Brown Out(停電)事例 2010年5月〜6月

2010年6月


シキホール島の電力事情は、基本的には、以前とほとんど変わっていない。例えば、電力料金は、現在でも1kwHあたり約10ペソで、これは 10年前とほとんど同じである。もともとが高かったので値上げできないということだろう。以前はPPAという名前のサーチャージを徴収していたが、最近は それはなくなり、全部まとめて請求される。停電の方も、実感としては、以前と大差がない。発電機の数は、最近電力会社に聞いたところでは全部で14台ほどあり、倍以上になっている。場所が確認できていないが、Larenaに横付けされた船からも発送電していて、電力供給不足を補っている。

電力の需要・供給がどれだけ増えたか、確認できていないが、宿も増えてエアコンの利用が増えたので、それなりに需要が増大しているのは間違いない。シキホール島で一番高級な宿であるココ・グローブが拡張され、ここだけでも一体、どれだけの電力を消費しているものやらと思いを巡らすのは、私のような貧乏人のやっかみか? 近所の人の家を見ていると、ラジオと、夜の蛍光灯をつける程度の家が多く、電気代は月数十ペソという家も多い。それに比べれば、私も数十倍電気を使っているので 人のことは言えないのかもしれないが、あれだけ大量にエアコンを使っているココ・グローブは、ど貧民の家の数千軒分。一万人以上の人々の使っている電力を一箇所で消費しているのは間違いない。停電すると、ココ・グローブは自家発電に切り替わり、夜に 電力消費量が低下したり、発電機の故障が治ったりすると、電力供給が復旧し、ココ・グローブは、自家発電を止めて、電力会社からの電力に切り替える。電気が戻っても、再び止まることがあるが、これは ココ・グローブのエアコンが一斉に立ち上がり、大量に電気を消費するのが原因ではないかと疑いたくなる。
しかし、宿が増えて、電力消費が増えて、それに合わせて電力供給も増えているはずなので、文句を言うだけなのも良くない。嫌われる物言いはこれぐらいにしておこう。

今回は、最近の停電が本題である。

5月の中旬になって、停電が頻発していて、ここ5年くらいで一番悪いと言っても良さそうな状況である。6月になっても改善しない。私の家では、特に夜に電気が来ないことが多い。5月にバンコクからの訪問者があり、毎晩のように非常灯をつけての夕食となった。撃ち合い最中のバンコクよりは、まだましということもできたが、折角来てもらったのに気の毒なことになってしまった。停電くらいはフィリピンでは当たり前と言ってお茶を濁すこともできるのだが、問題は、自宅の前の海から見える別の場所では 灯りが点いていて、Larenaのために、毎晩こちらが犠牲になっていることが、はっきりと分かることである。少々不利であっても我慢できるが、余りにも露骨に虐げられていると、流石にクレームを付けたくなる。
病院のあるPangiというバランガイが一番優先されているのは 納得できるが、それ以外は平等にして欲しいというのが、普通の人の気持ちであろう。発電機の一部が不具合で停止した場合には、発電所から電力会社の事務所に向けての地域だけに電気が供給されているという説明で、納得すれば良いのかもしれないが、政治家が住んでいる地域が優遇されているとか、いろいろな人がいろいろな噂話をする。

丸一日停電した日があったので、電力会社に問い合わせに行ったら、発電機がかなり故障していて、供給が足りないので、地域ごとに いけにえを順にローテーションしているとのことで、停電が頻発する時の一般的な状況である。具体的には、従来からのCandanayのPower Plantでは、6台ある発電機の4台が故障で、動いているのは2台だけということである。5台という情報もあるが、ずっと動いてなくて、部品取り用に置いてあるものもありそうなので、5台でも6台でも大差はなかろう。さらに、Larenaの発電機は、4台中3台が故障で、稼動しているのは1台だけ。これに対して、Laziでは、4台すべてが稼動しているとのことである。それでも、Laziの町全体に電力供給するには足りなくて、町の外れでは停電があり、中心部だけは停電が無さそうだ。Laziには、島の政治家のトップが住んでいて、前述の疑いがますます深まるばかりである。

以前にも同様な状況があり、別途紹介しているが、その時には停電のスケジュールが、電力会社のオフィスに書かれていた。今回も同じサービスを期待したが、残念ながらスケジュールは出せないということであった。スケジュールを守れるかどうか、保証の限りではないということである。スケジュールを死守するため、電力供給にマージンを持たせ、停電予定地域を拡大されてもユーザーは困るので、ある面では、もっともな物言いと言えよう。

フェスタなどのイベントにはPriorityが与えられていて、それについては、案内が出ていた。その中には宿で同窓会を開くようなものも含まれていた。
発電所とPriorityのある場所の間に自分の家があると、ラッキーな場合がある。
Mariaという比較的大きな町でフェスタがあった日、知り合いの家は、発電所とMariaの間にあったお陰で、一日停電が無かった。これに対して、私の自宅では、丸一日停電していた。

発電機の稼動状況とフェスタの日程。この二つがシキホール島の電力供給事情を予想する重要な要素であることが分かる。シキホール島では 特に5月はフェスタが多い。5月に発電機の調子が悪いと困ったことになる。

夜になると、各家で照明を点けるので、電力消費が増えて、供給不足で、いけにえ予定の地域が停電と相成る。普通の人が寝静まる午後10時頃になると、電力消費が減り、一部の発電機だけでも、供給が間に合うようになり復旧する。しかしながら、最近は、電気の復旧が午後11時頃になった。現地の普通の人は、電気代がもったいないので、夕食後はさっさと寝る人が多い中、午後10時では駄目で、午後11時にならないと寝静まらないとなると、冒頭に書いた電気食い虫のことを ますます疑いたくなる。

最後に 今後の復旧予定だが、新たな発電機がセブから入ってくる予定になっていて、Larenaにある4台の発電機の合計と同等の出力があるそうだ。時期はというとASAPで、これがいつなのか、そば屋の出前のように、当てにならないと思われ、復旧の話も最後に回した。

[続編]


(参考) これまでの記事

停電(Brown out) 2000年2月
Brown Out(停電)事例 2000年7月〜8月
Brown Out(停電)事例 2000年10月


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