地上げと闘う

2002年9月作成
2004年2月更新


フィリピンの田舎では 一般に土地は驚くほど安い。しかし外国人が絡むと途端に土地が値上がりする。外国人だと、現地の普通の値段に比べて、とても割り高な値段を要求されることが多いが、それでも、外国に比べれば手頃な値段なので、安い安いと 言われるままに、購入してしまう。このようにして、間接的に地上げに加担していて、あっと言う間に土地の値段は釣り上がってしまう。後から来る人が、もはや安い値段で土地を入手することが難しくなり、とても迷惑するのである。また外国人が土地転がしで荒稼ぎしようと企み、現地の人から悪質な外国人だと噂されている事例も多い。

「フィリピンへ行こう」では、外国からフィリピンにやって来た人々が、安い費用、すなわち外国人価格でなく現地人価格で、現地に生活できるよう、いろいろな情報を提供している。そして、それによって節約できたお金のうち 少しでも、例えば奨学金を始めるとか、図書館を建設するとか、そういった地域に役立つ取り組みに、ご自身で出資して頂けないかと期待している次第である。土地の値段が釣り上がってしまうと、このようなことは もはや期待しにくくなる。 このホームページの目的からは、地上げ、土地の値上がりは、まさに大敵なのである。

外国人がフィリピンに住む場合に、通常起こっているように、大きな塀を作って周辺の人々と対立して暮らすより、地域に溶け込んで暮らした方が 何かと有利な面が多い。治安、安全面でも有利であり、費用の面でも、ボラれることが無くなれば、たとえ地域に役立つ取り組みにそれなりにお金を使ったとしても、トータルではトクになる可能性が高い。きっとWin-Winを実現できることだろう。

このような観点から、地上げがなく、土地の値段が上がらないようにと腐心している次第である。

土地の値段の事例

私が土地を購入して、家を建てている地域を例に取ろう。以下は伝聞の情報が多く、確度が 100%とは言いきれないが、いろいろな人から話を聞いているので ほぼ間違いないだろう。すべて、私が家を建てているところから100m以内のところである。

この地域では、水道も電気も来ておらず、電気を引くには500m以上の電線と それに見合うだけの電柱を買わないといけない。また、水道については、来るあては皆無だ。そういう状況なので、他と比べて土地の値段は安めだ。

まずは、米国人が買った土地(左下)。5、6年前に購入したそうだが、値段は3万ペソ。最近周囲を塀で囲ったので、とても広いことがわかった。3000平米程度はありそうである。海に面していて よい場所だ。 
もう一つは最近日本人が買ったと言われている土地(右下)。値段は噂では3万5千ペソ。私の家に電気を引く関係で影響するので、土地の大きさを市役所まで調べに行ったところ2500平米余りあった。こちらは海から100m程離れているが、それでも、この二つはどちらも格安だ。

次に私の買った土地(左下)。375uを3万ペソで購入した。海の眺めがよく、このあたりでは最も良い場所だと私自身は思っている。当初は土地を購入するより レンタルして、コテージを建てようと思っていた。ところが、オーナーの娘がここに住んでいて、家を建て替えたいので、その費用として3万ペソ必要で、その分だけ土地を買うことになったのである。土地が高いかどうかより、とにかく、建替えに必要な分として3万ペソ払った。しかしながら、実際には、3万ペソでは不足していて、なんだかんだと追加で払い、最後は、正直友好契約にサインしてもらうことで、さらに 1万ペソ融資した。彼らが正直で友好的である限り、貸したお金は返ってこない。

次に、この地域での地上げの事例を紹介する。やはりすぐ近くのところだが(右下)、こちらは50万ペソとのことである。数年前に10万ペソで売られたものが、土地転がしで4人ほどオーナーが代わり、最後にこの値段になった。他と比べてベラボーに高いので、買い手が付かず、そのままになっている。広さは不明だが、このあたりの土地は一区画が2千〜3千平米であることが多く、たぶんその程度だろう。

ここでこのように書いているが、万一、これを読んで日本人がやって来て、安い安いと言ってこの土地を買ってしまったらと、戦々恐々としている次第である。そうなると一気にこのあたりの土地が値上がりに火が付き、後からやって来て土地を買おうとした人がとても迷惑するのである。現地の子供たちが 将来 家を建てるために土地を買おうとしても、高嶺の花でとても買えなくなる。


もう一件 今度は別の地域での地上げの例を紹介する。
そこでは、私の知り合いが勝手に、家を建てて住んでいる(下)。数年前に外国人が土地を購入し、その1年後には、値段を一桁吊り上げ、転売しようとした。高いので誰も買わずそのままになっている。広さは不明だが値段は2百万ペソとのことである。この地域は、外国人が沢山住んでいて、私が家を建てている地域に比べて、通常1桁以上地価は高い。

私が家を建てている地域は、インフラが整っていないので、土地の値段は安めだが、一般に、単位面積当たりで見た場合、フィリピンの田舎では土地の値段は数ペソから数千ペソまで、3桁程度のばらつきがある。外国人が好む海沿いの土地は高めだが、これも外国人が全く来ていないところだと、そうでもないことも多い。また、都市部の不動産屋が扱っている土地も割高な場合が多い。

ぼられないためのノウハウ

割高な土地を買って、間接的に地上げに加担し、後から来る人の迷惑になることがないようにと、私自身 土地探しではとても苦労してきた。また、外国人価格、ツーリスト価格ではなく、できれば通常の値段で購入したいのも当然のことだろう。なんとかぼられないようにしたいものだが、そのためにはノウハウが必要だ。

土地を探している時に、どこに泊まっていると聞かれて、高級なビーチリゾートの名前を挙げるようでは、私は沢山お金を持っているから、値段を吊り上げてくれと言っているようなものだ。さらには、日本人からみれば、粗末なところでも、現地の人から見れば高級であることは多いので注意が必要だ。

乗り物(ジプニーやトライシクル)をチャーター(パキヤウ)して、高額の料金を払って 相手のところに出掛けるのも、同様にして、ボッてくれと言っているようなものだ。

このホームページでも沢山の売り地の事例を紹介しているが、Lot for saleと看板が出ているものは、大抵べらぼうに高い。"Lot for sale"は "I want to sale this lot as expensive as possible." くらいの意味に取っておいて間違いない。 また Lot for saleという看板を見て、単独値段を尋ねに行っても、外国人だと見るや、通常とは全く違う高額の値段を言ってくることが多い。 

外国人が直接話をしに行くと、ボラれるので、まずは現地人のネゴシエーターを見つけ、その人に話に行かせた方がボラれにくい。ただし、信頼できるネゴシエーターを見つけないといけない。

このあたりのことは、駆け引きにあたり、いくら相手がボッタクリだからといっても、あまり気持ちの良いものではない。できれば正攻法で、ボラない地主を見つけたいものだ。しかしながら、このあたりのことを無視して、何も考えずに、土地探しを続けていたらどうなるか? 知らず知らず地上げに加担してしまう可能性が高い。フィリピンで ある場所に日本人が来始めると、途端に物価が上がり出す言われている。まさにそのことだ。


また 別の対策として、シキホール島の場合だと、ボラない良心的な地主とその土地のリストを私の方で作成して、公開しようとしている。他の地域でも同様のリストがあって、相互にリンクできるようになれば嬉しい。ただ、思うようなリストを作ることは容易ではなくて、これでも、少し割高になっているかもしれない。

購入すべき土地が簡単に見つからない場合には、リースの検討をお奨めしたい。別途紹介しているように、フィリピンの田舎では相続の手続きが放ったらかしになっている場合が多い。この場合相続税の支払いや、オーナーの多さにからんで土地の購入は大変難しくなる。 購入可能な土地がうまく見つかった場合は それで良いが、そうでない場合は、値段が高くても何が何でも購入しようとするのではなく、長期リースが可能な別の場所を探すことをお奨めする。良心的な貸し手が見つかれば、その後、土地の一部を必要な分だけリースする手続きは容易にできる。 現地の人の場合には、料金も払わず、契約書も作成せず、口約束だけで、他人の土地に家を建ててしまうことが多い。


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