外来種(船)に食い荒らされ苦境に立つシキホール固有船会社

2013年4月作成




オーシャンジェット(Ocean jet)
フィリピン国内の大手

JazielとNew Jaylann
ローカル船会社のアウトリガー船

デルタ(Delta) 3
以前からシキホールとドゥマゲッティを往復している地元の船

シキホールでは、朝6時発の船が3つ重なり、その後、長い時間、後続の船がなく、乗客に不便なスケジュールになっているという話を以前に紹介した。 船会社間で客の奪い合いをしているので、こんなことになっているのだが、競争は激化して その結果 最近では、もともとシキホールをベースにしていたローカルな船会社が、大手の船会社にやられて、厳しい状況になっている。

まずは、オーシャンジェット(Ocean jet)とそれ以外の地元の船の比較を表に示しておく。

オーシャンジェットと地元船の比較

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オーシャン・ジェット

その他の地元船

長所
・船が大きく安心
・速い。
・綺麗で快適
・乗り降りが比較的簡単
・料金が安い。
・船が小さいので、便数が増える傾向にある。

短所
・料金が高い
・船が大きいので、一日の便数を増やしにくい
・チケット販売に時間がかかり、直前だと待ったまま乗れないこともある。
・船が小さ目なので、悪天候だと不安
・あまり綺麗でない。
・乗り降りが大変な場合もある

大手のオーシャンジェット(Ocean jet)は、これまではシキホールに夜8時半頃到着して、一晩留め置きしてから、早朝6時に ドゥマゲッティ、タグビララン経由でセブに戻るというスケジュールで、一日一往復だけだった。ところが、そこへドゥマゲッティ朝10時45分で、日中にシキホールとの間を往復する便が増えた。因みにこの船もセブまで行く。従来の便は、夜遅くシキホールに到着するので、外国人などの観光客には使い勝手が良くなかったが、新しい昼の便は、観光客にも便利である。オーシャンジェットは料金は高めでも、船が大きく、波に強くて安心できそうだし、綺麗で、スピードも速い。高めの運賃でも問題ない観光客には、オーシャンジェットの昼の便が、現状では最善の選択と言える。実際、お昼のオーシャンジェットの到着時間に港に行くと、シーズン中は、沢山の外国人旅行者が降りてくる。反対に、その他の船会社の船は客が少ない場合が多く、客を奪われ、かなり厳しそうだ。

デルタ(Delta)のお昼のシキホール行きの便は、午後1時半にドゥマゲッティを出発するスケジュールが長い間安定して続いていた。ところが、最近は、ドゥマゲッティを12時半に出発する。これは、オーシャンジェットの午後2時半シキホール発の便に対抗するためで、オーシャンジェットが出る前に船を出すために、早めに船をシキホールに到着させようということであろう。オーシャンジェットと比べると、値段が安いが、速度が遅いデルタは、オーシャンジェットより少し前に船を出し、ドゥマゲッティにオーシャンジェットより少し前に到着するスケジュールにして、オーシャンジェットに乗ろうとしてきたが、少し早めに港に着いた客を奪おうとするのは、普通に考えられる対抗手段であろう。


もしも、地元の船が駆逐されてしまったら

オーシャンジェット以外はすべて敗北して、独占状態になるという悲しいシナリオを考えてみよう。

前述のように、オーシャンジェットは、船が大きいので少々の波では揺れず、安全面に優れていて、速いので すぐに着き、綺麗で快適だ。いろいろとプラス面もあるが、貧しい島民が多い中、安く船がなくなる等マイナス面も多い。

シキホール・ドゥマゲッティ間の現状の料金は、片道でオーシャンジェットが200ペソ。デルタは160ペソまたは120ペソ。その他の船は、ほとんどが120ペソとなっている。オーシャンジェットが市場を独占すると、現状は割引料金だと言っているので、通常料金に変え、値上げする可能性があろう。

また、オーシャンジェットは大きいので精々一日3便程度であろう。それだけでも、配船ができるのか良く分からない。片田舎のシキホールに長く船を停めておいても無駄なので、早朝 出発するのは必然になりそうで、乗客の立場からは、時間帯がイマイチで 便数も少ないでは不便である。

他の船がなくなると、故障やメンテの場合に、孤島状態になるというリスクも増える。

以上のような欠点があるが、現実には、いろいろな状況を踏まえ、オーシャンジェットだけになるとは考えにくい。


利用者にとって一番望ましいのは、現状のような いびつなスケジュールでも、オーシャンジェットの独占でもなくて、シャトル便のように、適度な間隔で船の便があることだろう。 複数の船会社があって、話し合って、社会的な影響も考慮してスケジュールを決める。早く出発しないといけない人のため 早朝6時の便が1本あるのは良いが 3本は無駄であろう。その後、午前7時、8時、9時、10時で、11時は不要だと思うが、12時、午後1時、3時、5時発が1本ずつあったら良さそうだ。

地元の行政で、観光振興をうたっていながら、現状では、お客の利便性はどうでもよくて、船会社の都合が優先されていると言え、他の国なら行政の怠慢を追求されそうな状況であろう。私がどうこう言う立場でも何でもないが、こうやって批判的なことを書いているので、一度役所に話に行った方が良さそうだ。


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