シキホール島のBrown out(停電)事情 2014年4月

2014年4月




シキホール島の電力・停電事情について、これまで何度も取り上げてきたが、シキホール島でも日本人が増えてきて、先日日本人何人かで集まった時にも停電の話題になった。ちょうどその時 停電になったこともあるが、とにかく最近は、短い時間で復活する停電が結構起こっている。それについて、ある人がバランガイ(村)から伝えられた情報を説明してくれたのだが、停電している間に、発電機に燃料を補給するということだった。それを聞いて、停電時に家庭で使う発電機ならいざ知らず、電力会社がそんな、低レベルのことをやっていてどうするのかと反論したくなったが、確認できていないので、そのまま聞いていた。それを説明していた人から、嫌われそうな物言いだが、そんなことは平気で、とにかく 翌日発電所に確認に行った。職員から聞いた話を踏まえると実態は、以下の通りである。

発電機は、台風や選挙に翻弄された結果、ほぼ元の状態に戻り、Candanayにある発電所に3台。それと、Laziで海上に浮かんでいる発電機が1台となっているそうだ。短い時間の停電の原因は、この2箇所の発電機の同期が外れてしまったためで、再起動して同期が取れれば電力供給が戻る。 直感的な説明をするとCandanayがsinωtで、Laziが逆相の −sinωtになってしまったら、発電機同士が電線でつながっているとまずいのは容易に想像できよう。

その後、二日連続で、お昼過ぎから数時間停電が続いた。それで、再びCandanayの発電所に問い合わせに行ったら、そちらの発電機は順調で、Laziの発電機の調子が悪いということだった。午前中は 別のブロックであるシキホールの町中が停電し、午後自宅が含まれる地域が停電した。4台のうち1台が停電して、供給不足に陥り、生贄地域が巡回しているということだろう。

これまでの経験では、電力会社が停電地域と時間を明確に示す計画停電が一度あったが、最近問い合わせに行ったところでは、計画してもその通りにできる保障がないので、スケジュールは出せないということだった。動的な電力需要も考慮して、かつかつで切り替えるので、そう言われるとその通りだとも思える。計画停電はシキホールでは無理と言いながら、それでも 二日連続で同じような時間に停電したので、電力会社の内部では計画があり、それに近いことをやっているという気持ちは伝わってくる。

これまでにも、いろいろな停電のパターンについて説明してきたが、一つおさらいしておくと、例えば、朝8時頃から日中一日停電する場合があるが、これは電柱の取替えなどのメンテナンス時に、そうなることが多い。この場合は、電力会社のオフィスにNoticeが出る。停電の話を書き始めた14年前に既に提案していることだが、電力会社にメーリングリストをつくっもらい、Noticeを送ってもらったら良い話だ。しかし、時代は変って今ならfacebookになりそうだ。そう思って電力会社のfacebookを覗いてみたら何も情報はなかった。昨年のボホール大震災の時には、ボホールの電力会社のfacebookに現地の停電の状況がいろいろと掲載されていた。14年前と違い、電力会社でも普通にインターネットを使うようになったので、陳情に行くべきなのだろう。

そうは言っても、最近は、シキホール島でも日本人が増え、日本人同士の詐欺事件がいくつも起こり それに時間を取られたり、台風の被災地に何度も出かけたり、他にもやることが爆発的に増えて、借時間で首が回らなくなったような状態なので、なかなか思うように進まない。それでも近いうちに電力会社に行って相談したい。

レンタル発電機が消滅

以前に紹介したが、「前回の選挙前にアキノ大統領から発電機2台が寄付され、シキホール島全体の電力事情はかなり改善した。」はずだったが、実は、これは眉唾であった。実際には、寄付されたはずの発電機は無くなっている。選挙前にしばらくレンタル代を払っただけなのか、とにかく、コンテナに入っていたレンタル発電機はすべてマニラにuli、返却されてしまったそうだ。最初にこのレンタル発電機を見た時には 1台だけであったが最後に見た時には4台も並んでいたレンタル代が高いので、借り続けられないのかと聞いてみたら、職員はそうだと答えた。そもそも、何か問題があると、マニラから飛行機に乗って 技術者が駆けつけていた。 そんなことをやっていたら高くつくのは当然で、続けられるのかと疑問に思っていてたら、やはり駄目だった。

レンタル発電機が置いてあった周辺は、今回は重機で工事をしていた。何をしているのか職員に聞いてみたら、知事がprivateで発電機を設置するそうで、韓国製の発電機ということだ。設置場所が場所だけに、以前にあったレンタル発電機の代りをするのであろう。ただし、確認できていないので間違っていたらまた修正する。

以前Larenaの港にあった船上の発電機は、2012年の台風24号で壊れて現役を引退してしまった。もう一つ船上のLaziにある発電機は、同じ台風の後 電力会社のエンジニアに聞いたところ、塩をかぶったが修理は可能ということだったが、その通りで 復旧している。

Candanayの発電所にある3台のうち一台は1.5MW程度の出力で他よりかなり大きくて、これが壊れた時のことを考えると空恐ろしい。以前発電所の建物の中に見学に行ったことがあるが、旧チェコスロバキア製の大きな発電機が置いてあった。1.5MWの発電機とは、それのことなのかと聞いたら、そうだと職員は答えた。最初から中古で導入され、製造当初からは40年ほど経過していて、かなり厳しいのではないかと想像されるが、壊れたら まさにprivate発電機陣営の思う壺と言う事か。


(参考) これまでの停電関連の記事

停電(Brown out) 2000年2月
Brown Out(停電)事例 2000年7月〜8月
Brown Out(停電)事例 2000年10月
Brown Out(停電)事情 2010年5月〜6月
停電だ、おっと 真紀菜 2011年10月
Brown Out(停電)事情 2012年2月〜
シキホール島のBrown out(停電)事情 2013年5月〜


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