15万ペソの家

2010年6月作成
2018年10月最終更新




フィリピンのインフレについて

日本ではデフレが言われて久しいが、フィリピンでは基本的にインフレが続いている。最近の10年程度では、年率2%〜8%程度のインフレ率になっているが、平均すると4%程度だ。これで概算すると、5年で20%、10年で50%とみても、大きな違いはなさそうだ。(4%でもう少し細かく計算すると、5年で1.22倍、10年で1.48倍となる。)

金額について、後から再見積もりをしていない場合には、これらの数字をもとに、読んだ時点でのおおよその金額を予想して頂きたい。

15万ペソの家

日本人がオーナーの30万ペソ余りかかった家の事例を紹介したが、もう少し安めの家の例を追加で紹介しておく。
同じくシキホール島の例だが、San JuanのCoral cayという宿のすぐ近くに、D'Barkadsというフランス人がオーナーのレストランがあり、同じオーナーがレストランの横に建てたものである。レストランの従業員によると予算が15万ペソとのことである。

広さは、バルコニーを除いて、25〜30平米程度であろう。さらに 前にゆったりとしたバルコニーもあるので、これでも十分快適だろう。扉が広く開いているので、外と内がつながっていて、実際よりも広く感じるはずだ。いろいろな日本人に、参考のためこの家を見てもらっているが、豪邸でないと駄目だという人以外、(しかし、そんな人は、私のところには来ないので、結局全員) これで十分という話になる。

ホテルやリゾートのコテージに泊まっても、これ以上広いものは通常 お目にかからないので、しばらく、一人か二人で住むなら これで十分ということになろう。この程度の建築で目を肥やして、ノウハウを身につけ、現地相場を十分理解してから、必要になったら、後から追加・拡張していくのがお奨めだ。

とにかく、フィリピンに来てすぐに、日本の感覚で 家を建てだし失敗している事例は、私の周辺だけでも沢山出ていて、フィリピン全体では莫大な数になることは容易に想像できる。土地も同様である。私の家のすぐ横でも、3万ペソで買った土地を5百万ペソで転売しようとしている例も登場している。

しばらくは、アパートなどに住んで、できれば 1年以上は現地の情報を仕入れ、十分事情に詳しくなってから 土地を手配し、家を建て始めてもらいたいものだ。自分では現地では何もできないが、奥さんがフィリピン人なので、そちらに任せておけば安心と、同様にして拙速で 大金をつぎ込んで失敗している事例も昔から莫大な数にのぼる。


この家の話に戻ろう。

15万ペソという数字は、大工は雇っても、財布の紐はしっかり自分で握り、余計な出費がない場合の話で、これを、日本の工務店にあたるエンジニアに建築依頼したりすると、費用は数倍に膨れ上がる。

屋根はアルミで前回の例と同様2万ペソ程度。セメントは、60〜80袋くらいだろう。工業製品はシキホール島では高くなり、セメントは一袋220〜230ペソ程度である。以前160ペソの時があり、その後95ペソまで下がって、今は以前よりかなり高いが、それなりに変動している。ブロック、鉄筋、その他順に積み上げていけば、大よその見積もりはできるはずだ。材木は、ココナツ材が安いが、ここではそれより硬めで耐久性があり値段が高いものも使っている。

壁は竹を編んだ現地でアマカンと呼ばれているもので、かなり安い。しかし、シキホール島では、Made in Siquijorのものでも、ドゥマゲッティから持ってきて運賃と利益を上乗せした価格と同じ値段で売ろうとする場合が多く、割高なことが多い。まとめてドゥマゲッティで買って来た方が安くなるし、ミンダナオやボホールではさらに安い。
アマカンだけでは、風が筒抜けになり、この家の場合は、内側が別の壁で二重になっている。そのため、アマカン1枚の場合に比べるとコストがかなり上がる。

窓は、現地でよくある安いタイプで、一枠で400ペソ程度である。日本の感覚からすると、相対的に異常に高いのが玄関のアルミサッシである。正確ではないが、1万ペソかそれ以上になるはずだ。

このように大雑把にでも積み上げておけば、後からとんでもないことにはならないはずだ。


私ならこうするという改良点を挙げておく。

フィリピンでは、季節風が時期により北よりと南よりに吹くが、風向きによらず、涼風が吹き抜けるように、バルコニーは、少なくとも、つながった2辺の両方にあった方が良さそうである。私も最近自宅にバルコニーを増築したが、通常 後からでも簡単に追加することができる。最初から拡張性を考慮した設計にしておけばさらに良い。

私ならこうするというと、高床式で、茅葺で、ほとんどが、バルコニーというかオープンスペースのものがよく、これは例えば 以前 別途紹介したレストハウスのような感じの家であり、別物とも言えるが、エアコンを使わず、現地風の自然な家が良いなら、そちらであろう。

上の家のような場合、私はあまり好きでないが、現地でグリルと呼ばれている鉄格子を、防犯対策で窓に取り付けることが多い。勝手な宣伝になるが、シキホール島で最近、ラーニングセンターを始めた。溶接のコースもあり、そこの学習者の練習用の部材が足りていないので、教えている先生に頼めば、ほとんど材料代だけで、鉄格子を作ってくれるはずだ。安くできるので取り挙げた。


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