浄化槽 〜続編〜

2005年10月


以前、自宅で試作した浄化槽を紹介した。浄化槽を通った後の処理された液体を、地面に広く戻すところに特徴があり、地中に埋められ、広く張り巡らされたパイプから、広い範囲に少しずつばら撒くようになっている。パイプの上に開いた多くの小さな穴から 水が出て行く仕組みになっている。
これは、近所に住むカナダ人から薦めたれた方法であり、詳しく解説した本もあり、カナダの田舎では一般的な方法である。しかし、フィリピンでは、今のところは 一般的とは言い難い。それでも、パイプの上に野菜でも植えれば、循環型の大変すぐれたシステムであることに間違いなく、田舎に暮す人には、是非お奨めしたいことに変わりはない。
ここでは、前回省略していた 周囲で普通に使われている方法について、補足説明しておく。

野つぼ式

便所の横に大きな穴を掘り、便器との間を パイプで直結する。そして 穴の上をセメントで固める。汚物や液体は、そこに溜められ、一部は周囲に流れて行く。とても単純だが、私の周辺の多くの家では この方法を採用している。
穴を掘る地面の地質が、堅いか柔らかいかで、状況は大きく変わることだろう。砂地や土ならば、穴は簡単に掘れるが、側面から壊れてくる可能性があり、セメントなどで固める必要があろう。私の家の近所では 地面は岩なので、穴を掘るのは大変だ。一方、側面は堅いので何もしない。

さて、右の写真、上をセメントで固められた穴の素性を紹介しよう。この家と穴のオーナーは、借金をして家を建てたが、借りたお金は踏み倒し、サンボアンガに逃げて 帰って来ない。妹が引き継いでこの家に住んでいるが、家を出て行けと言われたり、借金の返済を迫られたりすることはないそうだ。しかし、胡散臭い家なので、別の家を建てたいと 妹は言っている。
それは余談だが、紹介したいのは、この穴を掘る時に、姉が使った高度なテクニックのことである。フィリピンのいたるところで、宝物が埋められているという噂は絶えない。シキホール島も同様である。この姉は、ミンダナオ島からやって来たトレジャー・ハンターに言い寄り、彼女が大きな穴が欲しいところの地中深くに宝物が埋められていると主張。「もしも、宝物が見つかれば、あなたにあげる。」と、トレジャー・ハンターに言った。トレジャー・ハンターは、それを信じて、何週間もかけて、ひたすら穴を掘り続けた。結局、宝物は見つからず、深い穴だけが残った。姉は トレジャー・ハンターに150ペソだけ支払った。近くのアメリカ人は、自宅の浄化槽の穴を掘るのに8千ペソ支払った。渡りに舟のトレジャー・ハンターのお陰で、ほとんど無料で穴が掘れたのである。

通常の浄化槽

上のような、設備は現地の人々には普通だが、外国人が真似をするような代物ではない。そこで、近所の日本人がつくった設備を紹介する。営業用で、そのための認可を得る必要があるため、しっかりした造りになっている。写真の手前にメインの浄化槽がある。上に付いたふたから二槽に分けれていることが分かり、以前紹介したように、液体分だけを、先に進めて外に流す仕組みになっていると見受けられる。その後、パイプでつながれた もう一つのタンクに 液体は流れて行き、そこから外へと出て行く。こちらは、フィルターになっていて、砂、炭などで層が出来ている。

この設備のようにフィルターを通し、その後、以前紹介したように パイプを張り巡らして、広い範囲で放出するのが、一番良さそうな気もするが、個人的には野菜を植えることに拘りたい。その場合は栄養分を残すためフィルターはない方が良い。


インターネットで検索して、いろいろな情報が見付かった。その中で、便所で紙も一緒に流すかどうかについての情報があった。東南アジアでよく見かけるように、紙はくずかごに捨て、流さないようにすれば、15年から20年は 何もしないでそのまま使えるが、紙を流すと2年ほどで汲み取りが必要になるというものである。私は、自宅では平気で紙を流しているが、検討に値する内容だろう。

田舎で下水道は期待できないが、都会でもどうなっているのかは不明だ。というより、がっかりしたくないので、あまり調べたくない。「マニラでは下水道の普及率が低く、替わりに排水路が使われていて、雨が降ると、これが溢れて、、云々。」というようなこともインターネットで見つかった。フィリピンの環境関連法律も、インターネットで簡単に調べられ、それを読めば、下水道のことも いろいろ規定してあるのが分かる。ただ、「下水道が利用できる地域では、、、 」というような条件になっているだけだ。

田舎暮らしの方が安心だと思ってしまう。


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