シキホール島 魚敗北宣言の撤回

2010年8月




最近のシキホール市場の様子

一昨年、機会があってボラカイに行ったら、高い魚は100グラムで300〜400ペソほどしていた。もちろん、これは、レストランでの調理も含んだ値段ではあるが、シキホール島では、市場で売られている魚の最高が1kg160ペソと決まっていて、これと比べると桁が違うだけでは済まない。折角 海に来ても、こんな高いところで魚はとても食べられない。シキホールに帰ってから、一杯食べようと思ったものだ。
フィリピンで高級魚と言えば、まずはラプラプであろう。日本なら本マグロであろうが、それはフィリピンでは見かけない。カジキで十分だと思うが、シキホール島では、売っていれば、高々160ペソである。

ところが、昨年の12月に悲しい事態が起こった。天候不順で小舟の漁師はほとんど漁に出られず、しかも年末で魚の需要は多く、市場ではほとんど魚が売られていないと同時に、安物であるはずの魚が異常に高く売られていた。その頃 ドゥマゲッティに買出しに行き、シキホールの状況と比較すべく、市場の様子を見に行ったら、いろいろな魚が並んでいるとともに、シキホール島で90ペソで売られているアジといわしの中間のような魚が、ここでは30ペソで売られていた。これですべてを読みきったつもりで やられたと思ったが、シキホール島に帰って、市場で、この魚はGikan Dumaguete?(From Dumageute?)と聞いたら、正直にそうだという答えが帰ってきた。これは、一般に言われる裁定取引というやつであろう。しかし、シキホール島の住人にとっては、サイテー(最低)取引以外の何者でもない。

ドゥマゲッティで30ペソで買ってきて、90ペソで売る。実際には、市場の売価が30ペソなので、卸値は20ペソ程度であろう。これだけでも、シキホール島の住人にとってはサイテーであるが、さらにはサイテーの連鎖があるのは、間違いなかろう。すなわちシキホール島でも取れるはずのラプラプなどの高級魚はどこへ行ったかということである。安物の魚が90ペソで売られているのに、最高級の魚が160ペソでは、やってられないと言えよう。ドゥマゲッティの市場では、高い魚は250ペソ程度もあるがラプラプは見たことがない。マニラのショッピング・モールの食品売り場では、500ペソ近くで売られていた。魚の全体の流れは、いちいち説明も要らないだろうが、シキホール島に関して言えば、業者が高級魚を安く買い付け、ドゥマゲッティやその他の大都市に運び高値で売られる。シキホール島の住民用には、ドゥマゲッティで安物の魚を仕入れ、何倍にも吹っかけ売りつける。市場で魚を売っているおばちゃんたちは、以前は、たいてい、自分の家の近くの漁師から魚を仕入れて売っていた。最近は、魚の絵を車体に描いた軽トラを使っている業者から買った魚を売っているおばちゃんが多い。シキホールとドゥマゲッティの間の魚の移動もこの業者が絡んでいるのだろう。

日本でも、高級魚が取れたら、高く売れない地元で消費されるのではなくて、築地経由で、最終的には、産地ではなくて、もっと高く買う人の胃袋に入ることだろう。田舎の島では、安い魚の頭ばかり食べて、そのお陰で子供の成績が非常に良いという皮肉な話が出るくらいだ。経済原理を考えれば、フィリピンでも当然同じようになるのは仕方がない。安くて美味しい魚が食べれると思ってシキホールに住んでも、安物の魚を高く売りつけられて、それでお仕舞い。シキホール魚敗北宣言を出すしかないと思った次第である。しかし、このHPの他の更新も遅れているように、魚敗北宣言を出すものずるずると遅れているうちに、状況が変わった。確かにラプラプは、以前に比べると市場で見かける頻度が下がったが、たまには、カジキが160ペソで並ぶようになった。アジが80〜90ペソになって、ドゥマゲッティからの安物の魚の入る余地も無くなってきている。

いい魚の少しか大部分、割合は不明だが、幾らかは都市部に売られていることは間違いないだろう。それでも、私は普段は、いか、かつお生活と書いたこの二つの魚が安く手に入れば十分で、あとは日によってアジが安ければ、それも買い、カジキを見かけたら、どう考えても日本よりお得なので、少しだけ買うという程度だ。そして、訪問者があった場合だけ、普段とは方針を変えて、ギンガメアジなどの高い魚を買うということになる。そのため、高くて大きな魚を買っていると、誰か訪問者があるのだろうと 市場の人に言われる。

とにかく、以上のように、昨年の暮れのような悪夢は去って、お陰でシキホール島 魚敗北宣言は未遂で撤回と相成った。

そこで、取らぬ狸の皮算用になるかもしれないが、カジキが手に入った場合に、単にステーキで食べるだけでなくて、他の食べ方を料理の本も参考にして検討してみた。

・カジキなす: マーボーなすにカジキを入れてアップグレードしても良さそう。
・カジキと空芯菜のオイスターソース炒め
・カジキと山芋(ガビー)のねぎ煮込み
・カジキのおろし煮
・カジキとじゃがいものミルクカレー煮

ラプラプ、カジキ以外でも、シキホールでお得な魚介類と言えば、ウニと海ぶどうが挙げられえる。ウニは海に入れば、当たり一面に居て、危険極まりないので、皆で沢山食べて、それによって駆除して欲しいと思ってしまう。海ぶどうも、以前泳いだところでは、大きな岩にビシッとくっ付いていて、日本人が来て大量に輸出するようなことが無い限り、豊富に取れ続けるはずだ。一袋5ペソで食べきれない量だ。

お前は写真を撮るだけかと、挑発的なことを言われ、ラプラプを買う羽目に。
450グラムで68ペソ

手前の大きな魚は見た目がイマイチだが、以前焼いて食べたら美味しかった。

ちょっとグロテスク?




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