ミシュラン飲茶@香港

2011年12月作成


ミシュラン飲茶@香港
添好運 Tim Ho Wan

ガイドブックにも出ていて、有名どころなのでわざわざ取り上げるまでもないとも言えるが、ミシュラン星つき香港飲茶に行ってきたので紹介しておく。
有名レストランのシェフが 手軽な値段で美味しいものを味わってもらおうと始めた添好運というお店。場所は九龍の地下鉄の油麻地駅から歩いて行けて、女人街の露店にも近い。

長い列、しかし後から戻って来れば良い

高級レストランの味を手軽な値段で味わえるというのだから、当然ながら客が沢山やってくる。飲茶と言えば普通は酒楼か海鮮酒家だが、それに比べて、欧米人の割合もかなり多い。客は多いが、店は香港のいたるところで見かける庶民的なお店のサイズで、大きくない。そのため、長蛇の列となってしまう。しかし、番号をもらって、その順番が来た時に、戻ってくればよいので、実際には並ぶ必要はない。自分の順番が過ぎていても無効にはならず、次に席が開いたタイミングで入れてくれるので問題ない。

私は、お昼時に行ってしまったところ、2時間ほど待たされた。流石にそれではお腹が空いて仕方がないので、待ち時間に近くのチキンライス屋でも食べてしまうというフライングをしてしまった。いくら安いと言っても、ミシュランと言われては、私が普段行く飲茶店より高いに決まっているので、それなら、回転寿司で 安うどんも食べて お腹を膨らし安くあげようという発想と同じで、まずは安飯屋で半分食べてから、飲茶で注文する点心の数を減らそうというせこい裏話がある。

お昼の12時頃 店に行き 番号を貰い、しばらく様子を見て待ち時間を予想し、その後、街をウロウロした後、近くの店でチキンライスを食べ、もう少し待って 午後2時頃入店という経過となった。もっと早く、10時半から11時頃に行って番号をもらい、しばらく街を散策してから帰ってくれば、お昼時に食べられる。

味は申し分ない

人気、有名シェフの作る点心なので、味が申し分ないのは説明するまでもないだろう。しかし、値段は普段私が行く店の割引料金と比べると5割ほど高い。おまけに店が狭いので、日本の週刊誌のような内容である香港の新聞を買って、馬鹿話を楽しむということもできない。そこへ 長時間待たされては、残念ながら何度も行こうという気にはならない。しかしながら、何事も一度は行ってみないと分からないし、その値打ちは十分ある。試しに行ってみるべしというのが ここでのお奨め、結論だ。

店の前でずっと待っていては、時間の無駄なので、待ち時間を何に使うか作戦を決めて店に向かうのが一つのポイントと言えそうだ。待ち時間を使うのは近くでなくて、地下鉄で移動して用事を済ませてから帰ってくるくらいなら、時間を無駄にしたとは感じないはずだ。

世界の飲茶好きと知り合いになれる

店が狭い点は、他の客と相席になり、飲茶好きと知り合いになれるというメリットになり得る。私の前に座ったのはカナダ人で、カナダから香港に着いたばかりで、まだ香港では何も食べていなくて、お腹が空いて点心を8品も注文していた。カナダのウィニペグから来たそうで、そちらでも飲茶店があり、カートで点心を押してくる本格的なものだそうだ。とにかく飲茶大好きだそうだが、香港では何でも漢字で書いていて、欧米人には店に入るのも難しいので、他の飲茶店への行き方を説明しておいた。すぐ近くに私の行きつけの倫敦大酒楼があるので、名前を漢字で書いていたら、店の人が何を書いているのかと覗き見した。競合相手を紹介しているので、気まずいことになったものの、笑ってごまかした。私が数日香港に滞在する予定だったら、次の日から一緒に飲茶に行こうと誘うところだったが、すぐに移動してしまう予定だったので、そのまま分かれた。飲茶好きの友だちを作りたいなら、世界中ここより相応しい場所を見つけるのは難しそうだ。

店の中は狭くて、そこへ沢山客が
詰め込まれる。

今回食べた腸粉と焼そば


長い列は、マネーゲームの成せる業?

以下は 単なる放言と言われればそれまでだが、興味があって暇な人は付き合ってもらいたい。

最近は海外へ行くのに、航空券代加え 膨大な燃油サーチャージを請求され、閉口している人がほとんどであろう。その原因となっている原油の高騰は、中国などの消費が増えていて、需要と供給の関係で仕方がないという主張もあろう。しかしながら、カルテルで価格を決めている上に、マネーゲームで投機に走る人が多いから高騰しているにちがいないと疑う人は私だけではないだろう。
同様にして、この飲茶店の長い列は、マネーゲームの成せる業と疑いたくなってしまう。香港の不動産の高騰は半端ではない。バブルがはじけたという話もあるが、いまだ異常に高いのは周知の事実であろう。当然家賃も安くなりようがない。その為、庶民的な価格を標榜するこの店は広い店舗が持てず、狭いところで何度も客を回転させるしかないという話になるのは当然だろう。店舗の不動産を自前で所有しているか、昔からやっているので、割安で広い店舗を借りられているところなら良いが、新規参入者に厳しいのは容易に想像できる。

狭い店舗に沢山の客では、長い列ができるのは当然ということである。

バブル期の日本人は、わざわざハワイまで討って出て、ワイキキのビーチの運河の内側の不動産だけに土俵を絞り、供給を制限してマネーゲームを展開したが、香港では1997年の返還以降も、頑強に残っているボーダーで囲い込むことにより、供給を制限し続けているのが 高値を維持するのに絶大な効果を発揮しているだろうというのが、私の見立てである。

もしも私が香港やその周辺地域の独裁者で、今と同様 バブル嫌いとすれば、以下のようにしていたであろう。
まずは、今のように開発が進む前に、深セン空港当たりの平地を新興ベッドタウン用に押えておく。東京都の半分くらいの面積の平地が確保できるはずだ。そして、今の機場快線のような列車を、九龍、香港島とつなぐ。すでに空港との間で、半分近くは実存しているところで、途中から元朗の方向に北上し、ボーダーをそのまま通過できれば、簡単に現地につながる。そこに高速の通勤電車を走らせれば、ノンストップなら 30分ほどで香港の中心地と結ぶことができよう。輸送量を増すため複線では足りないだろう。

香港では、1997年の返還前から日本円換算の億ションは普通にあったが、この新興ベッドタウンに人口百万人レベルか、はたまた百万戸レベルで、価格が日本円で数百万円の廉価なマンションを建てて供給すれば、投機目的でない一般の住民は、どうみてもこの安い住宅の方に住みたくなるはずだ。安住宅を大量に討ち浴びせれば、億ションは立ち行かないはずだ。

しかしながら、実際には、ボーダーの外に安価な住宅を建てて、高速の通勤列車で香港に通うというような話は、今も昔も聞かない。ただ 全く聞かなかったわけではなくて、90年代の香港の新聞で、深センからさらに外側の鉄道沿いの町の分譲マンションの広告を見かけたことがある。その時も価格帯は日本円で数百万円だった。しかし、ボーダーの存在や交通手段も含め、それが香港の住民に有効活用されるすべがなく、単に広告が存在しただけであろう。

現状では、深センでは、バブルでマンションは数千万円のものも見かけ、それだと、ボーダーの内外の不動産価格差は少なく、ボーダーの影響が少なくなったともいえるのだろうが、中国の不動産バブルははじけだしたので、さらにまた状況は変わるのだろう。

飲茶屋の長蛇の列はバブルの影響というと、バブルで稼いだ輩が沢山 店に並ぶからそうなると解釈されやすいが、ここでは、風吹けば桶やが儲かる式に 間にクッションを置いた説を書いてみた。

競合酒楼も影響を受けた?

さて、ここで登場させては話がややこしくなるが、私の行きつけは倫敦大酒楼の飲茶である。ここは、店舗の高級化の影響もあり、昨年、一昨年行ったときには、90年代によく来ていた時期に比べ、かなり値上がりしてしまった。しかしながら、今回は、早茶(朝)の割引だけでなく、下午茶(午後2時以降)の割引もあり、下午茶 点心 大、中、小 一律HK$10の看板が出ていた。昨年、一昨年は割引は早茶だけだった。ここは、添幸運とかなり近く、客足に影響を受け割引しているのではないかと想像した。

それとも、単に不景気の問題かもしれない。いずれにせよ、円高、割引で日本人旅行者にはありがたい話である。しかし、日本国内の景気に悪影響を与える円高を喜んでいては、非国民と呼ばれても仕方なさそうだ。

下午茶点心一律HK$10の看板 @倫敦大酒楼

店のデータ)

添好運 Tim Ho Wan
九龍 旺角廣華街2-20号
翠園大楼8号
MRT 油麻地 A2出口 徒歩10分
廣華病院の横あたり


(参考)これまでに取り挙げた飲茶関連の話題

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