長沙(Changsha)

2010年 7月



長沙は、中国湖南省の省都で、広州から北へ700kmほどのところにある。長沙と言えば、長沙古墳(または馬王堆古墳)を連想する人が多いはずだ。

日本とフィリピンの間の移動で 中国等へ寄り道を繰り返しているが、今回もその一環で長沙に立ち寄った。まずは、昨年11月のセブパシフィック航空のほとんど無料のバーゲンで香港からマニラへのチケットを買っておいた。これに特典旅行で日本から、香港か近くへのフライトを組み合わせるのが簡単だが、それだけでは芸がない。少し離れたところまで飛んで、残りを陸路で移動することを考え、今回は、UAの特典旅行で関空から上海経由の長沙行きを利用した。と言っても、まさに UAのおねいさんの言う通りで、電話に出たUAの職員に予約を入れてもらったから行けたのであって、席が無いと言われれば それまでで、また違うどこかに行っていたところだ。
実際、前回も類似のパターンで、関空から昆明への便をUAマイルで予約しようとしたら、前後の1週間くらいは満席と言われてしまった。3月の後半で、春休みに入る頃なので、混んでいたようだ。その時は、何が何でも昆明に行くつもりだったので、 DLに電話してみたら、Cクラスなら席が取れた。さらに付け加えると、今回の予約の帰りは、10月の昆明から上海経由の関空行きで、万博の最終日頃なのに予約は入ってしまった。幸せの予感を感じなくはないが、フライトが米国の航空会社ではないので、あまり期待できない。
とにかく、特典旅行の予約が入るかどうかは、航空会社が席をどの程度特典旅行に開放しているか等、諸条件で変わってくるので、予約システムで下調べするなど、席の確保に向けて、地道に努力を続けるしかなかろう。

フライト・空港

日本から長沙までは、今回のように上海経由、もしくは北京経由が一般的であろう。さらに調べると杭州経由も検索では見つかり、中国南方航空(CZ)を利用する場合は、広州経由もあろう。今回はUAのマイルを利用したので、いつもながら 電話で予約する時に、経由地についての希望は言いにくい雰囲気だった。早朝の出発や深夜の到着は困るというような希望を聞いてもらえる程度であろう。日本と中国の間はANAにして欲しいと言ってはみたが、空席がないと言われてしまった。
結局、関空・上海間はCA, 上海・長沙間はFM便に決まった。朝1番のフライトに乗って、長沙には午後5時過ぎの到着で、まずまずのスケジュールと言えよう。

CA上海便のスナック
普通の機内食のメインデッシュの皿を除くとスナックになるようだが、違和感を感じるのは私だけではないだろう。

上海浦東空港

以前にもトランジットで立ち寄ったので空港の写真は少し紹介て、今回も、空港については特に変わらないが、入ったラウンジが、前回はFMラウンジだったのに対して、今回はCAラウンジに入った。空港自体で無料のWi-Fiを提供しているので、ラウンジに限らずインターネット接続は問題なく、北京空港に比べるとその点は便利だ。

FM,CAのどちらのラウンジが良いかについて、興味がある人は、両方入って比べてもらうことにして、ここでは、別の比較をしたい。先日北京経由で、同じくCAラウンジを利用したが、そちらは、F,Cのラウンジが分かれていて、ゴールドのカードだけでは、Cクラスラウンジになり、Fクラスラウンジに比べ、快適さ、食べ物などで見劣りしていた。これに対して上海はF,C共通のラウンジで、北京のCクラスラウンジより内容が良かった。

出発ロビー

搭乗口付近

CAラウンジ

CAラウンジの食べ物

長沙空港

夕方到着して すぐバスで町に向かったので、詳しくは見ていないが、とにかく空港と町とは高速道路で結ばれていて、空港バスが往復しているので非常に便利である。空港バスの料金は 北京や広州と同じく16元(保険込み)だった。
空港の外で歩いて行ける範囲のところに町が出来つつあり、安めのホテルも見かけた。空港から長沙の町までは、タクシーでは数千円かかりそうな距離なので、万一、夜遅く、空港バスの終了後に到着してしまった場合には、近くでホテルを探した方が安上がりになりそうだ。しかし、ホテルが営業しているのか、空室があるか等保証は無い。空港の敷地内にもホテルがあるが、安宿ではない。不安をあおるようなことを書いているが、私がフライトを予約した時、航空会社は 深夜到着の便をまずは薦めた。その方が乗り継ぎが良いからである。それでは困るので、早い時間に到着するようにして欲しいと頼むと、想定していた夕方到着の便にしてくれた。もしも深夜到着の便になってしまった場合は、通常は、予めホテルを予約しておいた方が無難であろう。ホテルなど予約しないで出掛ける私のような旅行者は、これを読んでいる人の中では 少数派かもしれない。

ターミナルビル

新たなターミナルを建設中であった

空港バス(空港快線)

町の様子

省博物館

湖南省博物館には、ミイラなど馬王堆古墳関連の展示があるので、折角だから見て行こうと思ったが、失敗に終わった。到着した次の日の午後2時頃に行ってみると、今日のチケットは売り切れで、明日また来るようにと案内が出ていた。そこで、さらに次の日の午前9時頃に行ってみると、今度は長蛇の列ができていた。待ち行列の様子をしばらく眺めていたが、ほとんど進まないので、私は さっさと諦めて帰った。ミイラの周りに客が殺到すると危険なので、入場制限しているのかもしれないが、中国では、共産主義から金儲け主義へと移行したにもかかわらずこのサービスの悪さは、いただけない。
高い入場料を徴収しておきながら、収益が ここで働く従業員の給料とは関係していないことが 容易に想像できる。給料を歩合制にすれば、大変革を遂げることだろう。この見立てが私の勘違いなら訂正するが、まず間違いは無かろう。

省博物館の入り口

入場券を買うための長蛇の列

岳麓書院

省博物館には入れなかったので、この町のもう一つの人気観光スポットである岳麓書院に行ってみた。北宋の時代に開かれた学問の府で、長い歴史を持つ。

烈士公園

省博物館に行ったら、本日のチケットは売り切れということだったので、その横に広がる烈士公園に行きがかりで入ってみた。烈士公園と言えば、普通は記念碑を奉っていて、日本で言うなら靖国神社のようなイメージだが、ここでは、それ以外に遊園地のような施設もあり、市民の憩いの場所となっていた。

平和堂

平和堂と言っても、滋賀県の人しか分からないのかもしれないが、滋賀県民の私には気になる存在なので試しに行ってみた。
インターネットで検索してみると、平和堂は 最新のデータでは、食品スーパー業界3位というデータも見つかり、それだと、滋賀県民だけのローカルな存在とも言えまい。しかし、食品スーパー業界と言うと、ここ長沙の平和堂は高級デパート以外の何者でもなく、分類が違うという話になりそうだが、詮索するのは止めておこう。

日本の平和堂では考えられない
巨大な建物

入り口に、垂れ下がっているもので、
日本でなくて、中国だと分かる。

中は広々として、立派な造りだ。

ポロシャツ 990元
(私の泊まった宿は一泊55元)

上の写真のように、建物は巨大。シャネルまで入っていて、日本の平和堂のノリでは到底考えられない高級さである。中を見ていろいろなことを思ったが、素人である私のコメントはここでは差し控えておく。

バーゲンコーナーには婦人服が並んでいて、5折、6折(5割引、4割引)と書かれていて 結構客が集まっていた。試しに一つ値札を見たら、元の値段が1990元だった。それなりにブランド物のようだが、よく聞くような名前ではない。
広州などでは、ビィトンなど高級ブランドのカバンを持っている人をよく見かける。ほとんど偽物であろう。フィリピンでは、現地の人の感覚では、時計のSEIKO、CITIZENよりも、CASIOの方が高級というイメージがある。実際には どの名前も知らない人が多いとも言えるが、とにかくデジタルのCASIOは偽物が作りにくいのに対して、昔ながらの針の時計は、まがい物が容易に作れることが関係しているのは間違いない。以前ダバオの百貨店で、プラダのカバンが1000円以下で売られているのを見たことがあるが、SEIKO、CITIZENも同様な環境に置かれていると言えよう。偽物天国では 一体何にお金を払ってくれるのか、日本など普通の国とは傾向が異なると言えよう。

太平老街

バスに乗っていたら、雰囲気の良さそうな通りを見かけたので、バスから降りてそこに行ってみた。太平老街というところで、古い町並みが残っているところを再開発してある中国でよく見かけるパターンの通りである。最初はいい感じに思えていたが、先に進むと道が狭くなった。それ自体は悪くないが、道幅と看板の割合の関係で、ほとんど看板だらけと感じるようになってしまった。これでは、日本の旧炭鉱町の飲み屋街のような感じで、飲み屋街が目的ならそれで良いが、歴史を売りにするには、ケバケバし過ぎて節操がない。町並み、景観を守るためには、ルールが必要だが、やりたい放題だとどうなるか、その典型的事例を見ることができた。

中華街風のゲート

最初は、道幅も広くいい感じに思えたが

しばらく行くと、道が狭くなり、看板
ばかりが目立つようになった。

町のその他の様子

長沙駅
京広の幹線にあり利用客が多い

長沙駅近くのバスターミナル
近郊の町を結ぶ

駅の近くの通りの様子(八一路)

湘江
町の中心の西側を東西に
横断する大河

長沙で食べる

ガイドブックによれば、湖南料理は辛くて、その中でも長沙は特に辛いと書かれていたが、個人的には激辛は得意でないので、ここでは それよりも 町で沢山見かけた蒸菜を まずは取り上げたい。

小鉢に入った蒸菜が店頭に並ぶ

試しに食べた蒸菜

食堂街を歩いていると、蒸菜店が沢山あったので、これは食べるしかないと思い夕飯に試してみた。蒸してあるので、油も落ちて、辛くなくて大正解と書きたかったが そうは甘くない。選んだ3品は、それぞれ難があった。三度豆と思った野菜は、唐辛子であった。蒸菜以外にもいろいろ食べたが、どうやら湖南省では、野菜と言ってもたいてい唐辛子が混ざっている。ただ、この唐辛子は あまり辛くない。ピーマンと思って食べれば良さそうだが、そうやって食べると今度は少しは辛さも感じ、悩ましいところである。二品目は、豆腐と思って取ったものが、豆腐以外に 豚肉が沢山入っていて、それが ほとんど脂身であった。蒸して油が流れれば良いのだが、鉢の中で蒸すので、流れにくい。
もう一つは、大根をサイコロ状に切ったものと思って取ったら、これも 実は脂身のようなものだった。実際には、それほど脂っこくないようにも思えたが、よく分からない食べものなので、ほとんど手をつけられなかった。
結局食べられたのは半分ぐらいで、ご飯が沢山付いていたので、料理の味の濃さもあり、何度もご飯をお替りして食べた。
料理は沢山選択でき、日本人の口に合うものも少なからずあるはずだ。それを、うまく選び出せれば、蒸菜は正解のはずだ。
今回は外れだったが、3回来れば 日本人に美味しいものだけ、自分でも選び出せそうだ。外れと言っても、半分近くはより分けて 美味しく食べれた。誰かこの地で 蒸菜を食べ慣れた日本人と一緒に行くことが出来れば、最初から問題ない。
今回の1回だけでも、しっかりアイデアは頂いた。フィリピンで 魚やその他の蒸料理を試すべく、この後 香港で蒸篭を買った。以前フィリピンの中華料理店で、蒸した魚の料理を食べて 美味しかった覚えがある。

その他の食べ物の写真も以下に載せておく。

快食

牛肉面

安宿に泊まる

空港バスは長沙駅の近くの民航のバス停まで行くので、駅の近くで安宿を探したが、残念ながら安くて、快適なところを見つけることが出来なかった。80元〜100元程度のところだと、外国人お断りと言われるケースが少なくなかった。さらに安いところに行くと、台帳に書かなくていいと言って 泊めてくれた。規則では泊めてはいけないが、売り上げが増えると、私を泊めてくれたその人も儲かる仕組みなので、泊まれたようだ。一番良さそうな部屋が55元で、トイレシャワーも付いていたが、暑い時期にエアコンなしで、部屋は綺麗でないので、また行きたいとは思わない。
結局、駅前では正解は見つからなかった。暑い時期でなければ、エアコンは不要で、それなら 許容範囲の安宿が見つかるかもしれないが、観光地で宿が林立している訳でもなく競争は激しくない。特に、夏場でエアコンが必要な時に行くと安宿派には少し辛そうな町である。

駅前近くの八一路で、今回泊まった
安宿付近の様子。


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