考察  「船が買えないシキホール島の漁師」

2000年9月



手漕ぎボートでも遠くまで行けないか?

シキホール島からドッマゲッティに行く船に乗っていると、手漕ぎの船でもかなり沖合いまで、出掛けている場合を見かける。また、私自身の経験でも、カヌーやボートで、1回の練習で10km以上は漕いでいた。漁師は、練習のように激しく漕ぐわけではないので、手漕ぎでも、かなり沖合いまで行けそうな気がする。

小さな魚の獲り過ぎ

また、岸沿いでも本来は多くの魚が居ても良いはずだが、そうでないのは、ダイナマイト漁法で、サンゴ礁が破壊されてしまったことが、大きく影響していることは否めまい。そのために、沿岸では魚が獲れなくなった。サンゴ礁を破壊したのは漁師なので自業自得、と言いたくなる。しかし、それは、年配の漁師の仕業。私は被害者と言う漁師もたくさんいそうでもある。さらに、別のところで書いたように、日本軍がダイナマイトをたくさん残していったために、ダイナマイト漁法が始まった。従って日本人もダイナマイト漁法に関係しているとも言える。さらに、本来は大きくきくなる魚を、とんでもなく小さい子供のうちに、獲ってしまっているから、魚が獲れなくなったのだとも言いたい。いろいろなことが、頭を過ぎる。

魚の獲り過ぎにはならないか?

彼に以下のように質問した。すなわち、「みんながエンジン付きの船を持ったら、魚の数はどうなるのか?」と。すると、彼は、魚が激減してしまうと答えた。実際には、魚は、沖合いにはたくさん泳いでいそうだし、フィリピン以外の漁船に比べれば、船当りの獲る魚の量はしれている。
しかし、魚が激減してしまうと考えるなら、自分もエンジン付きの漁船を持とうとするのは、少し虫の良い考え方のような気もする。

漁師は余っている?

漁船当りの漁獲量が少ないのは事実だが、漁師の数が多いのも事実である。また、市場では、魚をたくさん見かけるが、島に住みながら、貧乏で、なかなか魚が食べられない家庭が多いのも事実である。
私は、漁業や漁業行政の専門化でもなんでもないので、漁師が余っているのか、そうでないのかわからないが、もしも、そうなら、Marchan氏には、転業を勧めた方が良いということもあり得る。

魚の養殖

満一、海に魚が少ないのなら、養殖する方が健全であろう。実際フィリピンでも養殖が行われていたり、計画されているところもある。
その場合、はたしてコストがあうのか? 家畜の餌の値段を見る限り、餌代が結構かかりそうだ。kg当りで見ると、餌は、魚の値段の数分の1の値段である。シンガポール等で行われているように、中華料理用の高級魚等が、養殖の対象になるのか。

怠け者問題

3重式の網を導入する話があったが、結局彼らは網を自作しないので、資金難から実施せずに終わっている。
しかし、私の父や祖父も以前漁師をしていて、黙々と網を作っていたことを良く覚えている。3重式の網も自作していた。
それに対して、フィリピンでは、朝や昼から、トゥバ(ココナツ・ワイン)やTANDUAY(ラム酒の銘柄)を飲んでいる漁師を良く見かける。 確かに父や祖父の時とは時代が違うので、今は世界中、網などは自作しないのが普通かもしれないが、何か納得がいかない面がある。
しかし、ここで紹介したAmansio Marchan氏は、前述の通り働き者だ。怠け者問題とは関係ない。



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