薬疑惑

2007年4月



日本でも、インフルエンザのワクチンなど、薬の副作用が、いろいろ問題になっているが、フィリピンの私の周りでも、いろいろ疑わしい状況が起こっている。

まずは、ずっと前のことで、別途紹介したが、肺炎で無くなった子供に与えた薬についてである。医者の処方により、薬局で、100ペソもしない安い薬と、1000ペソほどの高い薬の両方を買った。子供は、一方の薬だけ飲んで、まもなく亡くなった。残った薬は払い戻してくれるというので、薬局に持って行ったところ、残っているのは安い方の薬だという。買った時に説明を受けた記憶では、高い方の薬が残っていると 私は確信に近いものがあったが、薬を薬局が受け取って 返金が済んでしまったので、それで終ってしまった。

シキホール島の普通の人々は、貧しくて病院に行けないと 口々に言うが、実際に公立病院に連れて行くと、診察や怪我の治療に、費用を請求されることはない。しかし、医師は、ちょっとした怪我でも、すぐに抗生物質等の薬を処方して、それを2週間分ほど買うよう指示する。最初は要求しないが、日本人が一緒に来ているという噂が伝わると、処方箋を書き始めることもある。

ほんとうにその薬が必要かどうか、疑いたくなることは、頻繁に起こっている。

近所に住む電気工事士で、日焼け止めに頭からシャツをかぶり、器用に電柱や高いところに登って仕事をするので、スパイダーマンと呼ばれている人物が病気になった。お腹が腫れたとのことで、病院に行って薬を処方してもらったが、2週間経っても良くならない。ドゥマゲッティの病院で診てもらったら、内臓の疾患で、関係のない薬を処方されていたことが分かった。ドゥマゲッティの医師は、シキホールの病院が関係のない薬を処方したことに憤慨していたそうだ。

さらに、最近になって、薬の誤用としか思えない状況が同時に二件起こった。

近所に住む筋肉マンが熱を出した。病院に行き、抗生物質などを買うよう処方され、薬を飲んだが、夜には熱が39度を越え、朝になると平温に近くなるという状況を繰り返した。2週間もそのような状態を続けたが、薬を買うお金がなくなったので 薬を止めたら、2日後には通常の元気な状態に戻った。私と一緒に山に行き、彼は ソンダン(なた)で、木の太い枝を切ったのだが、私よりも よっぽど素早く切れるので、病気は治ったことがよく分かった。薬が買えなくて、飲むのを止めると同時に、薬草などを使って治療する 現地のローカルな医者のところに行ったので、そちらが効いたという可能性もあるが、どうも病院で処方された薬の影響で、熱が上がったり下がったりしたと見た方が理解しやすい。

もう1件は、

現地で活躍しているJOCV・協力隊員の例だ。体調が良くないので病院に行ったら、腸チフスと診断され、抗生物質等を処方されたそうだ。医師の指示に従い2週間ほど薬を飲み続けたが、熱は下がらず、調子が悪い状況が続いた。医師の指示した期間が過ぎたので薬を止めたら、上の例と同じようにして、途端に調子が良くなった。隊員の見立てでは、細菌性の病気ではなくて、ウイルス性の疾患に違いない。以前の体調の良い時と、病気から回復した後に比べ、病気の間の血液検査で、血小板がかなり減少していたので、たぶんデング熱に罹っていたのであろうとのことだ。
腸チフスの方は、病原菌を見つけて言っているのでもなく、他に患者も出ていないし、隔離もしないし、家や職場に消毒に来るわけでもないので、間違いであろう。
飲んだ薬は毒にしかなっていなかったというのが、この隊員の意見で 私も同感だ。


一方、病院の横の薬局は、お金持ちだ。家は大きく立派で、車も私のような軽トラに乗っているのではなくて、外国で普通に見かけるレベルの乗用車に乗っている。この島では十分高級車だ。

安全上の理由から、書くのはこの程度にしておきたい。
続きは、容易に想像してもらえることだろう。

フィリピンのことでもあり、医者から指示された薬を盲目的に飲み続けて失敗する可能性もありうる。疑問を感じたら、Second opinionを求めたり、何か手立ても必要であろう。


ホームページへ戻る