台風と土地選び

2002年12月作成
2013年12月更新


(→2013年12月追加分へ)

フィリピンのどこかに 家を建てようとした場合、場所によって 台風の影響を考慮しておかなければならない。

台風が来やすい地域、来にくい地域

台風が来なくて安全だと、地元の人が自慢しているのは、ミンダナオ島のダバオだ。
ダバオ近くの田舎の島に住んでいる貧乏な人たちは、ちょっと風が吹けば飛ぶよな、簡単な造りの家を建てている人が多い。
ダバオは、台風が発生する位置よりも十分南にあり、また そのあたりの風向きから、台風が、さらに南に進むことはない。それでダバオには台風が来ないという説明が一つ。また、ダバオの北にはアポ山があり、台風は、このアポ山を越えて南に来ることができないという もう一つの説明。これら2つの説明を聞いたことがあるが、いずれにせよ、ダバオでは台風を心配する必要がない。

同じミンダナオ島でも、太平洋側の地域や、北部のスリガオあたりではよく台風の警報(シグナル)が出ているのを聞く。

ダバオの逆で台風銀座と言える地域は、レイテ島からサーマル島、そしてルソン島へと続く、太平洋沿岸で、フィリピン沖の太平洋で発生した台風が発達しながら、北上していく台風の通り道となっている。
幸か不幸か、未だ私はこの地域に行ったことがないのだが、テレビなどで見ていると、この地域では、しっかりした造りの家になっている。

台風の直撃は少ないが、それなりに 台風がやってくるのは、ビサヤからパナイ島、そしてルソン島の西側へ続く地域だろう。もっとも ルソン島まで北へ上がれば、台風もかなり発達していることが多く、マニラや、ルソン島の北西部でも 十分台風銀座の一部と言えるのだろう。

外国人が好むビーチ・ロットと台風

外国人が、フィリピンに家を建てる場合には、ビーチを選ぶことが多い。
そこでは、当然台風の影響が大きい。風で家が吹き飛ばされるのは最悪だが、他にも例えば砂浜では ゴミが大量に打ち上げられ、敷地が広いと、その後片付けに数週間かかることもあり得る。台風が到来する方向と反対側の海沿いを選ぶなど、考慮の余地があるだろう。ただし、小さい島では、その効果も少ないかもしれない。

総コンクリートで  しかも 壁がかなり斜めになっているような要塞ハウスなら 台風にも完璧だが、壁に直接雨が降り、表面がカビで汚くなりそうだ。コンクリートのひび割れもありそうである。ひび割れは即 雨漏りにつながるのでなにか対策が必要だろう。
海沿いに防風のために木を植えれば風は弱まるかもしれないが、景観が損なわれるので、それも難しい。


いずれにせよ、台風が頻繁に来る地域でも、大きな波が打ち付けるところを除けば、建て方次第で、台風に十分耐えうる家を建てることは可能ではあろう。台風が来ることをを承知した上で土地を選ぶ分には、特に問題はない。台風対策で頑丈な家を建てないといけないような地域だと、土地が安い可能性もあるだろう。

逆に、台風が嫌なら、影響が少ない地域へ行けば良い。


因みに、私の場合は 諦めムードになっている。

良くあるように、海沿いに家を建て始めたので、台風に強い家を建てれば良かったのだが、デザインを優先して、急な勾配の屋根にしてしまった。そのため 強風だと屋根だけ飛びそうである。いろいろ補強はしているが、最強からは程遠い。
シキホール島の場合、約10年前に強烈な台風が直撃し、多くに家が吹き飛んだそうだが、それ以降は たいした台風は来ていない。そこで、10年に一度程度は大きな台風が来ると想定しているが、その時には、屋根は飛ぶと諦めていて、せめてパソコンなど電化製品だけでも、雨でやられないよう二重構造の置き場をつくる等、検討しているところである。

また、台風以外でも、海沿いでは、塩分を含んだ風が海から吹きつけるので、電化製品などの金属部分がさびないよう注意が必要だ。一ヶ月間 かばんを海沿いのコテージに放置しておいたところ、隙間風にやられ、つなぎ目の金属がさびついてしまったことがあった。

(2013年12月追加)

自宅に住み始めて10年程経過したが、台風で少しの被害は出たものの、大したレベルではなくて、少しの修理だけで済んでいる。


フィリピンでは2012年の台風24号、2013年の台風30号とたて続けに甚大な被害を受け、これから新たに移住先を探そうとしている人にも、影響が出ているはずだ。

私のように、小さな家を建てて、台風で壊れたらすぐに修理するという想定で行くか、頑丈な家にするか、台風とは無縁の場所を選ぶか、いろいろな対策があろうが、それぞれ多長多短で100点満点は無さそうだ。それぞれの人が重要視する項目を元に、検討するしかないのだろう。

以下、各地に台風の影響を調べるツールとして、デジタル台風を紹介する。

デジタル台風で検索

移住先の土地選びで、これまで その地方に どの程度台風が来たか、過去のデータを調べるのに便利なサイトにデジタル台風がある。デジタル台風には非常に沢山の機能があり、使いこなすのは容易でないとも言えるが、指定した(緯度、経度) または 地図で選んだ場所の近くを通過した台風をプロットすると、大体の傾向がつかめる。シキホール島の自宅付近を中心にして、その半径150km以内を通過した台風をプロットした図を一つの例として 以下に紹介しておく。

経路には方向を示す矢印が入っていなくて、日付が入っているだけだが、ここで登場する台風は、基本的に東の太平洋で発生して、西へと進んだものがほとんどである。 別途取り上げているように、台風が西に進むと要注意というのが容易に分かるはずだ。

シキホール島に接近した台風が通過した経路

データがある60年程の間に 全部で19個の台風が接近した。これが多いか少ないかと言えば、平均すると3年に一度ほどなので、少ない方だろう。しかし、多い少ないは 相対的なもので、例えばマニラを中心に検索すれば、数が何倍にも増えるし、ダバオを中心に検索すれば数分の一になる。ダバオより多く、マニラより少ない。その手のデータを、土地選びの参考にしたいのであれば、実際に入力して、数字を比較して頂きたい。

上の図の方は、これを見たからといって、Yes, Noとはっきり言えるものではないが、かなりイメージがつかめて参考になるはずだ。

土地選びの話からは、少し離れるかもしれないが、月別の分布も表示できて、以下のようになる。

シキホール島に接近した台風の月別分布
11月、12月が多い。

これを見れば、台風シーズンは11月と12月であることが容易に分かろう。もちろんそれは、シキホール島を含むビサヤ地方やミンダナオ島の場合である。

また、このヒストグラムからは読み取れないが、台風シーズンが11月と12月と言うと、誤解が生じそうなので補足しておくと、6月、7月も台風の影響を受け、天気が悪い日が続き、風速20m程度の強風が吹くことが多い。台風が北上する場合に、南側に帯状の長い雲がつながっていて、それがフィリピンにかかっていることが多いからだ。台風がゆっくり進むので、一つの台風で1週間くらい影響が続くことも少なくない。

それぞれの検索結果に対して、台風がやって来た年の分布も表示でき、上の例の年の分布を調べることもできる。それによれば、かなりばバラつきがあることが分かる。ここ2年で3個の台風の接近があったが、その前は20年程、台風は来なかった。それ以外も結構間が空いて、来る時は毎年のように来る。景気循環の波のようでもあるし、バースト的とも言えそうだ。


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