Adelpa public picnic area in Tongo,Siquijor 土地を購入して、小さな家を建てる予定のところが、地主との話し合いがなかなかうまく進まないので、それと並行して、公園(Public picnic area)を造ることにした。以前Purokと呼ばれるシェルターを造ったが、そちらは、主に 漁師や近所の住民向け。それに対し、こちらは、外国から来た観光客でも十分満足できるレベルを目指した。土地の購入でいろいろ探している中で、とても快適が所がみつかり、その場所を地主に無料で提供してもらい、公園を造る運びになった次第である。
名前は、地主の意見に従い、上の写真の中央の花にちなんでアデルパ(Adelpa)と名づけた。場所は、私が本拠地にしているシキホール島のトンゴ村(Tongo)である。
村の中でも、このあたりは、十分きれいに整備されていて、土地に手を加える必要はほとんどなかった。わずかながら頑固に残っている岩を、時間がある時に、少しずつ砕いたくらいである。大工を雇って、かなり急いで、プロック(Purok)またはシェルターと呼ばれている休憩所2箇所と、コテージ一棟を造った。
土地を無料で借りていて、シェルターやコテージも無料で使えるようにした。ただでこのコテージに泊まれるのは、かなりお得だ。
Rev.C 屋根裏部屋付き
シェルターRev.D コテージ
コテージの内側
目次
計画
期間
費用
開発にまつわるいろいろな話題
大工を雇う
パキヤウ
大食い攻撃
コテージの外装
コテージの内装
屋根
屋根裏部屋
竹の加工
ボクボクとSolignum
ペンキ塗り
岩砕き
水問題
運用
大工と地主への説明のため、簡単な指示書のようなものをワープロで6枚ほど作成した。最近はワープロも操作が容易になり、建物の外形図や配置、模様なども含めて、非常に簡単に資料は作成できた。
試作 Rev.A 以前建てたPurokを仮にこう呼んだ。別の場所にある。 Rev.B 今回建てたPurokの一つ。オーナーの娘の一人の名前をとって、バンジー と名づけた。色もその子の好みでピンク。
Rev.C もう一つのPurok。オーナーのもう一人の娘の名前をとって、ティナー。やはり色は、娘の希望で黄色。ラウティングと呼ばれる屋根裏の部屋もあり、キャンプ気分で、泊まることもできる。 Rev.D 今回建てたコテージ。小さいが十分な広さのバルコニーもあり、現地の人だけでなく、外国からきた人も快適に泊まれるよう、結構お洒落なコテージを目指した。内装は、外側とは全く異なり意表を突くようにした。ただしこの地域には、電気も水道も来ておらず、長期の滞在はかなりキツイ。
シェルターx2 大工2名、補助員2〜3名で 6.5日
コテージ 大工2名、補助員3名で 10日
日当は、雇った人たちが熱心に働くよう、パキヤウと呼ばれる一括払いとし、シェルターとコテージで、それぞれ8日分と11日分支払った。最初に何日分払うか交渉し、それよりも早く終われば大工が得するようにした。
シェルター x2 約2.1万ペソ
コテージ 約3.4万ペソ + 備品、装飾品 約0.5万ベソ
合計 約6万ベソ (1ドル = 51〜53ペソ)
シェルター Rev.B Rev.C
項目 金額 備考 大工の日当 3860ペソ 大工2人x 日当150ペソ x 8日分 +
補助員1人 x 1日当120ペソ x 8日分 +
その他補助員2人へ合計500ペソ材木(ココナツ、
Coco Lumber)5510.25ペソ @7.5ペソ(1feetx1feetx1inch)
一部分@8ペソ竹 1608ペソ 12ft 10ペソ、10ft 8ペソ 萱葺き(Sak sak) 3770ペソ @13ペソ x 290枚 セメント 1057ペソ @151ペソ × 7袋 屋根用金属板 440ペソ @220ペソ × 2枚 26 x 8 網戸の金網 120ペソ @60ペソ x 2m ベニヤ板(Plywood) 315ペソ 1枚、机用 4ft x 8ft 釘 約300ペソ No.4 (4インチ材木用)1kg 25ペソ等 金具 約350ペソ 取っ手など 竹の壁(amakan) 280ペソ @140ペソ x 2枚 4ft x 8ft
Larena, Siquijorで購入砂 130ペソ @6.5ペソ x 20袋 ニス 46ペソ @23ペソ x 2本 透明(Natural) ペンキ 約1400ペソ 1L 82.5ペソ、4L 310ペソ @Siquijor
1L 68.5ペソ、4L 240ペソ @DGT
合計 約18リットル使用ブラシ 約200ペソ 2インチ22ペソ、 1.5インチ19ペソ等 ペンキ薄め液(Tiner) 217.5ペソ @14.5ペソ x 15本 食費、おやつ、酒 約1800ペソ 昼食と午後のおやつ、さらに酒代 合計 約21400ペソ コテージ Rev.D
項目 金額 備考 大工の日当 6940ペソ 大工2人x 日当150ペソ x 11日分 +
補助員2人 x 1日当120ペソ x 11日分 + その他補助員1人へ1000ペソ材木(ココナツ、
Coco Lumber)9198ペソ @7ペソ(1feetx1feetx1inch)
一部 @8ペソ竹 814ペソ @7ペソ 12ftおよび、2本で100ペソ 萱葺き(Sak sak) 1800ペソ @12ペソ x 150枚 セメント 906ペソ @151ペソ × 6袋 屋根用金属板 440ペソ @220ペソ × 2枚 26 x 8 虫除け金網 240ペソ @60ペソ x 4m ベニヤ板(Plywood) 3150ペソ 10枚、内壁用 4ft x 8ft 釘 約500ペソ No.4 (4インチ材木用)1kg 25ペソ等 金具 約600ペソ 取っ手など 窓 1426ペソ 24インチx10枚x4箇所 竹の壁(amakan) 1770ペソ @120ペソ x 6枚 4ft x 8ft
@210ペソ x 5枚 6ft x 8ft
Dumagueteで購入。6ft x 8ftで140ペソの店もあったが在庫不足で購入できず天井用シート 450ペソ @150ペソ x 3枚 砂 91ペソ @6.5ペソ x 14袋 ニス 800ペソ @20ペソ x 40本 Natural & Walnut ペンキ 約1500ペソ 1L 82.5ペソ、4L 310ペソ @Siquijor
1L 68.5ペソ、4L 240ペソ @DGT
合計 約20 リットル使用ブラシ 約200ペソ 2インチ22ペソ、 1.5インチ19ペソ等 ペイントローラー、トレー 約300ペソ トレーx2、ローラーx2、替えローラーx2 ペンキ薄め液(Tiner) 260ペソ @13ペソ x 20本 食費、おやつ、酒 約3000ペソ 朝食、昼食とおやつ、ジュース代 小計 約34400ペソ 建築費用関連 部屋の飾り 約1500ペソ 主にお土産用のもの 竹のベッドとスポンジ 約1500ペソ 竹ベッド340ペソ シーツ、枕 約500ペソ シーツ180ペソ、100ペソ等 椅子 約500ペソ j樹脂製品 棚 220ペソ 民芸品 カーテン 405ペソ @135ペソ x 3 小計 約4600ペソ 家具、内装の飾り関連 合計 約39000ペソ 交通費は加えていない
材木関係が少し残った。約2000ペソ一般に田舎では、仕事が無くて困っている場合が多く、大工探しも、さして苦労することはない。課題は勤勉な大工がうまく見つかるかどうかということだろう。ドイツ人の知り合いが家を建てたて、大工にまかせきりにしてたまにしか見に行かなかった。そして、余りにも進み具合が遅いので、こっそり物陰から見たところ、10人以上いる大工のうち働いていたのは一人だけ。もう一人は、工具の手入れ。そして、残る全員は酒盛りをしていた。この国の貧困問題と怠け者問題はほとんど同義だというのが私の主張であり、行動の一つの基準にもなっていて、怠け者問題には気を使う。
さて、今回雇った大工は、前回と同様、子供が14人いて、奥さんが亡くなってしまった、生活が大変なはずの大工である。奥さんが亡くなったので子供は14人で打ち止めになったそうだ。余談だが、14人はグランドチャンピオンかと思っていたら、最近15人兄弟がいる人に会ってしまった。
怠け者問題に戻るが、大工の給料は、日当をいくらと決めて、働いた分だけ、家が完成するまで、払うのが普通だ。しかし、特に仕事が不足している状況では、まじめに働いて、早く仕事が終わってしまうと、かえって収入が減る。それなら適当に休憩したりゆっくり仕事をして、日数がかかった方が儲かるという困ったことになっている。 まだ午後3時なのに、「酒を飲むので今日はこれまで」 と言われたことがある。
大工を熱心に働かせる方法として、パキヤウと呼ばれる一括発注がある。トライシクルやジプニーに乗る時に、事前交渉して値段を決めてしまう場合も、同様にパキヤウと呼ぶ。大工のパキヤウの中には、資材調達も含め、すべて一括発注する場合と、工賃だけ予め決めてしまう場合がある。安くて早くできるこの国には適した方法と言える。
課題は、手抜き工事や資材の品質が良くない可能性があることである。これに対しては、
自分で管理するか、手抜き工事を見張ったり、資材の品質を管理するインスペクターを雇う等の対策が考えられる。
また、早くできたり、出来具合が良い場合に、ボーナスを出すようにできれば良さそうだ。もちろん仕事好きの働き者の大工もいるので、そういう人に当たれば、何の対策も要らない。勤勉大工ランキングを、皆で作って共有し、それをもとに大工を選べれば、かなり良さそうだ。
大工の日当に加え、食事やスナックを出す必要がある。今回は、材料を買ってきて、工事をしている場所の横に住む地主に、少し手間賃を払い、地主の家族もそれを食べるという条件で、食事を作ってもらった。
最初シェルターを建てている時には、昼食だけ出すという条件で働いてもらっていたが、コテージを建てる時には、朝昼ニ食を出すことになった。その結果1日4kgも米を買った。自分一人だけだと、1kgの米で十食ほど食べられるので、一日4kgは、とんでもなく大食いに思えた。実際見ていても、良く食べることが十分分かった。さりとて、食費をケチって、大工のやる気をそぐほど馬鹿なことはないので、おかずも含めかなり買った。
アマカン(amakan)と呼ばれる竹籠を平らにしたような、竹を編んだものを使った。デザインのあるものが綺麗でお勧めだ。ダイヤモンドと呼ばれるデザインのものが入手できそれを使った。透明(Natural)のニスを上から塗ると、つやが出て、さらに綺麗になった。アマカンを適当な大きさに切り、継ぎ目をこげ茶色(Chocolate Brown)に塗った竹で覆うのが、一般的なやり方だ。課題は、しばらくすると色が綺麗でなくなり、ペンキを塗るなり、交換するなりメンテが必要なことだ。スライド式で簡単に交換できる構造などを考えてみたが、今回は実現できなかった。サクサク(saksak)と呼ばれる萱葺きの屋根の材料と同様、メンテナンスの計画が有った方がよい。 amakan プライウッド(plywood)と呼ばれるベニヤ板を使った。現地の物価に比べとても高いためか、これを使った家を建てている人は、色を塗らないで、そのまま使っている場合が多い。しかし、ただのベニヤ板なので、ペンキで色を塗りたくらないと、掘建て小屋にしか見えない。センスの良い色が塗れれば、結構お洒落に感じる。
今回はダブルウォーリング(double walling)と呼ばれる内装、外装二重の壁にした。外国人には、これが普通と感じるが、現地では普通でない。一般に現地の材木はチェーンソーで切るだけ。サイズがいい加減である。その結果、そのまま材木を使うと、内装、外装どちらか一方の表面がうまく平らにならない。
この対策として、高級な家を建てる人、または、通常の外国人は、電動工具を使い、大工に材木のサイズを補正させる。さらに、虫に木を食い荒らされないよう堅い木を選んで使う。
また、壁を分厚くして、内装、外装の壁を固定する材木を別々にしてやれば、良さそうだが費用も時間もかかり現実的ではなさそうだ。
そして、今回。費用も節約し、大工を急かして、ダブルウォーリングにしてしまった。その結果内装の壁はかなりでこぼこして、ことの他、見栄えが良くない。そこで、壁に竹でパーティションを切って、さらに、目立つでこぼこの上には、飾りを付け、何とか見栄えがするように改造できた。 しかし、買った材木次第の再現性のない手法と言える。サクサク(saksak)と呼ばれる、一般的な萱葺きの材料を使った。屋根は金属と萱葺きのどちらかである場合が多い。金属は、長持ちするが、日が照ると、家の中が暑くなるという欠点がある。これに対し、萱葺きは、何年かすると交換する必要があるが、日が照っても家の中の気温は上がりにくいという利点がある。そして特に外国人には見栄えも良い。今回は暑さ対策のためサクサクを使った。通常はひもでつなげて固定するが、今回の大工は釘で止めていた。
ラウティングと呼ばれる屋根裏の部屋を、シェルターの一つとコテージに付けた。屋根の裏側がそのまま見えてしまい、見栄えが良いとは言えないが、物置等として使える。テントよりはましなので、ここで寝泊まりすることも可能だ。ラウティングのために、柱も一回り太いものを使い、結構費用もかさむが、広くなるのでお勧めだ。
今回建てたコテージやシェルターなど、ネイティブな建物では、通常竹を沢山使う。竹の値段がまちまちで気になるところだが、さらに気になるのは、竹の皮むきだ。今回の分で、一人に換算すると1週間以上かかっている。道具は、料理に使う おいもの皮むきのようなもの。もっと良い道具があるか、専門家を雇うべきなのか、他に何か良い方法がありそうだ。
特に竹の中には、ボクボクと呼ばれる虫が沢山住んでいる。ボクボクが居ると、竹を食いつぶしてしまうので、当然のように現地では嫌われている。そこで使われるのがSolignumと呼ばれる虫除け薬。これを塗ると確かにボクボクはすぐに死んでしまう。効果はてき面だ。
ただし、値段が高く、シキホール島では4リットルで710ペソもする。島の外のドゥマゲッティまで行くと、560ペソで買えたが、それでも高いので、現地の人にはなかなか手が出ない。その結果、以下のようなことになる。
ここシキホール島は、黒魔術師がいると噂される程、迷信じみたことが残っている。その一つで、竹は決まった曜日に切れば、ボクボクはいないと現地の人たちは主張する。実際、何度も竹を入手したが、そのとおりにした竹は、ボクボクはいないし、半年以上した今もボクボクはやってこない。そのため、曜日にこだわるのは迷信だと反論しても説得力がなくて困っている。
曜日にこだわるかどうかは別にして、竹を買う時は、セブアノ語の場合、ワライ・ボクボク(笑い僕々? = 虫が居ないものを頼む。)と確認して注文したいものだ。お金持ちは、人を雇ってペンキを塗らせるが、現地の普通の人は大抵自分でペンキを塗る。色選びを含めてやり出すと結構面白いので、自分でかなりペンキを塗った。さらにお菓子に釣られてきた近所の子供たちも加えた。
ここで気になったのは、飽きっぽい子供が多いことだ。Five minutes painterとかTen minutes painterとか、かなり馬鹿にして呼んでも 平気で、さっさと他のところへ遊びに行ってしまう。貧困問題と怠け者問題を先に取り上げたが、その元は、このあたりから始まっていそうだ。親のしつけが気になる。
もちろん、とっても働き者で熱中する子供もたくさんいる。さて、慣れている人には当たり前なのだろうが、素人にとってのペンキ塗りのポイントは、木材の場合、何度も塗る必要があることだ。ペンキと手間を惜しんでいては、良い結果は得られない。そして、床や壁など広い部分はローラーを使って手際良く塗ってしまうことだ。
フィリピンの地域によってことなるだろうが、シキホール島では岩が多い。そして岩にもよるが、結構壊れやすい岩が多い。大きなハンマーたたくと、大抵の岩は砕ける。地面が岩ででこぼこしていると、ハンマーで岩を砕くことになる。簡単に砕けると言っても、結構作業は厳しいので、夕方涼しくなったころ少しづつ岩を砕いた。
便所をつくる場合には、マンホールのため大きな穴を掘らないといけない。岩があるとこれが大仕事で、知り合いのドイツ人の話では、2人月かかったそうだ。まさに人海戦術の世界だ。
ただし、今回は水問題があり、便所もシャワーもつくるのは断念した。公園を造ったこの地域では、水道が来なくて困っている。海の近くなので、井戸を掘っても塩水になり、それなら、沢山ある海水を使うのと変わらなくなる。 近所の人々は1kmほど離れた蛇口まで、ポリタンクを持って行って、水を汲んでいる。
細いパイプなら結構安いので、パイプを900m買って水道のメインパイプに接続しようとしたが、メインパイプの圧力が低く、とても900mも水を押すことはできなかった。最初の300mを前にして、いくら待っても水は来なかった。
そこで、タワーを建てる方法と、圧力ポンプと圧力タンクを使う方法を検討しているところである。後者でなんとかなりそうだが、電気代のあまりかからない良い方法を見つける必要がある。沢山の人が利用できるよう、コテージも含めすべて無料とした。また、ゴミを平気でポイポイ捨てるのが現地の習慣なので、ほおっておくと、ゴミだらけになるのは必定である。そこで、ゴミ箱や掃除の道具を用意し、ルール作り、使用後は綺麗に片付けるよう促している。
また、子供向けの簡単なセミナーや水泳教室など、この場所で行うイベントを企画中である。