキホール島に持ってきた。
私のような特殊なお金の流れを作為的に作り出そうとしない限り、普通は、いろいろな地域で、お金が一方的に出て行ってばかりとか、入ってくるばかりとかではなくて、それなりに均衡すると考えられる。お金が あったら使ってしまうフィリピンだが、田舎では、近所でお金がぐるぐる回っていると容易に想像できる。これは随分強引な物言いで、ほんとは詳しく調査が必要かもしれないが、小銭に関しては特に間違っていない場合が多いように思われる。
そういう前提だと、私がお金を使うところというのは非常に限られていて、そこには、かなり小銭が増えたのではないかと、強引だが そう思っているし、実感もしている。

そうは言っても、シキホール島に住む他の外国人にも勧めるというステップは、諦めたわけではなくて残っている。自分でそれなりに実践したので、少しは説得力も増したことだろう。

どれだけこちらのプロジェクトが影響したかは別にして、良い兆候も少なからず見られるようになった。

ドゥマゲッティとシキホールを往復する船の上で、これまでは、切符売りは、全然つり銭を用意していなかった。ところが 最近は、5ペソ硬貨を結構な枚数準備している。運賃が75ペソなので、5ペソ硬貨を準備しておいた方が良いに決まっているのである。これまで、私は、半ばあてつけのようにして、5ペソを15枚というように料金を支払っていた。 その後かなり長い間この船には乗らなかったのだが、最近乗船してみて、5ペソ硬貨を沢山持っているのを見て、これまでの効果があったかなと思った次第である。

ドゥマゲッティの銀行で、いつものように小銭を引き出そうとしていたところ、よく知っているビーチリゾートのオーナーが、私と同じように小銭を沢山持っていこうとしているのを見かけた。特に勧めなくても、同じような行動をする人がいることが分かった。

「フィリピンへ行こう」を見て、シキホール島を最終目的地にして、現在ドゥマゲッティまできて、住んでいるという日本人の家を、先日 訪問した。その人によると 100ペソ、50ペソ、20ペソといった紙幣の百枚の束を銀行から引き出して使っているということであった。その札束をホテルで盗まれたという良くない話だったのだが、ここではそちらの話はおいておきたい。小額紙幣の札束を引き出して使うというところに、こちらの主張を参考にしていただいたふしがあるのではと思ったから取り上げた。本人には確認していない。 本人が 参考にしたというか、言わないかは、私にはどちらでも良いことである。とにかくそういう行動をとる人が居ることが、私には意味がある。


「フィリピンへ行こう」で、いろいろなことを書いている基本的な目的は、読んだ人に参考にしてもらい、真似をして、別の場所で試してもらうことである。このプロジェクトの場合、一番真似をしてもらいたい人は、フィリピンの田舎へ行って、私と同じように、「つり銭も準備せず、いい加減な国だ。」と憤慨した人である。そうは言っても、旅行者では効果も少ないし、実践は難しいので、フィリピンの田舎に住む人の中で、同じことを感じた人には、是非このプロジェクトに、勝手に参加してもらいたいものである。

新たな課題の指摘も受けた。

外国人だとドル預金が多いが、その場合のレートが問題である。銀行で両替まで済ますと、少しレートが悪い。銀行で小銭を引き出すには、両替が必要になり損するということである。確かにこれは当たっている。しかし、例えば、大半はドルのまま引き出し、小銭の分だけでも、両替してペソで引き出す等の方法で対応してもらいたいものだ。


2010年5月追加分

私個人としては、相変わらず、ドゥマゲッティの銀行で両替した小銭をシキホール島に持ち込んでいるし、ビーチリゾートのオーナーだけでなく、銀行の職員も一人で持てる限りの小銭をシキホール島に運んでいるそうである。また 訪問者で、こちらに来る途中で、買い物時に少しでもつり銭を集めて持ってこようという涙ぐましい努力をされた方もおられた。

シキホール島では外国人の住人も確実に増えているので、彼らの中から同志を集める努力をすれば、目標達成の可能性は高いと思うが、このプロジェクトが他と比べて 優先順位が高いとは言いがたく、時間不足の現状では、個人でせっせと続けているだけである。それでも書いているのは、誰か真似をする人が現れることの期待してのことである。

最近になって、訪問者の一人から これまでにない解釈を説明してくれる人が現れたので、今回はそれを紹介しておく。

島の中で小銭を鋳造したり、壊したりしないのであれば、普通なら島の中の小銭の量は増減がないのではないかというのが私の想定であった。そのため、シキホール島のような10万人足らずの人口の島でも、例え私一人でも、累計すれば 万の単位で故意に小銭を持ち込めば、そこそこ小銭は増えるのではないかと期待していた。

しかしながら、最近の一人の訪問者の意見は違っていて、外国人旅行者は、小銭よりも大きなお金の方をより多く持ち込んで、お釣りを貰うので、島から小銭を持ち出す方が多くなるだろうということである。私もこの意見と同感である。外国人旅行者が増えている現状では、小銭の持ち出しの量も増えていそうだ。

ただし、宿も増えて、オーナーが小銭をまとめて持ち込む量も増えているはずである。そちらは、それほど期待できそうにないが、とにかく、以前と比べて、お釣りがキャンデーという場合は減っているのも確かである。


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