パンツをはいて連れて行かれた子供

2004年 6月


新しい服を着せてもらって、母親に連れて行かれた子供

以前、「パンツをはかない子供」として、隣家にもらわれてきたJRを紹介した。

前回は、写真を撮るのも、怖がって泣いていた。毎日50回ほど泣くので、何かあるに違いないと、泣き声がするごとに、駆けつけて、徹底的に理由を調べあげようとした。ある時は、子供を寝かせて、外から家の戸締りをしたまま 家族が出かけてしまって、その後、子供が目を覚ましたので、泣き出したのであった。私の方で、戸を開けて、しばらく相手をする羽目になったのだが、これは、何処でも よくあるパターンだ。

その後、一番の悪の元凶を見つけた。この子は、もらわれてきたので 仮にここに住んでいるようなものだが、もう一人、仮に住んでいる子供がいた。こちらの祭りの時にセブからやって来て、そのまま何ヶ月も居座っている父子がいるのだが、その10歳くらいになる男の子である。
ある時、JRが、いつものように泣き出したので、様子を見に行くと、なんと、年長の男の子の方が、JRの顔に石をぶつけて遊んでいるのであった。幸い目には当たらなかったのだが、顔に何箇所も石をぶつけられて、これでは泣くのは当然である。

さすがに、私も頭に来て、ロープを持って、石を投げた方の子供を、延々追いかけ回してやった。すると、この子は恐れて、次の日には 父子ともセブに帰ってしまった。

その後は、子供が泣く回数はずっと減って、子泣き問題は、ほぼ解決したのであった。


ところが、それから2週間もしない間に、元泣き虫の子供は、新しい服を着せられ、パンツもはいて、「帰る、帰る」と言って、突然、別れの挨拶にやって来た。
突然母親が現れ、子供を自分で育てると言って 連れて行ってしまったのである。
隣の家にもらわれてきて、一年も経っていないが、特に 隣の家の女の子は、毎日 JRの面倒をよく見て、かわいがっていたので、落胆は激しい。JRの母親以外は皆がっかりなのであった。

そういう私も同様で、毎日遊びに来るので、わざわざ、専用に小さな机や椅子をつくったりとか、この子の分も食べ物を買って来たりとか、かなり仲良くしていたので、居なくなって、とても悲しい。
急にやって来て、子供を連れて行くとは、なんと勝手な親だと思ったりもするが、子供はやはり親が育てるのが一番だ。反対しても仕方が無い。

いとも簡単に子供をもらったり、返したり、いかにもフィリピン的な出来事だ。

前回の繰り返しになるが、私も、沢山の知り合いから子供をもらってくれと言われる。そして、「日本に連れて行ったら、『お母さん。お母さん、帰りたいよ』と言って、泣くから駄目だ。」そう答えて、断っている。
そうは言っても、現地に部屋とかをつくって、受け入れ態勢を整え、子供をもらって来て育てれば、精神的に、とても豊かな人生を送れるような気がする。


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