Sの悲劇

2002年6月


悲劇の舞台
SFO国際線のゲート

何かと冷遇されることが多い日本の格安航空券。UAでは、主にSクラスが格安航空券に相当する。今回は、このSクラスで これまで最大の悲劇を経験してしまった。

UA809便で、サンフランシスコから関空まで帰る時のこと。例によってSクラスでは、電話でアップグレードを依頼しても受付けてもらえそうにないので、チェックイン時に、System wideを使ってアップグレードしてもらえないか頼んでみた。無事アップグレードリストに名前を載せてもらい、カウンターで、名前が呼ばれたので、System wideの証書を持って、アップグレードの搭乗券を受け取りに行った。

なんと 席は3F。 ファーストクラスであった。

ところが、そこで悲劇が訪れた。名前を呼んでくれた日本人の若い女性が他の処理で忙しく、代わりに 親分格の別の男性職員が対応してくれたのだが、そのことが、最悪の結果を生んでしまった。日本人女性の端末でホールドしてあった制御を、男性の端末のに移し、搭乗券を打ち出そうとしたところで、SクラスがらみのWarningが出たようだった。男性職員は、System wideの注意書きを調べ出し、Sクラスはアップグレードできないと主張し始めた。
そこで、日本人女性職員が、どのように席を変更するか男性職員にたずねた。というのは、この日は、エコノミークラス、ビジネスクラスともほぼ満席の状態であった。証書無しでも、1クラスアップグレードされるところで、証書を使うので、2クラス同時にアップグレードされたようであった。そのため、女性職員はどのようにダウングレードするか男性職員にたずねたようだった。

男性職員は、Sクラスの分際で、アップグレードを依頼してもらっては困ると言わんばかりに、最初のシートに戻せと指示したため、再度2クラス・ダウングレード。振り出しに戻って、33Kの席に決まった。 いかにも 「三振、バッター アウト。」 と言われているような席である。実際に乗ってみると、3人掛けの席には全部人が座っていて、おまけに、エコノミー・プラスでも無い。 悲しい限りであった。

以上は推測で書いている部分もあるが、他に説明のしようがないので、これらの推測は当たっているに違いない。

ファーストクラスまで持ち挙げておいて、結果的には、ビジネスを通り越して、エコノミーまで、ドスンと落とすとは、これ以上の悲劇は考えられらない。


System wideでは、Sクラスは This upgrade may not be used と書かれた中に入っており、

「アップグレードされない。」または、
「アップグレードされないかもしれない。(すなわち、されるかもしれない。)」

この2つの意味があると読めなくはない。そこで私の場合は いつも 後者の意味と解釈して、カウンターやゲートでアップグレードを頼んでいる。一方、この記述を問題にする職員は、すべて前者に解釈しているわけだ。(実際には、System Wideの注意書きの中には、Upgradableとか、Non-upgradableとかいう言葉もあり、後者に解釈するのは、かなり厳しいのだが、可能性を求めて 後者を選んでいる次第である。)

このことを議論しても意味がなくて、私と同じ意見で細かいことを気にしない職員に当たった場合には、Sクラスでもアップグレードしてもらえて、そうでない職員に当たった場合はアップグレードされないというのが実状である。

Sクラス、または、格安航空券のITに関する航空会社の米国人職員の間での偏見は激しい。以前 NWのサンフランシスコのダウンタウンのオフィスでアップグレードを頼みに行った時も、ITをアイ・ティーーー?とTの発音を伸ばして、ITの分際でよくもアップグレードなんか頼みに来たなと言わんばかりに蔑まれ、アップグレードさえなかった経験がある。
ITだと、米国内をいろいろ回り易い。その結果、わざと米国内をうろうろしていると見なされ、チェックイン時に、係員から、いやな顔をされた経験は枚挙に暇がない。

ところが、最近はいろいろなクラスがあり、例えば昨年の暮に買ったVクラスのチケットは今回のSクラスと比べて 値段はほぼ半額だったが、問題なくアップグレードされた。 Systemwideの注意書きでもThis upgrade may be usedと書かれた中に入っている。

このようにして、Sクラスが狙い討ちされる理由は無くなりつつあるはずだが、日本人が格安航空券で米国内をウロウロして、マイルを荒稼ぎしていると見なされている限り、 Sクラスは虐待される運命にあるのだろう。




話が まだ続くのは、2クラスダウングレードの悲嘆の大きさを現すものとして ご容赦願いたい。

Wの悲劇

UAのWクラスは、最近では GO USA 14が このクラスに相当する。これだと、System wideの注意書きにもアップグレード可能と書いてあり、ここでは何の問題もない。

ここで起きた悲劇のWは、Wクラスのことではなく、行きも、帰りもという意味である。

行きは関空からサンフランシスコまで飛んだのだが、ここでも、Sクラスはダメと断られた。
関空では、Sクラスの場合アップグレードを断られることは、これまでも多かった。しかし、昨年の暮れには、9月11日の影響で、乗客が減ったためか、スタンバイではあったが、アップグレードしてもらえることもあったのである。
それに対して、 今回は担当者が変わったためか、ダメだった。

職員に与える印象が大切

以前、サンフランシスコでチェックインする時、こんなことがあった。
前に並んでいた女性が、「今日はアップグレードしてくれないのか?」と、お世辞にも丁寧とは言えない口調で、職員に聞いていた。職員は客の態度が気に入らない様子で、アップグレードするのに
必要な高額の料金を答えていた。もちろんその女性が、料金を払ってアップグレードしてもらうはずはない。
そして、私の順番が来ると、今度は、何も頼んでいないのに、「アップグレードします。」と言ってくれた。

これは 以前の話で、最近は アップグレードは、主にコンピュータが決め、職員の裁量余地は少ないと言われてはいる。 それでも、例えば今回の帰りのように、コンピュータがアップグレードしたものを、わざわざ、職員が取り消してしまった。 これは、職員の裁量以外の何ものでもない。
もしも 日本人の女性職員が 別の処理を済ませるのを待ってから、搭乗券をもらいに行っていれば、間違いなくファーストの席をもらえたことだろう。なぜなら、彼女は、コンピュータに従い、アップグレードしますと 一旦アナウンスした 本人なのだから、それを取り消すとは考えられないからである。

このように、アップグレードなどに対して、職員の裁量の余地は ありそうだ。 そうなると、職員に対して こちらがどのような印象を与えるかということが大切になってくる。

そう考えると、今回の行きの場合には、次のような反省点がある。
エコノミーの列がやたらと長かったので、ビジネスクラスの列に並んだ。ビジネスクラスの列には、前に一人だけが並んでいた。 そこで、職員が次のように思わなかったかということである。
「他の人が延々並んでいるのに、マイレージの上級会員というだけで、安チケットにもかかわらず、列に並ばないのは、いかがなものか? あまり感心しない。」
これについては、航空会社は、そんなことはないと否定するだろう。
しかし、こちらが もしも長い列の方に並んでいたとしたら、「どうも、長い間お待たせして、ご迷惑を掛けました。」という思いが、職員の心の中に生じ、前者の場合と比べ、対応が変わってくるのではないかと考えられる。
たぶん、こちらについては、航空会社も否定しないだろう。

今回の関空の場合は、前者に相当しているが、担当者は、必要以上と思えるほど詳しく、System wideの注意書きを読んで、その結果Sクラスはダメたどいうことになった。

帰りのUA809便の場合は、コンピュータが ファーストクラスだと指示しているにもかかわらず、行きと同様にして、職員がSystem wideの注意書きを詳しく調べ始め、その結果 ダウングレードされてしまった。

これについては、次のように思えてならない。
名前が呼ばれたので、喜んで 職員の所に飛んで行き、「早くアップグレードしてくれ」と言わんばかりの せかすような態度で、搭乗券をもらおうとした。その結果、担当者に良い印象を与えず、失敗してしまった。

今回の事例だけでは、
厳しい担当者に当たったため失敗したのか、それとも、
担当者に良くない印象を与えたため失敗したのか、
どちらと断定することはできない。
しかし、これまでの経験からは、SクラスでもSystem wideを使ってアップグレードしてもらえるか否かといった きわどい違いに対しては、 担当者に与える印象の良し悪しが、かなり影響しそうである。

参考までに、きわ物のその他の例を挙げておく。

・変更不可または変更が有料のチケットの場合で、空港に早く着いたり、接続便が早く着いた時に、特に追加料金を請求されず、前の便に乗せてもらう。
・同様の条件で、さらに、前日等まで前倒しして、乗せてもらう。(かなり厳しい)

以上

# 二度と買わないわ Sクラスなんて
# それが1Kの道ならば


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