広州飲茶

2007年4月作成
2013年3月最終更新



広州の飲茶を最初に取り上げてから6年が経過した。中国のレストランは数年しか続かないと主張する人もいる中、ここで取り上げている話の状況もかなり変わったので、全体の構成も変えて 少し書き換えてみた。店に入った時期はいろいろなので、それぞれに食べに行った時期を書いてある。

広州飲茶なら地下鉄 長寿路駅を目指そう

飲茶と言えば まずは香港を思い浮かべるが、広東料理の中心地は広州で、飲茶も香港と広州のどちらがオリジナルなの思えるくらいで、飲茶ファンなら広州でも飲茶を試してみたくなるのは当然だろう。

広州のいろいろなところで飲茶を楽しめるが、まずは、有名店も含め飲茶のできる店が集まっている 地下鉄の長寿路駅を目指すのが良さそうだ。長寿路駅は、広州駅から地下鉄に乗り、途中一度 乗り換えるが、合計6つ目の駅だが、十分アクセスは良い。

飲茶の店は、長寿駅の上にあるショッピングモールの3階の美食街と、モール以外の長寿駅の周辺。そして、少し歩いて上九と呼ばれる繁華街へ向かう途中の第十甫路にある三大有名店。この三つに場所を分類することができ、全部で10程度の飲茶店が 長寿路駅付近に集まっている。

上九付近の有名店

地下鉄 長寿駅から500mほどのところにあり、正確には第十甫路という通りにあるが、その横が上九と呼ばれ、サティアンからの連想で、そちらの方が簡単に頭の中に入りそうだ。長寿駅から上九へ向かえば、途中で見つかる。

広州酒家(2011年11月)

安旅中の分際で、こんな格調の高い店に入るとは 全く想定していなかったが、他に選択肢が無くなり、試しに入ってしまった。ブルジョアの仲間入りの真似事ということであろう。ただし、中華料理店の常で 上客用には階も上の個室になるが、飲茶客用には一階の広いフロアがあてがわれ、中は一続きだが 唐人街という別の名前が付いていた。こちらは、少し庶民的と言えなくもない。

また 値段が高めだと、腹持ちの良いものをついつい注文してしまうが、円高の恩恵もあり、写真の3品を頼んでも 結局500円程度で済んだ。点心は一品10元程度から。

広州酒家

店内の様子

朝飯なので お粥を注文

韮餃子と大根餅

蓮香楼(2011年11月)

一階は月餅などを売っている店舗で入りやすいが、二階、三階にあるレストランは格調が高く、敷居が高い感じは広州酒家と同様である。少し高めでも、いい雰囲気で美味しいものを食べたい人には適している。と言っても、点心は大10、中8.小6等で、小6は皆無だが、それほど高くなくて、お手頃価格で、高級店で食事ができてお得とも言える。


蓮香楼

店内の様子

右は大根餅のようなゼリー

陶陶居(2013年3月)

上の二店と同様格調が高く、日本でこれだけの格式の店に入ったら、財布がただでは済まないと思われるが、とにかく飲茶だけだし、ものは試しで、ここにも入ってみた。

小6、中8、大10、特12、頂13、超15、さらに上もあり、高級店にしては非常に安いと思える小、中、大は実際には少ししかない。基本料金だけ見ると安そうだが、燃油サーチャージなどを加えると実際には高いという航空会社のやりかたと似ていて、点心をどんどん昇進させて、実質値上げするという飲茶屋の商魂を見た。パンがどんどん減量していくフィリピン流(?)も含め、売り手も苦労していると言うか、せこいと言うか、いろいろな言い方があろう。

ちょっと、厳しいコメントになってしまったが、店の雰囲気、点心の味は良いので一度試してみたい店だ。

陶陶居

一階は入り口付近は豪華な雰囲気だが、中は庶民的な感じだ。

節約して点心は二品にしたが、
結構ボリュームがあった。

地下鉄の長寿路駅周辺

点点心心 (2011年1月)

地下鉄長寿路駅から、上九、下九へ向う途中にある飲茶専門店。週末の朝行ったら家族連れで賑わっていた。

点点心心

店内の様子
おかゆは十分量があるので、二品で終わっておけば、値段もお手ごろ。
右はきのこ入りの点心。


大華酒楼(2010年7月)

大華酒楼は、長寿路駅上のモールの前で、地下鉄を出てすぐのところにあり、簡単に見つかる。下午茶八折の案内が出ていたので 午後になって出直して、ここに入った。下の5品で、2割引後 全部で33元。飲茶ではかなり安くてオススメだ。味も問題ない。

しかしながら、飲茶でなくて、普通の安食堂で、小龍包、水餃子、麺類、その他安い料理から二品にビールを付けても15元程度だ。飲茶と比べどちらがコストパフォーマンスが良いかと言えば、こちらであろう。中国で飲茶通いするのは、もったいない気がする。 

一方、本場の香港と比べると割安なので、それなら食べておけという考え方もできる。日本と比べれば なおさらだ。

大華酒楼閣

店の中の様子

餃子の一種

腸の文字はあったが、ちょっと堅め

ワンタンスープ

レタスの湯引き

お茶の入った冷たいお菓子

(2013年3月)

ここは値段が安めなので、これまでに、何度か入ったが、今回は店が改装されていて、当然のように値段も上がっていた。それでも早茶、下午茶は割引がある。

悦豪海鮮酒家 (2010年8月)

店の造りが庶民的で、値段が安そうで一度試してみようと思っていた悦豪海鮮酒家。点心の種類は多く、値段も安めなので、客の入りも良いが、とんでもなく味が洗練されているかと言うと、残念ながらそうとまでは言えなかった。香港の方が点心のレベルが少し高い場合が多い。例えば、腸粉の具は、混ぜ物が入っていたりする。ただし香港でも、優恵点心としてよく出てくるミートボールは、肉が沢山詰まっているという感じではない。日本でもスーパーで買う値段の安いシュウマイの例がある。美味しくて具が安心できるシュウマイは、値段が3〜4倍するはずだ。
悲しい話になったが、全く駄目かというとそうではない。沢山ある点心からお得なものを選び出して注文すれば、値段が安い分、香港よりコストパフォーマンスと良いと言える場合も多そうだ。
広州で庶民的な飲茶の店はどこが良いかたずねられたら、これまでの中では、ここを推薦する。

悦豪海鮮酒家

店内の様子

今回注文した点心

右上の写真中、左側の点心は檸蜜脆蛋散と呼ばれるお菓子で 今回初めて食べた。悪くは無いが、量が多過ぎて食べ切れなかった。3人くらいで来てこれも頼めば、一人当たりは安くなり、経済的と言える。

2013年に行ってみたら工事中だった。取り壊しているようではなくて、改装してグレードアップするようだ。

地下鉄の長寿路駅上のモール内

地下鉄の駅の上のモール内にあり、便利で分かりやすい。モール内にあり、競争や動きが激しく、かつ消え、かつ結びて久しく留まりたるためしなしと例えることもできそうだが、現状でも三軒ほど、飲茶を楽しめる店が残っている。(2013年3月時点)

満福城(2010年7月)

長寿路駅その上に 恒宝広場というショッピングモールがあり、その三階に飲茶専門店と海鮮酒家がある。今回はそのうち、飲茶専門店の満福城に入ってみた。早茶の割引の案内が店の外に出ていたが、日替わりの割引点心が一種類あるだけで、期待外れであった。それでも香港に比べれば少し安めであろう。

地下鉄長寿路駅の上のモール

モールの3Fにある飲茶屋 満福城

満福城の店内

大根餅

餃子の一種

腸粉

マンゴープリン

ここでも気になったのが、腸粉が冷めてしまっている問題である。さらにマンゴープリンはゼリーのようだった。それでは、全然ダメかというとそうではなくて、少し洗練さが足りないということであろう。

舜裕海鮮酒家 (2011年1月)

満福城と同じショッピングモールのフロアにあるのが舜裕海鮮酒家。飲茶タイムと、普通の料理が出る時間帯に分かれている。外から見ると満福城に比べ少し高級そうに見えたが、実際には同じようなレベルだった。

舜裕海鮮酒家

店内の様子

腸粉

焼きそば風の大根餅(左)は量が多い。


茗茶軒(2007年)

広州駅前にあって、何度か通ったが残念ながら今は店を閉じてしまった。(2013年3月)

広州駅前の飲茶レストラン

これまで、世界各地で飲茶を試して、中国でも1992年頃に広州と上海で飲茶レストランに入った。微かな記憶では、1品1元程度の値段で格安だったが、点心が冷めていた。今でも中国では冷えていないビールを出す店が少なくないが、(普通の日本人が入るレストランなら、今どき冷えていないビールを出す店を見つけるのは難しいかもしれないが、私や現地の人が普通に入る大衆食堂では、今でもビールは冷えていないことが多い。) それと同様で、ホカホカでない点心など、もっての他と思った。ビールの方は 未だ苦労しているが、以前の飲茶の経験以来、中国では ずっと飲茶に行かなかった。

しかしながら、中国の最近の経済発展の結果、店の外見は見違えるように良くなっている。さらに、NWとCZの提携で、広州にトランジットで来ることが多くなったので、食在広州と言われ、香港よりも食の本家ではないかと思える広州で、期待して 飲茶を試してみた。

その結果、確かに以前に比べ格段に進歩した。店は 私が通常香港で入る酒楼・酒家よりも、綺麗である。値段は、小6元、中8元、大10元、特13元、頂16元。最近香港に行っていないので、正確ではないが、香港とそれほど差がない状況と言える。高くなったのをむやみに肯定しても仕方ないが、レベルが上がっていることは間違いない。ちなみに、今回は、4品とお茶で合計40元だった。

味はどうかと言うと、蝦餃は、香港と違い値段が高めの設定で、その分 蝦がたっぷり入っていて満足できたものの、その他は、香港で安くて美味しい飲茶を 一杯食べた者としては、不満が残った。腸粉は、ほとんど冷めたものが出てきた。厚めの皿を使い高級感を出そうとしたのかもしれないが、それがあだになり、点心の熱を奪ってしまったようだ。マンゴープリンは、絹ごし豆腐と同等のやわらかさを期待したいが、木綿ごしを通り越し、中国の豆腐の固さで 違和感を覚えた。普通の点心とは違うが、水餃は、スープが フィリピンあたりのインスタント・ラーメンのスープを飲んでいるようで、即席の味がした。

蝦餃とマンゴープリン(後ろ)

腸粉

水餃

かなり厳しいことを書いたが、香港に行かずして、これだけ楽しめる点は、決して悪くはない。香港のように、ハズレが無い状態を期待するのではなくて、いろいろ試した後、当たりだけを注文すれば、十分満足できるはずだ。米国の食事するのと状況が似ている。

その状態で、さらに クレームと付けると、台湾の飲茶と同じだが、現地の他の食べ物に比べ、飲茶はかなり割高である。台湾なら、おかずを店先に一杯並べたお弁当屋で、ブタの角煮やいろいろなおかずを選んで食べた方が、飲茶より随分安いので、そちらの方がコストパフォーマンスが良い。広州の場合なら、路地裏の小汚い食堂で麺類を食べておけば、数元しかしないので、それと比べると、飲茶は コストパフォーマンスが良いとは言えない。

たまの贅沢と考えるか、折角だから 広州に行ったら飲茶三昧が良いと考えるか、私にとっては、難しい選択を迫られることになる。

飲茶/飲酒/飲ソフトドリンク

ここでの もう一つの特徴は、お茶だけでなくて、昼間でも酒を飲んでいる人が結構いることだ。タイのハジャイでは、飲茶レストランで、点心にソフトドリンクという組み合わせの方が普通であった。ところ変われば、飲み物も変わるということだが、飲茶と書くと紛らわしいので、Dimsum Restaurantとしておけば、問題なかろう。

即点即蒸

従来のように ワゴンに点心を載せて押してくるのではなくて、注文して蒸して持ってくる方式を、香港では、即叫即蒸と言っていたが、こちらでは、即点即蒸となっていた。点呼と叫は どれも関連する言葉なのだろう。


(参考)これまでに取り挙げた飲茶関連の話題

ファーストクラスで行く、激安香港 バジットトラベラーのためのサバイバル香港飲茶術
香港飲茶に異変  即叫即蒸方式の台頭
台湾小特集 港式飲茶
スターアライアンス特典旅行で行くタイ南部 ハジャイでは飲茶が安い
フィリピン飲茶大全
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