空港へのアクセス

2006年11月



飛行機で海外に出掛けると、空港と町との間の移動が問題になることが多い。これまで、何度か雲助タクシーに乗ってしまったこともある。しかし、通常は、空港に乗り入れている電車や空港バスがあって、それに乗れば、いつも同じ価格で安全に移動できる。ところが、フィリピンはなかなか手ごわい。電車も空港バスもない。例えば、マニラでは、タクシーで空港まで行こうとすると、メーター通りなら、100ペソあまりの距離のところ、いきなり、ドライバーは300ペソと言うので、乗らずに 扉を閉める、というようなことが起こる。300ペソぐらいなら良いと 要求どおり払っていては、ドライバーはつけあがり、どこまで、要求がエスカレートするか分かったものではない。国内線から国際線への移動で、タクシーに乗ろうとしたら、1万円だと言われた日本人もいるそうだ。それよりも、メーター通りで行ってくれる良心的なドライバーもいるので、悪質なドライバーが得をして、正直者が馬鹿を見るというのが耐えられない。
タクシーは回避し、LRTで行こうとすると、荷物が多いので、駅のセキュリティーに門前払いを食らう。マニラは手ごわいのである。

知っていれば状況が改善できることも多いので、ノウハウをまとめてみた。

マニラ

(国際線 空港から)

ホールド・アップ 一番の課題は、ホールドアップのリスクであろう。北京やバンコクと同様、マニラでも、空港にはホールドアップ業者が、営業を続けているのは間違い無さそうだ。知り合いがホールドアップに遭った。そう言っている人の話を聞いたことがある。少なくとも、絶対にホールドアップはないとは言い切れないだろう。白タクだけでなく、普通のタクシーの車体でもホールドアップ業者のものかもしれないので、少しでも怪しと思ったら利用しないに限る。

大金の両替 空港で大金を両替すると、ホールドアップ業者にその情報が伝わり、空港の外でホールドアップにあうかもしれないという噂が以前からある。事実かどうか不明だが、空港での両替は町中よりレートも良くないこともあり、少しだけにしておいた方が無難だ。
空港を出て すぐ 両替商に向かい、その後、空港からつけてきたクループに取り囲まれて、大金を奪われた人がいるので、空港内の両替と同様 注意が必要だ。

クーポン・タクシー 家族や知人などが迎えに来てくれない人で、深夜到着の場合は、クーポン・タクシーの利用が安心だろう。最近は、値上がりが激しく、数年前の倍以上になっていて、メーターどおりのタクシーの料金に比べ、5倍近くにまではね上がっているが、深夜到着の場合には、ホールドアップに遭うよりましと 私は諦めてこれに乗っている。もともと、ホールドアップのリスクは低いと思われるが、クーポン・タクシーのお陰もあるのか、これまで30回以上 マニラへ国際線で、深夜に到着して一度も危ない目に遭ったことはない。

バス 町中を走るバスが、空港にも来ていて、それに乗れば10ペソ程度で空港の外に出られる。LRTと違い、バスは かなり荷物が多くても乗せてくれる。その後、町中で、メーターどおりで行ってくれるタクシーを探すか、LRTなどに乗り継ぐ。 ただし、最近、従来からの国内線のターミナルの前には、バスは通らなくなったので、国際線の方も今後の動向が不透明だ。

ジプニー、LRT ジプニーに乗っても、空港の外まで出られる。ジプニーは国内線のターミナルを経由して、さらに400メートル程先のマクドナルドのある交差点まで行って 一旦止まり、その後 空港へ戻る。交差点で降りて、ジプニーを乗り換えれば、LRTの駅まで行ける。荷物が多くても乗せてくれるが、お世辞にも快適とは言えず、バックパッカー的な発想の人で、荷物はどんな形でも良いが、とにかく安く移動したい人向けである。

出発ロビー前のタクシー これから出発する客を降ろしたところのタクシーに乗れば、一般に言われるように、安全に、しかもメーター通りに 行ってくれそうだが、私は、マニラでは試したことがない。

(国内線 空港から)

第二ターミナルへ国内線で到着した経験がないので、従来からの国内線のターミナルへ到着する場合を想定して書く。ただし、第二ターミナルの場合も ほとんど同じはずだ。

タクシー タクシー乗り場や、空港の前に止まるタクシーに乗る人は多いので、これでも、良さそうだが、1万円要求された日本人がいることもあり、私は、まだ 国内線ターミナルの前からタクシーに乗った経験がない。以前シキホール島に住んでいた日本人女性は、空港の前からタクシーを利用しても、いつもメーター通りで乗れたそうである。なかなかのやり手である。

ジプニー、LRT 空港の周辺は ぼられるもとという偏見から、私はいつもジプニーに乗って、空港から離れる。LRTに乗せてくれる程度の荷物なら、その後LRTの駅まで向かう。しかし、飛行機からLRTへ乗り継ぐという人は、非常に珍しく、少し恥ずかしい気もする。タクシーが常にメーター通りで乗せてくれれば、迷わずタクシーを利用するが、タクシーがぼること多いので、その対策の一つとして、ジプニーからLRTへ乗り継ぐということだ。

クーポン・タクシー 国際線同様、クーポン・タクシーも利用できる。ただし、国内線の場合、深夜到着は少ないし、ホールドアップは国際線の到着客を狙いそうなので、国内線到着でわざわざクーポン・タクシー利用するほどのことはないと思える。こちらは、初心者向けと言えそうだ。

(空港へ)

タクシー どこから乗るかにもよるだろうが、メーター通りで空港まで行ってくれるタクシーを見つけるのが非常に難しい。何度もトライしたいものだ。メータープラス30ペソくらいが落としどころかもしれないが、やはりメーター通りで乗りたいものだ。
お奨めは、早朝のタクシーだ。渋滞がないので、短時間で空港まで着くため、メーター通りで行ってくれるタクシーが多くなる。大抵朝の4時頃にタクシーで空港に向かうが、安全面で不安を感じたことは 一度もない。

LRT、ジプニー 荷物が少なく、近くにLRTの駅があれば、LRTでバクラランまで行き、ジプニーを乗り継ぎ、空港まで行く。 飛行機の乗客でLRTやジプニーを利用する人は、ほとんどないので、少し恥ずかしい気もするが、タクシーでぼられるのがいやなので、ファーストクラスに乗る時でも、空港へはジプニーで行きたい。しかし、乗客で、ジプニーを利用する人は100人に一人もいないはずだ。タクシーを利用し、ぼられる人が増える一方だろう。

ドゥマゲッティ

(空港から)

ドゥマゲッティまで行くのに 一番安いのは10ペソ以下。高い方は2000ペソ。まさにピンからキリまである。

ジプニー(Easy Ride) 空港の敷地を出たところに、国道が走っていて、ジプニーが頻繁に通過する。空港を出て左側(南側)に向かうジプニーに乗れば、10ペソ以下(6.5ペソか7.5ペソ)で、ドゥマゲッティまで行ける。国道までは、歩いて100m余り。ジプニーの運転手は、席が空いている限り客を乗せたがるので、混んでいなければ、少々荷物があっても簡単に乗れる。荷物が少なくなくても10ペソ払っておけば、通常はそれ以上請求されることはない。ジプニーの経路は決まっていて、通常は経路上でしか、降りることはできない。荷物が多いなら、町中の終点(市場の隣の通り)まで行って降ろされることになろう。

トライシクル@国道 ジプニーと同様に、トライシクルも国道を走っている。相乗りであれば、基本的にジプニーと同じ料金で乗れる。相乗りでも、ホテルの前まで送ってもらうのが便利で、町中のホテルへ行くなら、15ペソ程度払っておけば十分である。1kmまで6.5ペソ。以降1km増えるごとに1ペソ増というのが、ドゥマゲッティの現在のトライシクルの料金体系だが、少しは荷物もあることだし、ホテルの前まで行ってもらうので、距離は4kmほどでも、15ペソ程度払うのが良さそうだ。
他に客が乗っていないトライシクルだと、空港から出てきた外国人なら、料金は交渉になり、もう少し払う羽目になるかもしれない。できれば相乗りの方が良い。しかし、現地の人なら、1人だけでも、定価の10ペソしか払わずに済ます人がほとんどだろう。

トライシクル@空港 荷物が沢山ある場合には、空港の外まで出て、乗り物に乗るのは大変だろう。そもそも飛行機の乗客で、空港の外まで出て、乗り物に乗ろうとするのは、私を含め100人に一人くらいのものだ。次に安く済む方法は、空港で待機しているトライシクルに乗ることだ。こちらは、かなりの時間 運転手が飛行機の到着を待っているので、待ち賃も含まれていると考えないといけない。料金は、全くの交渉となるが、最低でも30ペソは払うことになる。昨年の日本人訪問者は、100ペソ払ったということであった。私のように貧乏そうなら、最初から30ペソで良いと言ってくれる運転手もいるが、普通なら50ペソ程度は要求されよう。相場も知らずに、値段を聞いたら、200ペソほど請求されることもあり得る。一人勘違いして、200ペソ払う日本人が出てくると、次から多くのドライバーが200ペソ請求し出すかもしれない。マニラのタクシーと同じようなことになりかねず、30〜40ペソ程度を目指したいものである。しかし、ある程度の待ち賃は、払ってあげないとドライバーもかわいそうだ。

バン 私はそんな高級なものに乗ったことはないが、空港バンもあって、シキホール島に住む日本人は、最初は 言われるままに2000ペソ払ったそうである。しかし、だんだんと状況が分かってきて、最近は300ペソ程度で乗るとのことである。バンの大きさや、新しさにもよるが、沢山の人が乗れ、しかも新しい車だったら、一人で貸切で乗って300ペソでは、車の減価償却も なかなか難しいことだろう。しかし、他の乗りものと比べ、300ペソはべらぼうに高いと言える。フィリピンには そんな高い乗り物は似合わず、トライシクルで十分だと言いたい。
しかし、トライシクルは、外国人にはバックパッカー・レベルの乗り物で、例えば、私が日本から誰か人を招待するなら、トライシクルでは失礼なので、やはり、このレベルの車に乗ってもらうことになろう。しかし、予算がないので、当面 こちらから招待するようなことはないだろう。
しかし、相手が希望してやって来る場合には、「お金持ちの国でないフィリピンへ来るのだから、トライシクルで十分。自分で払って、乗ってきてくれ。」と要求する。

(空港へ)

ジプニー 市場の横から出発するシブラン行きのジプニーが、空港の横を通る。荷物が多くても、ジプニーの上に乗せれば 何とかなる。本数は多く便利だ。ただし、荷物をジプニーの上に乗せるのなら、自分は立って乗った方が安心で、立ち乗りが得意でないといけない。危険とも言えるので、女性には向かない。途中で降りないといけないので、空港のマークに注意する必要がある。他には、ガソリンスタンドが目印である。
運転手に空港で止めてくれと言っておけば間違いないだろうが、最初から空港に行くことを知らせておくと、料金を多めに請求されるかもしれない。それでも、運転手に頼んでおくのが安心であろう。そのまま10ペソ払って、荷物を持って 空港の前で ジプニーを降りるのが正解だ。
ジプニーで空港まで行くのは、反対方向と同様、私を含めた100人に1人程度のことであろう。

トライシクル ホテルの前から乗れるので、トライシクルが便利だ。料金は、以前は20ペソで行ってくれた。それが30ペソになり、前回は こちらが30ペソと言ったが、ドライバーは50ペソ要求した。そのため 乗るのは止めて、ジプニーに10ペソ払って空港に行った。私は、空港まで30ペソでトライシクルに乗りたいが、現実的には、40ペソが妥当と言えるところまで来ているのかもしれない。

セブ

(空港から)

クーポン・タクシー 5、6年前は定額150ペソ。それが2、3年前に乗った時には、200ペソになっていた。さらに値上げされているはずだ。

タクシー@出発ロビー前 メーターで行ってくれる可能性が高い。

トライシクル、ジプニー 出発ロビーの階へ上がり、空港の外へ向かい100m程歩けば、トライシクルの乗り場がある。トライシクルで、マクタン島の外周道路まで行き、そこからジプニーに乗れば、セブのダウンタウンまで行ける。トライシクルは、誰も乗っていないものに乗ると、余計に料金を請求される可能性が出てくるので、相乗りにしたい。料金は10ペソ以下(6ペソ程度)。ジプニーも10ペソ程度。他と同様、飛行機の乗客で、この経路を利用する人はほとんどいない。

(空港へ)

タクシー 通常メーター通りで行ってくれるので問題ない。セブの中心から100ペソ余り。マクタンのビーチリゾートに泊まった場合、そこの乗り物を利用するか、タクシーを呼んでもらうか、どちらも、そこそこの値段になるはずだ。

ジプニー、トライシクルを乗り継いで空港まで行くことも可能である。

その他

その他では、ダバオ、カガヤン・デ・オロ、タクロバン、タグビララン、イロイロの空港を利用したことがある。基本的には、空港からジプニーがあれば、それを試してもらい、タクシーに乗るにしても、空港から離れて乗ってもらいたいものだ。空港へは、マニラ以外は、大抵メーター通りで行ってくれる。カガヤン・デ・オロは、空港まで結構遠かったが、何とかメーター通りで空港まで行ってくれるタクシーが見つかった。しかし、帰りの客は見込めず、ガソリン代が2倍かかることになるので、そういう場合は、そこそこチップを出さないと、ドライバーもかわいそうだ。


一通りまとめてみたが、ジプニーやLRTなど、空港への足としては、ほとんど私しか使わないようなことを、やたらと詳しく取り挙げてしまった感がある。私自身も、タクシーのメーター通り200や300円払って空港まで行けるなら、それ以外の方法など 不要だ。一律5割くらい値上げしても、それで皆メーター通りに走るようになるなら平気だ。
なぜ、空港バスがないのか? タクシーで十分安く空港まで行けるはずなので、空港バスなど存在意義がないからであろう。
結局 すべて ぼったくりタクシーへと矛先が向かう。

一方、普通の日本人は どうしているのかと考えた場合、
現地に住んでいる人なら、運転手付きの自家用車が送迎してくれる。
友人を訪問するなら、やはり送迎してくれる。
現地につてがない観光の場合、マニラなら、行きはクーポンタクシーで、帰りは、ホテルに手配してもらうということになろう。その他の地方都市なら、基本的にタクシーを利用し、タクシーも走っていないようなところには、行きたくないということになりそうだ。
以前、私のところに日本人の大金持ちの老人が何度も来られたが、その時は、トライシクルに乗るようお願いした。しかし、それには無理があって、やはり、そこそこのレベルの車をこちらで準備する必要があったのか? ただ、それをすると、近所の貧しい人たちの見る目が厳しくなる。そう単純ではない。


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