船が買えないシキホール島の漁師

2000年9月


Amansio Marchan氏と息子

彼の自宅

エンジン付きの船が買えなくて困っているシキホール島のMaiteという村に住む漁師 Amansio Marchan氏の事例を紹介する。

彼は専業の漁師で、小さな手漕ぎの船に乗って、毎日漁に励んでいる。しかし、全く、魚が獲れない場合も多く、そういう場合は、例えば、1kg18ペソで売れる海藻を採って、食いつないでいる。いずれにせよ、手漕ぎの舟では、余り遠くまで行けないので、エンジン付きの船を買いたいそうだ。値段は、5万ペソほど。

以前、何度か現地の役所へ融資を頼んでみたが、予算がないと断られたそうだ。彼は近所で一番の働き者だ。こういう人を、救済する仕組みがないのは、気の毒な限りだ。そこで、NGOか何かで、そういったケースに融資や投資しているものがないか、私の方で、探してみると約束して、資金の話はそこまでとした。

彼の隣人も、決して裕福とは言えない。しかし、隣人はエンジン付きの船を持っていて、沖合いに出て、トビウオを獲っている。ブロック作りを副業にしているが、主にトビウオ漁で生計を立てている。従って、彼もエンジン付きの船が手に入れば、魚が獲れるようになり、問題はほぼ解決するはずである。

また、別の解決案として、船を持っている隣人と、二人で船に乗って魚を獲りに行くこともできるそうだ。その場合、必要なのは網。二人分または、二家族分が食べていけるだけの魚を獲るには、今の倍の網が要る。そのために3000ペソの資金が必要だそうだ。しかし、現状は資金が無い。

さらに続けて、網の話を聞いた。

彼らは、現在は、単純な一枚式の網を使っている。しかし、3重式で、外側の網の目が粗く、内側の網の細かいハイテク網を試してみたいそうだ。私の父も、以前、湖で漁師をしていて、この手の網を使っていた。しかし、70年代から使っていたような気がして、とてもハイテクだとは思っていなかった。
3重式の網にするのは、外側の粗めの網を追加するだけで、材料費も少なくて済み、簡単にできそうである。すぐに試してみるべきではないかと薦めてみた。ところが、彼らは、網は自作しないそうで、資金がないので、すぐに試せないという話になった。

ところで、彼には子供が4人いる。フィリピンの田舎の島に行くと、兄弟が10人近くいる場合も多く、4人は決して多くない。しかし、日本人には羨ましいかぎりだろう。日本では子供1人育てるのに、例えば2500万円以上かかるという試算がある。4人だと1億円以上必要ということだ。普通の家庭なら、とてもそんな余裕はないであろう。しかし、フィリピンでは、さらに多くの子供がいてもなんとかなっている。
子供は国の宝。こんなにたくさん子供がいるフィリピンの未来は明るいと言いたい。

考察


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