セブ・パシフィック航空の国際線でのトラブル事例

2008年10月作成   
2013年11月最終更新



5Jのマカオ行き@マニラ
 

最初に断っておくと、ここでの趣旨は、トラブルが多いので乗らない方が良いというのではなくて、フィリピン流を理解した上で、賢くおトクに利用して頂きたいということである。

アジアの格安航空会社が勢力を伸ばし、フィリピンのセブ・パシフィック航空(5J)も関空への乗り入れが決まり、すでに予約も入るようになっている。海外発券と同様で、関空便の場合でも、ゴールデンウイークなども通常の価格で乗れる予約クラスがあり、特に、そういうおトクな時期は、これから予約が多く入ることだろう。

マニラ・ベースまたはドゥマゲッティ・ベース。 とにかくフィリピン在住の私もよく5Jを利用する。以前は、旧NW(現在のDL)と5Jの提携が有効だったので、5Jでフィリピンの国内線まで無料で飛ぶというのがメインであったが、最近は、提携が解消してそれができなくなった。そのため国内線は有料で乗っている。UAのマイルを利用してフィリピンまで行くにはYクラスで、3万マイル必要で、DLだと2万5千マイルから。これに対してUAのマイルで日本と中国または台湾を往復するのであれば、2万マイルで済む。そこで、マイル節約のため、UAマイルで中国に飛び、陸路移動して、5Jが飛んでいる都市まで行き、そこからフィリピンへ行く(v.v.)という作戦に出ている。

すでに、5Jの国際線もかなりの回数 利用しているのだが、当初はほどんど毎回のように何かトラブルが発生していた。しかし、飛行機の事故などは除き、少々のトラブルは想定内であることが大切で、フィリピン的発想でやっていれば、対処可能というのが私の意見だ。外国人にとっては、実態を把握することが重要なので、まずは、これまで、私が5Jの国際線に乗った場合のトラブル事例を紹介したい。

アモイ/マニラ 2007年11月

アモイはコロンス島など、観光にも適しているので、ANAの関空からの便でアモイまで来て、数日アモイに寄り道してから、5Jでマニラまで飛んだ。この時は、比較的順調で、ゲートの変更と30分余りの遅れで済んだ。

マニラ/アモイ 2008年3月

この時は、航空会社から連絡があった。出発時刻が変更になり、2時間余り後になったということだった。現地で空港の外に出たのは午後7時を回っていたが、行きに1元空港市バスの乗り場や、泊まる予定のホステルの場所も十分把握してあり、夜の到着も問題なかった。

マニラ/マカオ 2008年6月

その前に、日本からフィリピンへのフライトがあったが、この時は、NWのマイル利用だったので、行きは寄り道せず、日本からマニラへと直行した。帰りに、香港に寄り道して、久々に飲茶に行こうと思った次第である。しかし、5Jの香港便の安いフライトが見つからず、代替案としてセブからマカオへのフライトを予約した。今時、マカオで一泊1万円以下のホテルを見つけるのは難しそうだったが、探せば安宿があるのがわかり何とかなった。
前の二つのフライトとは異なり、ここでは、かなりのトラブルが発生した。まずは、セブ、マカオの直行便は飛ばなくなり、マニラ経由にしてほしいという電話が航空会社から入った。出発時間が、最低でも4、5時間早くなり、日本のビジネスマンの感覚ならとんでもないということになろうが、片道8千円程度の航空券では、少々余計に時間がかかるくらいのことは、大目に見よということだろう。夜にセブ空港に行く予定が、昼にセブ空港へ行き、夜の9時過ぎにマカオに到着した。到着時間は、マニラからの便の方が セブからの便より少し早く、私はその方が良かったし、この程度の変更は許容範囲である。

問題は、マカオ到着時に発生した。空港で延々と待ったが荷物が出てこないのである。スルー・チェックインというほど 大げさなものではないが、マニラで再度荷物を預ける必要はないと セブで言われたので、その指示に従ったのが甘かった。マニラで結構時間が空くし、何よりも、国内線と国際線のターミナルがかなり離れているのが不安に思えていた。(現状では、ターミナルが一箇所に集約されたので、状況は良くなったと期待したい。)フライトが変更になっていることも含め、荷物が着かなかった原因はいくつか考えられそうだが、この場合のスルー・チェックインを信用したのは甘かったと思う。フィリピンを甘く見過ぎた。

マカオの空港担当者に事情を説明したら、事情聴取の書類を作成した後、次のフライトが2日後なので、荷物もそれに乗ってくるだろうということだった。実際にも案の定そうなった。担当者がいかにも手馴れていることから、これまでにも、類似の事態が何度も発生していると想像できた。

マカオでギャンブルして、数日遊んで帰る人が多いので、2日後とか言っても、それで済むのかもしれないが、普通なら、余りにも遅すぎると言えよう。私の場合にも、さっさと香港に行く予定だったので、困ったことになった。そこで、マカオで一泊した後、一旦中国に行き、そこで1泊して マカオに戻り、さらにマカオで1泊し、香港に移動した。 中国に行くのに 荷物が少なく身軽に行けるというメリットを利用した。中国で、下着を買ったが、これは想定外だった。
これまで、私の場合、1000フライト程度は経験しているはずだが、荷物が着かなかったことは一度もなかった。実際には荷物を預けなかった方がかなり多いのだが、それでも、私の経験を踏まえ、荷物が着かない確率は、一般的にも そんなに高くないはずだ。

その後は、船で香港に渡り、陸路で広州まで行って、NWで日本に戻った。

ハノイ/マニラ 2008年7月  〜 ジプニー方式 〜

UAマイル利用を復活させ、成田から上海経由で昆明まで飛んだ。そこから陸路でハノイにたどり着き、5Jでフィリピンへ向かった。さて、この時も航空会社から電話があった。前回は、二日遅れは荷物だけだったが、ここでは、さらに自分の体まで二日遅れを食らった。予約を入れていた日のフライトはキャンセル。2日後にある次のフライトにして欲しいということだった。

もっともらしいようにも聞こえるが、実態は、2日後もガラガラ。キャンセルしたフライトの客をエンドースした結果ではなくて、2回分を1回にまとめて飛ばしたことが容易に分かった。ジプニー方式と最初に書いたが、ジプニーは、通常、満員になるまで出発しないものだが、そのノリで、客がそこそこ集まらなければ出発しないと考えれば、理解しやすい。

フィリピンだけ、悪者のように書いてはいるが、実際にはUAやNWでも、同じようなことは少なくない。
例えば、私は経験していないが、NRT/SINの往復とも客が少ない場合は、UA,NWのどちらかに縮退させるという噂をよく聞いたことがある。地球に優しい行為なので、当然だろう。時期によりスケジュールも変わるので、できなくなることもあるはずだ。
理由ははっきりしないが、NWでラスベガスからの便が欠航になったことがあった。乗り継いで日本に帰る予定だったが、振り替えてもらって、最終的には、国際線は同じ便で日本に到着した。

フィリピン以外の航空会社でも、キャンセルは少なくないということなのだが、2日後にしてくれとは、普通なら言わないだろう。しかし、8000円程度の航空券では、ホテルを用意してくれとも言いにくい。

さて、UAの特典旅行でも緊急発券手数料を取るが、その緊急の期間が延びて、余計な手数料を払わないためには、より早めの予約が必要となった。この場合には、それが日本からの出発日の遅れにつながった。

気持ちの余裕の無さから、昆明からハノイまでの寄り道の期間をそれほど取っていなかったのだが、フライトキャンセルで、ハノイ出発が2日遅れになったおかげで、ふんぎりがついて、ハノイでもそこそこ観光ができ、世界遺産のハーロン湾にも行けた。

話は まだ終わらない。マニラに着いたら、今度は、かばんを豪快に壊されていた。これについては、航空会社よりも、空港の問題とも言え、以前にも紹介したので、今回は この程度にしておく。ただし、余りにも壊されることが多いので、航空会社の担当者に報告書を渡しておいた。再発防止に少しでも役立ってほしいと思ったためで、クレームとつけて補償してもらおうというようなことは、フィリピンなので最初から期待していない。


以上のように、フィリピン以外のビジネスマンが利用するような運行実績にはなっていないと言えよう。しかし、バックパッカーで 日本を飛び出して、いつ帰ってくるかも分からないような旅をしている人だったら、2日遅れくらいは、特に問題はないはずだ。予定通り飛ばないことも想定に入れて、旅をできる人には、安いチケットは魅力だろう。また、片道ごとに買えるので、現地に長期滞在しても、航空券が割高にならないのも、少なからぬ人にメリットがあろう。


その後 

2008年に5Jの国際線に乗った時には、トラブルが多かったが、その後も乗り続けているものの、便数が大幅に増えたこともあり、かなり状況は改善している。記憶にある中では、香港からクラークに飛ぶ時に台風で2時間くらい遅れたことがあったくらいで、それは天候の問題だ。その他でも、少し遅れたくらいで大きなトラブルの経験はない。

特に、上の例で、ハノイからの便で、間引きで二日先の便にされてしまったようなことは、5Jの評判にかなり影響しそうでもあり、その後は起っていない。


BACK